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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.04.17 12:53
更新日: 2022.04.18 21:55

『10年後も音があるレース』を目指してGTA坂東正明代表がスーパーGTの今後の方針を発表【第1戦岡山】

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スーパーGT | 『10年後も音があるレース』を目指してGTA坂東正明代表がスーパーGTの今後の方針を発表【第1戦岡山】

 2022年スーパーGT開幕戦、第1戦岡山国際サーキットの決勝日に行われたGTアソシエイション(GTA)主催の定例会議の場で、今シーズンのGTAの方針と坂東正明代表が話すとともに、シリーズチャンピオンへの初の賞金制度、そして2023年から導入されるカーボンニュートラル・フューエルの契約会社の決定というふたつの記者発表も行われた。

 まずは今季のスーパーGTの大きな方針として、「10年後も音があるレース」を目指していくことを坂東代表が宣言した。

「環境問題に対して、我々スーパーGTは『10年後も音があるレース』を考えています。それを社会に認めてもらうために義務と責任を果たして、関係各位一丸となって環境対策を推進して参ります。当面の取り組みとしてレギュレーションの見直し、カーボンニュートラル・フューエルの(2023年からの)導入、そしてファンのみなさんと共に環境対策を推進するゴミの削減、及びゴミのリサイクル促進の3点で取り組んで行きます」と坂東代表。

 レギュレーション面では、「カーメーカーに対しては速さではなく、エンジンに対しては出力よりも燃費の向上、タイヤメーカーにはグリップよりもロングライフ化に向けたタイヤの開発の方向性で進めてほしいと要望しています」と坂東代表。

 2023年以降に向けたレース距離の延長とともに、タイヤの使用本数を今年は5回の300kmレースでは6セット、3回の450kmレースでは7セットの使用から、2023年はセット本数を減らす方向であることを示唆した。

 ふたつ目の化石燃料を一切使用しないカーボンニュートラル・フューエルの導入については、会見と同時に開催された記者発表会でドイツに本社があるハルターマン・カーレス・ジャパン株式会社との契約締結を発表。今年のテストを含め、2023年から3年間の契約でスーパーGT用のカーボンニュートラル・フューエルの供給を担当することになる。

 ハルターマン・カーレス社は、医療用、産業用、農業用などさまざまな市場で使用されるハイドロカーボンのリーディングカンパニーとして実績がある、イギリスとドイツの会社が合併した会社で生産拠点もドイツとイギリスが主になるという。150年以上の実績がある歴史の深い化学メーカーとのことで、スーパーGTにはまずはイギリスの製造工場で作られたカーボンニュートラル・フューエルが供給されるという。

 坂東代表によると「いくつかの企業と話をしたなかで、値段的なもの、きちんと運べるロジスティック供給体制、E10でのベンチテストなどを考慮して」、ハルターマン・カーレス社に決まったという。

 そのカーボンニュートラル・フューエルには第2世代バイオマスと呼ばれるゴミなどが原料となるとのことで、GTAの3つめの取り組みとして、スーパーGTのレース開催時のゴミなどを燃料とするプランを明らかにした。

「パドック、そして観客のゴミの削減とリサイクルの促進をサーキットで実施します。ゴミの排出量を数値化し、次年度に対して削減目標を定めて、スーパーGTが開催されるすべてのサーキットで出たリサイクル可能なゴミの100パーセントのリサイクルを目指します。お客さんに対しても、モータースポーツ関係者のみなさまにもご協力を頂きたいと思います」と坂東代表。

「スーパーGTに来てくれたお客様が1カ月に1kgゴミを減らしてくれれば、1年間で12kg。我々のGTのファンの方だけでも約50万人。自動車産業界の550万人の人たちが協力してくれれば1年間に最低でも6000万kgのゴミが削減できる。これは国家規模のコンテンツとして成り立つプロジェクトだと思っています。それだけのものを行った時に、『申し訳ないけれど』と言うよりは10年後に我々は胸を張って『義務と責任を果たした』と言って音の出せるレースを続ける目標としていきたい」と続けた。

 当然、化石燃料のガソリンに比べてコストが上がるが、その分は「コスト負担は俺だよ、といいたいけど基本的に100の内、チームが40パーセント、自動車メーカーが10パーセント、タイヤメーカー10パーセント、オーガナイザー/サーキットが10パーセント、GTAが10パーセント負担することになる」と坂東代表。

 今シーズンのカーボンニュートラル・フューエルの導入テストとして、GT500のメーカーには順次ベンチで検証を続けるとともに、8月の第5戦鈴鹿後に、GT500、GT300の全車が参加する合同テストを行い、検証することになるという。

 また、今回の会見では今年で25年目となるメインスポンサーであるオートバックスセブンとの契約延長を発表。合わせて、今シーズンからGT500、GT300のシリーズチャンピオンのチームにそれぞれ1000万円の賞金が贈呈されることが発表された。スーパーGTでレース参戦のインセンティブや獲得ポイントなどに準じたチームへの支払いとは別に、賞金として贈呈されることは初めてになるという。

 環境への対策とともに、ファンへのスーパーGTの魅力の発信の仕方など、2023年の導入に向けて今シーズンは貴重な1年になる。

GTA坂東代表とハルターマン・カーレス・ジャパンの川本代表
GTA坂東代表とハルターマン・カーレス・ジャパンの川本代表
GTA坂東代表と2022年シーズンの年間王者に送られるトロフィーを掲げるオートバックスセブンの小林喜夫巳代表取締役。
GTA坂東代表と2022年シーズンの年間王者に送られるトロフィーを掲げるオートバックスセブンの小林喜夫巳代表取締役。


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