「決勝の12号車はエンジントラブルです。原因はまだ分かっていませんけど、新しいエンジンに乗せ換えてすぐに壊れてしまったことから、何かイレギュラーなことがあったのだと思います。3号車もエンジンが壊れたんですけど、こちらは12号車とは種類が違って、予兆はあったので心配しながら見ていたんですけど、乗せ換えないで行こうとしたのが、決勝前で壊れてしまいました」と石川氏。今シーズンは特にエンジン面でライバルに叶わなかった点を挙げる。
「他車さんのことはよくわかっていませんが、エンジンのポテンシャルとしても、ちょっと劣っていると思っています。レースで並んで抜かせるように頑張らないと行けない部分だと思っています。クルマ自体はタイムの面でも頑張っていると思うんですけど、競争ですからね。レクサスさんのところまでは行けなかったなあという印象です」と、今季を振り返る石川氏。
ニッサンGT-R陣営で気になるのは、CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが第7戦で優勝を果たしたものの、MOTUL AUTECH GT-Rがランキング3位以外の3チームがランキングで大きく低迷してしまったことだ。もちろん、ニッサン陣営は4台と参戦台数が少ないこともあるが、それぞれのタイヤメーカーとのマッチングも詰められなかったことも低迷の要因のひとつと考えられる。
「ウチはタイヤを3種類使っていることもあって、セッティングで差がありますよね。ああやって(ブリヂストン陣営の)トヨタさんが並んでいるのを見ると、見直さないといけない部分もあります。ニスモ以外のチームも安定してパフォーマンスを出して走れるクルマにしたい。今、開発しているクルマのテーマでもあります」と2020年に向けて、新車両の開発テーマのひとつを明かす石川氏。
「来年に向けては全部頑張らないといけないですね。まずはエンジンの性能を上げたいですけど、今週末を見ると信頼性の面でも必要です。いつも性能の面と耐久の面の追いかけっこになるので、結局、燃焼圧を上げて攻めてと開発していくと耐久面の問題が出てきます。ちょっと見直さないといけないですね。今年はポールは3回獲れているので、速さが出せた部分があったり、そのレースのなかでタイヤとクルマのマッチングが決まって速く走れたりはありましたけど、GT-R4台が揃って速く走れる状態を作り出したい。それができていないのが課題だと思います。安定性が出せるように開発を見直していきたいと思います」と続ける石川氏。
ランキング3位と言えども、常勝軍団ニスモとしてシーズン0勝には誰も満足した様子を見せることはない。2020年からのクラス1新車両になる新しいGT-Rでどのようなパフォーマンスを見せることができるのか。最終戦の悔しさから再起を目指すニッサン陣営にとって、すでに2020年の戦いは始まっている。