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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.03.08 11:33
更新日: 2021.03.08 11:34

LMcorsa 2021スーパーGT公式テスト岡山 テストレポート

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スーパーGT | LMcorsa 2021スーパーGT公式テスト岡山 テストレポート

S-GT2021 OFFICIAL TEST1 Okayama
LMcorsa REPORT

♯60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT

ニューマシンとなるSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは初期トラブルが発生して走行できないタイミングもあったが最終のセッション4ではトップタイムをマークし、潜在能力の高さを示す

 2021年シーズンは、6シーズンをともに戦ってきたLEXUS RC F GT3からマシンチェンジすることとなったLMcorsa。コロナ禍でスケジュール変更を含めて多大な影響を受けた2020年のスーパーGTだったが、8戦のシリーズ戦を7月から4ヶ月間という短期間で実施し、11月末に困難だったシーズンは締めくくられた。2020年シーズンのLMcorsaは開幕戦から波に乗ることができず、最終戦でポイントを獲得したもののチームの誰もが悔しさを噛みしめるシーズンとなった。

 そんなシーズンの終盤にチームはRC F GT3から新たなマシンへ変更する協議を行なっていた。候補に挙がったのは2020年シーズンに登場したGR Supra GTで、シーズン終了を待たずにマシン変更が決定。使用するタイヤも2年ぶりにダンロップタイヤに替わるなど、年末までに今季のパッケージが確定した。

 GT300(以前はJAF-GT)規定で製作されるGR Supra GTはRC F GT3のように自動車メーカーが生産するレーシングカーではなく、一からマシンを製作することになる。空力パーツや駆動系、足まわりなどの規定にも自由度があり、チームにモノ造りのノウハウが残せるのがGT300の特徴のひとつ。レーシングカーへの造詣をチームとして深めるためにもGR Supra GTは最適と判断したのだ。

 2021年1月21日にはLMcorsaの今季のチーム体制が発表され、開幕へ向けてマシン製作を進めていった。1月下旬からはLMcorsaのスタッフを製作するガレージへ派遣し、ペースを上げて開幕への準備を整えていく。2月中旬には完成までの道筋がみえ、2月20日にLMcorsaのガレージへ新型マシンが搬入された。そして、ドライバーのシート合わせやカラーリング、細部の調整などを経て、2月27日〜28日に公式テストと同じ岡山国際サーキットでシェイクダウンテストを実施。まずは初期トラブルの対応やマシンの素性を確かめることを中心としたテストで、2日間の走行を終えた。
 
 迎えた2021年のスーパーGTシリーズの開幕を告げる1回目の公式テストは、3月6日(土)〜7日(日)の2日間に亘って岡山国際サーキットで実施された。

 6日、7日ともに約2時間の走行セッションが2枠あり、2日間で約8時間のテストとなる。開幕戦までにGR Supra GTへの理解度を深め、より戦闘力の高いマシンに仕上げていくには貴重なテストで、今季から使用するダンロップタイヤの確認もあり、多くのテストメニューが想定されていた。

 6日は朝から岡山国際サーキットに陽が差し込み、10時の時点で気温は13℃、路面温度は17℃と3月上旬にしては良好なコンディションでテストは始まる。まず吉本大樹選手がSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗り込み5周ほど周回しマシンの状態をチェック。その後は、1〜3周してピットイン、アウトを繰り返していった。25周目にはベストタイムとなる1分27秒232をマーク。シェイクダウンテストと比べると2秒以上のタイムアップで、素性の良さを確かめる結果となった。セッション終了まで15分となったタイミングで河野駿佑選手が乗り込み、セッション1の走行を締めくくった。

 セッション2は14時から16時10分までの2時間10分の走行時間で、最後の20分はGT500、GT300クラスの専有走行枠が設けられていた。SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTには再び吉本選手が乗り込みスタート。だが6周目にトランスミッションのトラブルが発生し、コースサイドにマシンを止めてしまう。キャリアカーでピットに戻されたSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTはメカニックの懸命な作業によって、セッション2の終了間際に修復が完了する。GT300クラスの専有走行で復帰すると1分27秒台のタイムをマークし、トラブルは完全に解消。ただ、セッション2の周回数はわずか12周で、想定したメニューを消化できずに終わってしまった。

 公式テスト2日目も青空の下でセッション3がスタートした。ただ、前日より肌寒く気温は5度、路面温度は9度となっていた。

 まずは吉本選手がマシンに乗り込み7周を走行すると、河野選手にドライバーチェンジ。セーフティカー訓練を挟んで15周を走行すると、再びSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに吉本選手が乗り込む。タイヤの比較テストが中心となったセッション3は、9回のピットインを行ない合計で57周をラップした。ベストタイムは1分27秒124で、GT300クラスの28台中14位の順位となった。

 公式テストの最後となるセッション4は、13時45分からのスタート練習で始まった。河野選手がスタート練習を担当すると、すぐに吉本選手にドライバーチェンジ。セッション3から引き続きタイヤの比較を行なった。13周目には1分26秒934のタイムを記録し、ラップタイムモニターの最上部にSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTの名前が刻まれた。後半は河野選手がロングランテストを実施し、セットアップの方向性を確認。セッション4はアタックするマシンが少なかったが、トップタイムで1回目の公式テストを締めくくった。

 トラブルは発生したものの2日間で計162周を走行することができ、多くのデータを収集した。次回の走行機会は3月末に富士スピードウェイで実施される2回目の公式テスト。開幕戦まで約1ヵ月と限られた時間の中で、チームのマシンを仕上げていく作業は続く。

<飯田章監督>

「1週間前にシェイクダウンをしたばかりなので、まだまだマシンのことを知る必要があります。その中で公式テスト1日目にはトランスミッションのトラブルが発生しました。初期トラブルが起こることは想定内ですし、走り始めたばかりなのでしょうがない部分です。トラブルシューティングによってメカニックも育ちますし、経験値の高いエンジニアが多いので何か起きても心配していません。2日間を通してマシンの素性の高さは感じていますし、ドライバーのコメントからも期待が持てます」

<吉本大樹選手>

「GR Supra GTはGT3と違い手作りのマシンなので、ある程度のトラブルや部品が壊れることは想定しています。初日のセッション2ではコースサイドにマシンを止めて赤旗の原因を作ってしまいました。それでもメカニックの頑張りで残り10分のタイミングで復帰できました。そのお陰で2日目のテスト内容の方向性が見えたのです。2日目はタイヤテストが中心で、良いタイヤのベースがあるので濃い内容となりました。今はとにかくデータを集めて、方向性を決めることなく、色々なトライをして速さを求めていきたいです」

<河野駿佑選手>

「シェイクダウンテストのときに感じたのがGR Supra GTはフォーミュラに似た乗り味で、私のドライビングと合っていると思います。それは今回のテストでも同様の印象でした。1日目はトラブルで乗る機会が少なかったのですが、2日目はロングランのテストもでき課題が見つかりました。セットアップが合っている部分も確認できたので、次の富士スピードウェイでのテストでも新しいチャレンジをしていきたいです。2日間を通して吉本選手が中心となってマシンを仕上げていきましたが、良い方向に進んでいると思います」


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