同じく、今回初めてGT500で予選アタックを行った松下信治のカルソニック IMPUL GT-R陣営も予選後、長いミーティングを続けていた。ニッサン陣営としてはフリー走行でMOTUL AUTECH GT-Rが6番手となったことから、上位で戦える雰囲気が見えたが、結果としてGT-R4台全車がQ1敗退。ニッサン陣営を率いる松村基宏総監督が話す。
「路面の温度が午前の最後の時よりさらに4度上がって、タイヤ選択の面で本戦まで考えるとうまくつなげられなかった。そして多少のトラブルもあって、Q1の突破に影響を与えてしまったかなというのがあります。クルマの仕上がりが午前から午後にかけて悪くなったわけではないですし、ドライバーの責任ではないです」と、まずは23号車MOTUL GT-Rの状況を話す松村総監督。
どうやら23号車は松田次生がアタックしている最中、ギヤが入りづらい症状が出てしまったという。計算上はトラブルがなければQ1突破できていたというだけに、悔やまれるアクシデントとなってしまった。
「路面の温度が継続して上がっていくなかで、タイムは良くなっていくのが普通なんですけど、タイヤのセレクトを含めてちょっと難しい状況でした。12号車もそのように見えました。去年のまったく戦えないような状況とは違って、クルマの仕上がりはロングランを含めて悪くはないです。トヨタさんは燃料また絞られたなかで1分17秒台のタイムを出すのはすごいと思いますが、明日のレースでもファンのみなさまに喜んで頂けるよう、最後まで諦めずに戦います」と、松村総監督は決勝への抱負を語った。
予選で好調のトヨタGRスープラ陣営でも、実はポールのKeePer TOM’S GRスープラから5番手のZENT GRスープラまでは1.1秒の差があり、トップ5独占のインパクトに隠れて悔しい思いを残したチーム、ドライバーも多い。そのなかのひとりが、4番手タイムをマークしたDENSO KOBELCO SARD GRスープラの中山雄一だ。
「公式テストの時はもうちょっとクルマのフィーリングがよかったんですけど、走り出しからいいフィーリングがなかった。原因はまだつかみ切れていないんですけど、そのなかで出せるすべては出せたかなというアタックはできましたけど、ポールを獲ったクルマからはすごく差(コンマ7秒差)がある状況なので、今の現状はすごく悔しいです」と中山。
フリー走行では14番手と低迷してしまったが、そこから巻き返しての4番手は十分に価値があると思いきや、中山の表情は重いままだった。
「4番手ですけど、もうちょっと頑張ったらポールを獲れたという内容ではなく、全然離されてしまった4番手なので、フリー走行の順位から考えたらよかったですけど、テストの時から期待していた、考えていた目標の順位ではないのでフラストレーションが溜まる予選になりました」
オフのテストではトップタイムをマークするなど好調さを見せたDENSO KOBELCO SARD GRスープラ。その好調さが姿を消してしまった今回の予選に脇阪寿一監督を始め、チーム全体から失望感が漂っていた。
また、GRスープラ陣営としてはWedsSport ADVAN GRスープラの動きも不可解だった。国本雄資のアタックで予選Q1突破を果たしたWedsSport ADVAN GRスープラだったが、予選Q2では宮田莉朋がコースに入った周でそのままピットイン。いわゆるアウトインで予選Q2を最下位の8番手で終えた。予選後、坂東正敬監督に聞く。
「トラブルではなく、僕の独断の作戦面です。明日の決勝を見据えての作戦です。今回、GRスープラが速い状況で普通にガチンコで他の5台のGRスープラと戦ってもなかなか厳しいなと思っています。正直、もうちょっとホンダさんが上位に来ると思っていたんですけど、作戦を5パターンくらい用意して臨機応変に対応できるようにしています」と、坂東監督。
今年はこれまで週末に7セットのドライタイヤを持ち込み、そのなかの6セットを使用するかたちだったが、今年は持ち込みから6セットと、1セット減ることになった。チーム側にとってはタイヤセレクトで冒険する可能性が減り、コンサバな選択、そしてニュータイヤの使いどころに慎重にならざるを得なくなる。
この7セットから6セットの1セット減がチームのタイヤセレクトにどのように影響しているのか。今回のGRスープラ+ブリヂストン陣営のタイヤがNSX、GT-Rよりソフト目だったという噂もあり、まさかの連続となった今回の予選の様子からも、明日の決勝はこのままGRスープラ勢の優位のままでは終わらなそうな雰囲気がある。