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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.12.27 10:28

あの無交換にも伏線あり。GT300上位勢のターニングポイントとなった“テスト”【2021スーパーGT総集編】

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スーパーGT | あの無交換にも伏線あり。GT300上位勢のターニングポイントとなった“テスト”【2021スーパーGT総集編】

 2021シーズン、最も「タラ・レバ」が多かったのはARTA NSX GT3陣営だろう。開幕戦岡山では、ルーキーの佐藤蓮が順位争いのなかで接触。コンビを組むベテラン・高木真一いわく、「GTでの緒戦と考えれば、あれは『勉強』だった。そのあと、(第2戦)富士ではしっかりと3位を獲ってくれたし」と、ある程度想定内。第5戦SUGOでも2位に入ったことでタイトル戦線には残る形となったが、そのSUGOの決勝で佐藤がペナルティポイントを貯めてしまったことが、第2の誤算につながってしまう。

 第6戦オートポリス、陣営として得意なサーキットでの戦いに期待が膨らんでいたが、公式練習で佐藤がクラッシュ。予選での上位進出を逃したばかりか「決勝セットも追いきれなかった。オートポリスは点数を獲らなければいけないラウンド。誤算でした」(高木)。

 公式練習でのクラッシュは、ペナルティポイント累積により、佐藤がセッション後半1時間の走行を禁じられたことに端を発している。いつもは高木が担当する2種類のタイヤ比較を、セッション前半にしか乗れない佐藤が行なう必要があった。ちょうど2セット目のニュータイヤを履いて出て行ったアウトラップ、「想像以上にタイヤが硬く、作動しなくて、ABSが介入してまっすぐ行ってしまった」(佐藤)のだ。

 ARTA陣営としては、これまで苦手としていたもてぎでの第7戦で「ブレーキングの改善というか、ABSの介入が少なくなり始めて、車両のセットもそれにうまく合わせることができた」(高木)のが今季一番の収穫となった。だが、その甲斐あってタイトルの可能性を残して挑むことができた最終戦では、またしても残念な接触によりレースを失ってしまう結果となった。

ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮)
ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮)

■SUGOが転機となったSUBARU BRZ

 新型車両導入によって空力や剛性面が強化され、SUBARU BRZ R&D SPORTのポテンシャルは確実に上がった。その結果、年間4回のPP獲得という圧倒的な速さを見せつけている。

 第2戦では表彰台にも立ったものの、前半戦にリアライズやGRスープラ勢の先行を許していたのは、セットアップやドライビングの“おいしいところ”がピンポイントな、ピーキーな性格のマシンに手を焼いていたからだ。タイヤのピークグリップに頼れる予選では速さを見せても、決勝ではペースを大幅に落としてしまう。さまざまなセットアップを探るなかで、夏場には一度タイヤの仕様が昨年に戻りかけるなど迷走。とくに第4戦もてぎ、第3戦鈴鹿では、「決勝に弱い」というイメージが定着してしまった。

 流れを変えることができたのは、第5戦SUGOだ。直前に行なわれたオートポリスのタイヤメーカーテストで、決勝ペースを維持できるセットアップが見つかっていた。これによりソフト側のタイヤで予選上位に食い込み、決勝ではそのタイヤを最後まで持たせるスタイルが機能し始めた。以降、予選セットと決勝セットが固まり始め、サクセスウエイトが最大となるオートポリスでも表彰台、続くもてぎでシングルフィニッシュと、着々とポイントを重ねていった。シーズン前半戦の“不安”は、完全に払拭できていた。

 もてぎでは4番手走行中の井口卓人がスピンを喫する場面も見られたが、すぐにコースへ復帰し、6位でフィニッシュできたのは幸いだった。

 ノーウエイトの最終戦でもPPを獲得したSUBARU BRZ。じつはこのときは持ち込んだなかでハード側のタイヤという、「いつもとは違う選択」をしていた。ソフト側のタイヤは早期にささくれ症状が起き、決勝では使えないことが公式練習で判明したのだ。

「レース前は、もっとソフトなスペックを持ち込もうとしていたのですが、ダンロップさんの推奨にしたがってハード側に振りました。もし当初の予定で持ち込んでいたら、どちらのスペックも使えなくて万事休す、となるところでした」(山内英輝)

 決勝では後半、山内が混戦のなかへピットアウト。そのままの順位を守れればタイトルは決まる。しかし、背後には1年間タイトルを争ったリアライズと、ARTAが迫ってきていた。チームから無線が飛ぶ。

「山内、プッシュ! プッシュ!」

 チームも状況の説明はしなかったし、山内もそれを聞きたい気持ちを抑え、目の前のマシンを抜くことに集中していた。タイヤ選択はいつもとは違ったが、攻める姿勢は「いつもどおり」。その勢いが通じたか、前を走る2台はトラブル、そしてGT500とラインが交錯して後退し、山内はポジションアップに成功。表彰台をもぎとって、SUBARU陣営にとって悲願だった初タイトルを祝うこととなった。

2021スーパーGT第8戦富士 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)
2021スーパーGT第8戦富士 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)

※この記事は『2021-2022スーパーGT公式ガイドブック総集編(auto sport臨時増刊)』(2021年12月24日発売)内の企画からの転載です。

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