今季、Yogiboのカラーリングをまとい新たな体制で戦っているYogibo NSX GT3。ここまではなかなか歯車が噛み合わず、一度もポイントが獲れていなかったが、第3戦鈴鹿の予選Q1のA組で道上龍が2番手につけるなどスピードを取り戻し、第5戦SUGOでも道上が予選Q1で2番手に。毎戦NSX GT3に慣れつつある密山祥吾も、予選Q2で12番手につけた。

 そんなYogibo NSX GT3、300kmのレースではいつも道上がスタートドライバーを務め、密山が後半を担当する作戦だったが、今回、レース当日に「流れを変えてみたい」と密山をスタートドライバーに据えることを決断する。チームも戦略を練ってレースに臨んだ。

 密山は長丁場の第2戦富士以来のスタートだったが、混戦のなかで12番手をキープ。予選で使った柔らかめのタイヤでしっかりポジションを守り、29周まで走りピットイン。道上に交代する。後半スティントに用意したタイヤがハマり、道上は好ペースで戦っていった。

 Yogibo NSX GT3はStudie PLUS BMW、GAINER TANAX GT-Rに先行される展開となったが、Studie PLUS BMWをパス。フルコースイエロー明けに、GAINER TANAX GT-Rが加速が鈍ったのに乗じて8番手に浮上する。前を走るのは100kgのウエイトを積む、三宅淳詞駆るたかのこの湯 GR Supra GTだ。

 三宅が乗っていることには気づいていなかったという道上だったが、「いい動きしよるな」と好ブロックに遭いながらも、抜くポイントを冷静に見極めていた。たかのこの湯 GR Supra GTは中速コーナーが速く、なかなかオーバーテイクを仕掛けられずにいたが、4コーナーのブレーキングで差を詰められていることに気づく。

 68周目、4コーナーでズバリとインを差した道上は、三宅と接触しながらS字へ。「相手がアウト側の縁石に乗ったので、立ち上がりの加速で前に出ることができました。ホッとしました」と7番手へ浮上した。

たかのこの湯 GR Supra GTとYogibo NSX GT3
たかのこの湯 GR Supra GTとYogibo NSX GT3

「後半履いたタイヤとマシンバランスがすごく良かった」という道上は、最後まで好ペースをキープするが、フィニッシュ間際、前方に白いランボルギーニが見えてきた。無線で「あれ、同一ラップ?」と聞くが、なかなか返事がない。残りは2周で、このまま順位キープかと思ったが、ファイナルラップの馬の背で「抜いて下さい!」と無線が入った。

 その白いランボルギーニは、かつての僚友である小暮卓史がドライブするJLOC ランボルギーニ GT3。左側二輪交換で、「小暮はタイヤがブローしかけていて『こりゃ抜くやろ!』と最終コーナーでねじ込みました」とオーバーテイク。最後は6位でフィニッシュした。

「レース後、小暮のタイヤを見ましたがもうかなりダメージがあって。それでもSPコーナーなんかでもずっと流れていて、よくコントロールしているなと思いましたけどね。今回ポイントを獲れて嬉しいですし、良い流れにありますね」と道上はポイント獲得、そしてバトルを勝ち抜いたことに笑顔を浮かべた。

 このベテランらしい道上の奮戦と得点に、序盤の順位キープで密山も、そして作戦的中となった芳賀監督も大喜び。チームの浮上のきっかけにもなりそうだ(RH)。

■グッドスマイル 初音ミク AMG、3番手走行も無念のバースト

 前項で道上が言及しているランボルギーニ・小暮卓史の状況に代表されるように、SUGOではとくに左側のタイヤへの負担が大きく、それがレース後半に入ってさまざまな順位変動を引き起こした。

 土曜日の公式練習後、FCYテストのセッション中に左フロントのバーストに見舞われていたグッドスマイル 初音ミク AMGは、決勝でも同様に左フロントにタイヤトラブルが発生してしまった。

 7番手スタートから早めのピットインによるアンダーカットが成功、後半は3番手と表彰台圏内を走行中だった谷口信輝は「もちろん僕の周回数は長くなるので、タイヤが落ちてくることは避けられない。なのでいろいろと計算しながら、なんとか60号車(SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT)は抑えようと思っていました」という。ちなみに陣営は4輪交換を選択していた。

「おそらく、(バーストの兆しが出たのは)1コーナーのブレーキングですね。そこで空気が抜けて、シケイン抜けたらワーニング(ランプ)が点いて、ハイポイントではもう曲がらなかった」

 スロー走行でピットへと戻ったものの、当然ながらポイント圏外へと転落。23位でレースを終えることとなってしまった。

2021スーパーGT第5戦SUGO グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)
2021スーパーGT第5戦SUGO グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)

 また、100kgのサクセスウエイトを背負いながらもポイント圏内で奮闘していたたかのこの湯 GR Supra GTは、左側2輪交換を敢行。しかし、最後はウエイトも効いてか、やはりペースダウンに見舞われてしまう。

 8番手で最終ラップに突入していった三宅淳詞だったが、すでに限界の状態を迎えており、背後のK-tunes RC F GT3と接触の末、順位を明け渡してしまった。

 これらレース後半に生じた数々のドラマの結果、SUGO戦終了時点のポイントランキングは、なかなかの接戦となっている。

 ランキングトップでSUGOに乗り込んだたかのこの湯 GR Supra GTも2ポイント獲得でトップから3ポイント差のランキング3位。無念の結果に終わった4号車グッドスマイル 初音ミク AMG(ランキング11位)までも、20ポイント差“しか”ないと言っていいだろう。表彰台に登壇したリアライズ日産自動車大学校 GT-Rの強さは脅威ではあるが、残り3戦も緊張感のあるタイトル争いが展開されることを期待したい(as-web)。

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