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スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.11.04 15:00
更新日: 2020.11.04 14:51

GT300マシンフォーカス:変わったけれど、変わらない!?  2020年型メルセデスAMG GT3

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スーパーGT | GT300マシンフォーカス:変わったけれど、変わらない!?  2020年型メルセデスAMG GT3

「20年型の一番大きな変化は……外観? でもそれで『ダウンフォースが増えた』っていう人もいるんですけど、クルマには荷重計もついてないですし、ほぼ同じ条件で走ったときにセクタータイムもトップスピードもそんなに変わらず。富士を走ったときも結局変わったのは路面改修されてる部分だけだった。正直に言って『何が変わったの?』っていう。フィーリングも変わらないし、フィードバックでもそこまで大きな変化はない」と、のっけからこちらの期待値を軽やかに裏切る言葉を続けた溝田エンジニア。

「他が分からないので、キャラクターというと何とも言えないですが、みんなが言うのはブレーキングが安定してる。ただ、SLSの頃から比較しても基本的な考え方は変わってないと思います。クルマの作りを見てもそうですし、若干ガワが変わって……ドラッグが増えたのかダウンフォースが増えたのかは分からないけど、ストレートのスピードはなくなっちゃいましたよね」

 相変わらず厳しいBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)の適用を受けるMercedes-AMG GT3は、高地補正のない通常時で34.5mm×2という小径リストリクターに加え、燃調でも自然吸気FIA GT3勢で唯一の調整を受け、わずかな給油時間のアドバンテージと引き換えにパワーが絞られるなど困難な状況が続く。

 その上で、欧州より格段に高いグリップを持つタイヤと路面ミューの環境で勝負を強いられるだけに、エンジン以外の領域で勝負せざるを得ないのが現状だ。しかしストップ・アンド・ゴーのもてぎを制した得意のブレーキング面でも、意外な難敵に苦しめられた。

「トラコンはそんなに影響はしてないんですけど、ABSの方が多分ずいぶん細かく制御するようになったらしくて、悪く言うと融通が効かなくなった。結構、前半戦はネガティブな感じがありましたね。融通が効かないというのは勝手にABS入れちゃうとか、それで思ってた制動力が来なかったり、逆に来ちゃったり。第3戦の鈴鹿では悪さが目立って、そこをエンドレスさんが頑張って対処してくれて、第4戦(もてぎ)ぐらいから見えてきた」

 哲学の継続という点では、Mercedes-AMG GT3はフロントサスペンションのアッパーAアームを大胆に後傾させるなどし、ブレーキング時にピッチング方向の動きを抑制するアンチダイブ・ジオメトリーを採用している。当然、リヤも車体側でアンチリフトのピックアップポイントとしているが、この20年型は従来モデルに対してあらゆる領域で”メルセデス推奨セット”にも変化が起こっているという。

「足自体はあんな感じなので、ブレーキングでは縮まないですよね。なのでタイヤだけでノーズダイブする感じ。フロントのアンチダイブ設定については『そういう考え方、使い方があるんだな』って大前提だし、それを活かすように走らせてる」と続ける溝田エンジニア。

大型化したグリルと新形状スプリッターが従来型との最大の識別点。新デザインのヘッドライトもLMP1並みの性能を誇るという

バンパーのえぐりを深め、ディフューザー上面にも排出口を設ける。両側は窪みとし、ウイングレット状の外板をテールライト脇まで伸ばす

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