決勝に向けては、GT300クラスの上位グリッドはさながら“ダンロップvsブリヂストン”の様相を呈している。
ポールポジションのBRZと同じくダンロップを履く予選3番手のSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは、「公式練習での状況に対して変えたい部分をいろいろとセットアップしていったら、すべてがいい方向にいき、自分でもびっくりするようなタイムが出た」とQ1 B組でトップタイムの河野駿佑。タイヤについてもBRZと似たものをチョイスしていると見られ、決勝では上位争いを演じてくれそうな存在だ。
また、SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTのQ1での最高速は、同じGRスープラ勢である埼玉トヨペットGB GR Supra GT、たかのこの湯 GR Supra GTに比べると3~4km/h程度劣っているが、これはコーナリングを重視しダウンフォースを付け気味で走っているからだという。ただ、「GT3勢はもちろん、BRZも意外と直線が速い」(河野)ということで、決勝に向けてはどれだけダウンフォースを削ってくるかもひとつの焦点となりそうだ。
2番手、4番手、5番手にはブリヂストン勢がつけているが、「僕らは決勝のレースペースも考えてタイヤ選択していますので」と4番手につける埼玉トヨペットGB GR Supra GTの川合孝汰が語るように、2回のピットストップのうち1回をタイヤ無交換で乗り切るという戦略を視野に入れている陣営もあるようだ。
今回のレースはドライバー交代を伴う2回のピットインが義務付けられているものの、タイヤ交換は義務ではない。このため、比較的高気温となる第1、第2スティントをタイヤ無交換で走り、気温の下がる第3スティントに向けて、2回目のピットでのみタイヤを交換するという戦略も成り立つ可能性がある。ブリヂストン勢に限らず、ヨコハマ勢からもその可能性を示唆する声が聞かれた。
タイヤ交換が義務化されていないことで、戦略面でどんな幅が出てくるのか。タイヤメーカーによって、ウォームアップ性能やロングラン性能はどう変わるのか。予選日も富士スピードウェイ周辺は16時をすぎると急激に冷え込んできており、昼と夕方の寒暖差が比較的大きい。このあたりも、長丁場となる決勝の行方を左右するかもしれない。