FCYが解除された後、阪口はアウトラップでタイヤが冷えた状態でピックアップを拾ってしまったか、ペースが上がらなかった。そこでそれまでトップだったGAINER TANAX GT-R、さらに埼玉トヨペットGB GR Supra GTが接近してくる。ただその後、ピックアップがとれてからはグングンペースが上がり、阪口は2番手以下を引き離しフィニッシュ。阪口にとっては嬉しいGT300初勝利を飾ってみせた。

「あとは、おそらくなのですがブレーキとアクセルを踏むタイミングが良かったですね。ウチは最後までズルズルにはならなかったので、最後まで抜かれる感触はなかったそうです。あとは52号車が来て11号車に仕掛けてくれたので、『頑張れ! でもウチは抜くなよ』と(笑)。あとはGT500のトップの1号車がどこにいるかを確認しながら走りました。ファイナルラップの裏のストレートで『1号車を行かせろ!』と指示を出しましたね」と渡邊チーフエンジニア。

「みんな作戦をうまくはめたくて努力しているし、いろんなことを考えたりしていますが、うまくいかないことがうまくいったので勝てたのだと思います。勝てるときというのは、そういうものなんだと思いますね」

 一方、思わぬ展開となったGAINER TANAX GT-Rの福田洋介チーフエンジニアは、「基本的に、普通に走っていたらぜんぜんタイヤはもたなかったです。スタート直後からドライバーは、『タイヤを保たせること』に集中していました」という。muta Racing Lotus MCの背後には迫ったが、「もてぎは2秒くらいペースが違わなければなかなか抜けませんから」と抜くほどのポテンシャルはなかったと振り返った。

「2号車との距離としても、スリップが効くからついてはいけるのですが、横に出てしまうと失速してしまう。逆に52号車も抜けなかったですよね。FCYのときに2号車が前に出て、そこで追い上げるのでタイヤの良いところは使い切ってしまっていましたね。あとはポイントをうまく平中選手がうまく抑えてくれました」

 そのGAINER TANAX GT-Rを追いつめていたのは埼玉トヨペットGB GR Supra GTの吉田広樹だ。四本交換を行い、好ペースでたかのこの湯 GR Supra GTをかわしたが、「FCYが入ったときに2号車がトップに出るだろうと予想はしていたので、それは仕方ないから、11号車との争いをしようと思っていました」と吉田。

「優勝争いはもちろんしたいですが、今後得意なサーキットは来る。優勝争いができるならするし、2番手がダメなら3位でしっかりとポイントを獲ろうと思っていました。でも予想外にトップが近づいたのでモチベーションが上がったというところです(笑)」

 吉田は可能な限り大きなポイントを獲ろうと平中を攻め立てたが、「使えるものはなんでも使ってでも抜こうと思っていましたが、平中さんがやっぱり上手いです(苦笑)。決定打がないですし、GT500を使っても、スキもみせてくれなかったです」と3位でレースを終えることになった。

 3台すべてがパフォーマンスを出し切り合った終盤の三つ巴の戦い。全力だからこそ、決定打がなかったのが最後までオーバーテイクが生まれなかった要因だったのだろう。

2021スーパーGT第4戦もてぎ GT300クラスの表彰台
2021スーパーGT第4戦もてぎ GT300クラスの表彰台

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