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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.12.22 17:11

スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.19 山本尚貴さん

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スーパーGT | スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.19 山本尚貴さん

■現代のレーシングカーに合わせる、走りの変化のきっかけは

──その調子でいきましょう。あっ。伊沢さんからもうひとつあるのですが。
山本さん:まだあるぅ(笑)!?

──伊沢さんはSF(フォーミュラ・ニッポン)とGTで2008年デビューじゃないですか。でも今の走り方というのがぜんぜん違うそうで、けっこう意識を変えて乗っているらしいのですが、山本さんからそういったところで若手へのヒントとして、『これくらいは言ってもいいかな』というのはありますか?
山本さん:走り方が変わって、今はこういう走り方をしているという部分ですか? ありますね。

──伊沢さんは『昔はブレーキで頑張ればどうにかなった』と言っていましたが、今はだいぶ違います?
山本さん:違いますし、そうやって言っている本人(伊沢さん)から僕はヒントを得ています。たぶん、そのきっかけも伊沢さんなんですよね。何年とは言わないですが、走り方について『こうなのかな』と伊沢さんがけっこう取り組んでいた時期を知っていて、それを見て僕も、今までずっとやってきた走り方がやっぱり正しいわけではないし、ある種スタイルを変えてでも、現代のクルマに合わせることも必要なのかなとちょっと思い始めました。

 セオリーはやっぱり自分の走り方に合うクルマを作っていくことなんでしょうけど、今は使っているものも一緒だったり、作り込まれている現代のレーシングカーなので、必ずしも昔の、とにかく『ブレーキで奥まで行って、早く人よりもアクセルを踏んで』というものが必ずしも通用するような感じではないです。

 そのきっかけを与えてくれたのは伊沢さんで、やっぱり今のクルマは空力にかなり頼っているクルマなので、そういった激しい運転、空力やダウンフォースを失う走り方をしてしまうと、結局タイムが悪い方向に影響しちゃうこともあるので、頑張りどころは変えていますね。

──なるほど。これは『頑張りどころを変える』で若手ドライバーに伝わりますか?
山本さん:逆にみんな気がついてると思います。今の走り方というのは、FIA-F4とかスーパーフォーミュラ・ライツでも習得できて、それこそ現代のフォーミュラカーだしレーシングカーなので、若い子たちが上にポンと来ても普通に走れているというのは、やっぱりその下のカテゴリーから、タイヤも含め、そういったクルマになっているんじゃないのかな、と思っています。

 昔の方が大変だったかもしれないですね。上のカテゴリーと下のカテゴリーの差がすごく大きかったから、意外とみんな上にステップアップしていったときに、大きな差に感じて大変だったのかなというのは思います。だけど、今はステップが昔よりも縮まってるいので、ステップアップした先でのクルマの動かし方だったり、タイムの出し方にあまり苦労しなくても済むかもしれないですね。そう僕は思っています。

 なので、そういう子たちがどんどん上がってきて、そのステージですぐ活躍しちゃうわけだから、やっぱり僕たちベテランというのは、変えてはいけない、ブレてはいけないところはちゃんと持ちつつも、現代のレーシングカーに対して、今の若い子たちが習得して速さを出している走らせ方を柔軟に変えて捉えていかないといけないな、とはすごく思います。

 それを早い段階で伊沢さんは気がついていて、いろいろとなにかをやられていましたね。伊沢さんはそういった質問を僕にしてくれますけど、結局それって自分のため、僕のためじゃなくて、やっぱり若い子たちのためを考えてちゃんとそういう質問を振られてるところは、やっぱり伊沢さんらしいし、すごいなと思います。

──ちなみに、これは前回伊沢さんに取材したときに本人は否定されたのですが、伊沢さんの若手やタイヤなどを“育てる力”はすごいと思うんですが、山本さんはどう思いますか?
山本さん:『まあそうですね』とは伊沢さんは言わないでしょうね。そういう性格の人なので。自分がすごいとは決して外には言わないし、やっぱり背中で語るもんだと。ずっとトレーニングのときもそうですけど、『漢は黙って背中で語る』と昔から言っていたので、そのとおりです。あとは本人が言わなくても、やっぱり下の世代、僕も含めて、先輩がされてきたことをちゃんと見て、感じて、反応できるかが大事かなと思います。

 結局教えてから『こうしなさい』と言われてやるのでは、たぶんもう遅いと思うんですよ。もちろんそれで伸びる子もいっぱいいるだろうけど、そうではなく、やっぱり人がやっていたり先輩がやっているのを見て『この人すごいな』と思って、それを自分の肥やしにしていくという貪欲さがないと、それはいつの時代も変わらないのかなと思います。

──それはレースに限った話じゃないですね。
山本さん:そうですね。ふだんの生活もそうです。特に今は両方に家族がいるので、家族との関わり合いだったり、そういうことをやっぱり教えてもらったりだとか、まあ言わずとも、こういった感じで生活してるという基準みたいなものが僕のなかであったので、やっぱりずっと憧れみたいなのを持ち続けています。

 なので、僕が誰かに教えるのではなく、僕を見て学びたいと思ってくれる人がひとりでもふたりでもいてくれたら、それはそれでやっぱり素直にうれしいし、そういう子に対しては、ドアは常にオープンにしておきたいなと思いますね。

2021年はSTANLEY NSX-GTをドライブした山本尚貴2021年はSTANLEY NSX-GTをドライブした山本尚貴
2021年はSTANLEY NSX-GTをドライブした山本尚貴
STANLEY NSX-GT
STANLEY NSX-GT

■次の人選びはまさかの難航のすえ……

<<ふだんこのコーナーの取材は20分前後で終わるのですが、ついウッカリ時間オーバー。マネージャーさんが様子見に来たので、ちょっとペース上げます>>

──ありがとうございます。だいぶ押してしまいましたが、山本さんお悩みはございますか?
山本さん:悩み! それについては、僕がここでずっとグズグズ考えて悩んでも仕方ないので、いちおう悩みを相談する相手と悩みはもう用意してきました。時間が押しちゃうだろうと思って。

──おお。素晴らしい。
山本さん:相手は高木さんに……。

──……え〜と、高木さんというと、あの高木真一さんということ?
山本さん:はい。出てないですよね?

──これがですねぇ。出たんですよ。第4回目
山本さん:えっ!? そこ見落としてた。じゃあコレちょっとカットしておいて下さい(笑)。(編注:カットするわけありません)

──高木さんで“2周目”でもいいですよ。
山本さん:“2周目”アリですか? そうなると伊沢さんになっちゃいますけど(笑)。

──どんだけ伊沢さんに悩みぶつけたいのよ(笑)。
山本さん:たしかに。公開で悩みを打ち明けられるような内容じゃないので、それは後でメッセージでやり取りしようかなと思います(笑)。というか高木さんの回読んだっけな……。2周目はやっぱり、このコーナー的につまらないかな。

──お気遣いありがとうございます。
山本さん:いろんなドライバーに行かないといけないですからね。高木さんは若い子たちと接する時間がすごく多い選手のひとりだと思うので、若い子たちとの接し方で気にされてることはあるのかな……ということを聞きたかったのですが。

……では、高木さんと長年コンビを組まれていて、師匠でもあるような先輩とずっと言われているのをコメントでも見たことがあるので、新田さんに。

──……え〜と、新田さんというと、あの新田守男さんということ?
山本さん:はい。……えっ? もしかして新田さんも出てます?

──これが第3回目に……。
山本さん:もういないじゃないですか(笑)! でもそうなると、意外と自分の年齢が上なんだなということにも同時に気がつきました。全員上だと思っていたのに、もう意外と上から数えた方が早くなってきちゃってる(泣)。えぇ〜。新田さんも高木さんも出ちゃったんですか?

──あえて言いますが、“2周目”でもいいですよ。
山本さん:いやいや。じゃあ、そういうお悩みは存在したということで、別いきましょう。どうしようかな……。ホンダで続いて来ているから、ホンダで攻めていった方がいいのかな。

──伊沢さんとしては、ずっと他メーカーで続いていたので、しばらくホンダで回したいと言ってましたねぇ。
山本さん:本当ですか? じゃあ先輩がそう言ってるなら。でも(牧野)任祐だとチームメイトだし……。でもあまりチームメイトはいないですよね?

──今までないですな。新しいパターン。
山本さん:じゃあチームメイトにしよう。任祐で!

──では何を相談します?
山本さん:……これから僕はどうしていったらいいかということを(笑)。いま、GT500で12年目なんですけど、もう少し一線で活躍していきたいと思うなかで、『若手から僕はどう見えてますか?』と聞いてみたいです。

──それって、本音かどうかは抜きにして賞賛の嵐で終わってしまうのでは……?。
山本さん:いや大丈夫です。あいつはたぶん本音で言ってくれると思う。『でもここは直した方がいいんですよね〜』というのがたぶん出てくると思うんですよね。結局、キャリアを重ねて年齢を重ねると、やっぱりまわりでも『そうですよね』と言う人がどんどんと増えていっちゃうので、やっぱりダメなところとか直した方がいいことをちゃんと言ってくれる人がいてほしいなと。

 それを任祐に求めるのはちょっとどうかとも思うんですけど、たぶん今、伊沢さん以外でいちばん一緒にいる時間が長いのは任祐なので、任祐が昨年から一緒に見ていて、いいところと直してほしいところを必ず言ってほしい。あとは、若い世代から見て、今後先輩たちにどうしていってもらいたいか。

 僕は先輩を見て『こうしないといけないよな』とか『こうしたいな』と思ったり理想論があったけど、今の若い世代が、今の僕たちみたいな世代をどう見ていて、何を求めているのかというのを若い子からも聞いてみたいなと思います。

* * * * *

 そんなこんなで、ふだん雑誌のインタビューでも載らないような(?)ロングインタビューになってしまいましたが、いかがでしたか? あくまで出し手側からすると、このコーナーっぽくはありませんが、とても興味深い内容だったかなと。

 というわけで、次回は新たなパターンとして、チームメイト同士のリレーとなり牧野任祐選手が登場です。お楽しみに!

山本尚貴/牧野任祐のコンビ
山本尚貴/牧野任祐のコンビ


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