その直前に88号車(マネパ ランボルギーニGT3)がトラブルで戦列を去ったこともあり、終盤に向け5番手を走行した谷口選手は、47周目に2分02秒615のラップタイムを記録するなどまったく衰えないペースで前を追う。
するとチェッカー目前ファイナルラップのシケインで、優勝争いを展開していた25号車(HOPPY 86MC)が燃料系トラブルで突如スローダウンする幸運も拾い、GSR史上鈴鹿最上位となる4位でチェッカーを受けた。
前日土曜のピットウォークでは片山右京監督とともにサプライズ誕生パーティが催され、ファンとともに“初めての48歳”を祝った谷口選手。夕刻キッズウォークでも片岡選手、右京監督とも遅くまでサインに対応するなど、ともに戦うサポーターとのつながりを力に、この週末も「できることをやりきって天命を待つ」、GSRらしいレースを披露してくれた。この姿勢と経験が必ず、灼熱の第4戦タイ・ブリーラムでも運を引き寄せるに違いない。
■チーム関係者
コメント安藝貴範代表
「最後は周囲が苦しむ状況になると谷口が強い、っていうことに尽きる。チームも含めて全体でミスのない動きができましたが、性能調整のせいで簡単に抜かれすぎです。外から見ると『結局4位でしょう?』とか言われますが『いやいや、全然無理ですから』っていうのが現実」
「周囲のミスや脱落に救われてるところがあるわけで、もう少し戦わせて欲しいです。「振り向けば4号車」という格言はいいんですが、トップ争いのできる勝負権がすべてのクルマにある必要を感じますね」
「タイに向けてはドライバーふたりとも暑さに強いですし、夏は僕らにとっていい時期だとは思ってるんですよ。昨年はトラブルもありながら強いレースができて、まともに戦っていれば表彰台のチャンスはあった。それが再現できればと思います」
片山右京監督
「どうしてもストレートが遅いのもあり、周囲がタレたところで挽回して、苦しいなかでもベストなリザルトを残してくれた」
「でも同時に、やっぱり勝つには課題は大きいな、とも痛感しました。マシン性能を考えても、予選ではもうTK(片岡選手)がスーパーアタックをして。ちょっと上にきすぎたから、序盤はコーナーでいくら稼いでもストレートがあるたびに抜かれちゃう」
「それで案の定順位は落としたけど、でもまわりのタイヤがタレてきたら、そういう泥仕合はウチが強いから(笑) 最後は欲を言えばもう1~2周あれば面白かったかな、と思いますけどね」
「今日はドライバーを褒める内容で、次のタイはGSRがすごい得意なサーキット。今回のようにやれることをやって、相手の脱落を待つレースになりそうです」
谷口信輝
「現状のメルセデスAMGは性能調整が苦しすぎて、レースでどうしても飲まれてしまう。直線が厳しいと言いつつコーナーで頑張れるかって言ったらそうでもない感じで、ただただ苦しい」
「直線が遅いから抜きにくい、周りのペースに付き合わされる。それで500クラスもコーナー入り口で入ってくる。追いつくから進入で行きたくなっちゃう。正直、今日のレースは4位なんて行けるレースじゃなかったけど、苦しいときになんとか踏ん張って、今日もよく耐えたなと思います」
「その我慢のなかで落とさないようにはできたかと。ドライではっきりしたのは、まだまだヨコハマタイヤはレースペースでもライバル陣営に負けていて、でも同じタイヤを履くGT3勢のなかでは自分たちが最上位だった。今は我慢の時期ですね」
片岡龍也
「パフォーマンス自体はあまり感じられない週末で、結果としては予選だけが少し良かった。それで順位はちょっと上に行けたけれど、決してその順位で戦うような準備はできていない」
「僕のスティントでも前のペースが落ち始めれば、こちらの方が多少ラップペースは速い。ただ、追いつくことはできても、抜くまでのパフォーマンスはない状態。戦略もSCのせいで周りも同じようなタイミングになり、作戦自体に違いのないスタンダードな感じになっちゃいました」
「でも、後半クリアになってからの谷口さんのペースを見れば、タイヤ選択は良かったし少なくともノーミスのレース。まあ内容的には4位じゃなかったけど、この順位は上出来ですね、ただ、基本的にはディフェンスしかないレースでしたね」