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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.09.09 12:44

HOPPY team TSUCHIYA 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

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スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

HOPPY team TSUCHIYA
レース結果報告書
2022 SUPER GT Rd.5
鈴鹿サーキット

■日時 2022年8月27〜28日
■車両名 HOPPY Schatz GR Supra
■場所 鈴鹿サーキット
■ゼッケン 25
■監督 土屋武士
■ドライバー 松井孝允/野中誠太
■チーム HOPPY team TSUCHIYA
■リザルト 予選17位/決勝15位

決勝レースを走破
得たデータをもとに、さらに進化します!

 8月27、28日、鈴鹿サーキットにて開催された2022年SUPER GTシリーズ第5戦。前大会を欠場したNo.25 HOPPY Schatz GR Supraにとっては、およそ3カ月ぶりとなる実戦となる。まず、予選で17番手グリッドを得ると、450kmの長距離レースで着実な走りを披露。15位で戦いを終えている。

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 みなさん、ずいぶんご無沙汰していましたがお変わりないですか? 忘れられちゃってないか心配のホピ子です。

 7月中旬、鈴鹿サーキットでタイヤテストに臨んだのですが、この時、思いもしないアクシデントが起きてしまい、結果的には第4戦富士をお休みすることになりました。いつも応援してくださっているみなさんには申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、土屋武士監督はこれからのレース活動を見据え、腰を据えてクルマを作っていこうという決断を下しました。修復プラスα(アルファ)、つまり、直すだけでなく、しっかりと作り直すことを意識した作業に取り組んだのです。おかげでホピ子はカラーリングこそ変わりないですが、フロントの形状はじめ、中身があれこれアップデートしました。

 再生を果たしたホピ子ですが、心臓移植もしたんです。つまりエンジンも新しくなりました。武士監督にとってはエンジン交換がバジェット的に一番堪えたそうですが、参戦継続には致し方ないと腹を括ったそうです。このほか、内部の細かな部分においても色々と手を加えてもらいました。修理というよりも、新しく別のものを投入した箇所もあります。

 なにせ、ホピ子は”ホームメイド”仕様なもので。何か作業をするということは、結果としてその箇所が新しくなることに等しいわけです。もちろん、クラッシュを受けて富士のレースをお休みするのは苦渋の判断でしたが、今回の鈴鹿でその成果をしっかりと手に入れて、シーズン終盤戦をさらに内容のあるものにしたいという思いで決めたことなので、もう何がなんでも前を向いて進むしかありません!

 ちなみに、ガレージでクルマが仕上がったのは、24日。前戦鈴鹿からおよそ3カ月という限られた時間の中で、ホピ子を再生してくれたみなさん、また多岐にわたって協力してくださった関係者の方々、本当にありがとう。またサーキットでチームのみんなと戦えることになって、ワタシもうれしいです。

 さて、鈴鹿サーキットに入ったホピ子は、土曜日の午前中に行われた公式練習へと挑みます。今シーズン2度目のプロローグ……「シェイクダウン、再び!」という感じでした。そんな中、レースウィークの鈴鹿は、いつものような真夏の厳しい暑さというより少し和らいだ暑さに。湿度が下がるとピット前を涼しい風が吹き抜け、作業中のみなさんもずいぶん楽だったんじゃないのかな。とはいえ、ガレージ内ではひっきりなしに作業が続いていたので、そんな雰囲気すら味わえなかったかもしれないですね。

 気温30度、路面温度34度というコンディションの中、始まった公式練習。松井孝允くんの担当でコースに向かうも、しばらくすると頻繁にピットインしての作業が続きました。やはりシェイクダウンを兼ねた走行なのであれこれ確認する必要もあるし、どうしても不具合が出てしまうのです。中でもリヤのハブボルトのトラブル修復には、時間を要しました。結果、1時間半強の走行セッションながら、思うほど周回数を重ねることができずに終わった練習走行でした。また、トラブルの修復に時間がかかり、残念ながら野中誠太くんにはドライブするチャンスが巡ってきませんでした。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)

 お昼を迎えた鈴鹿では、少し夏らしい日差しがあり、暑さを感じるようになりました。しかし、午後3時20分からのノックアウト予選を迎える頃には、徐々に気温も路面温度も下降し始めます。気温31度、路面温度38度の中、Q1•A組出走となった予選には孝允くんが挑みました。思えば、孝允くんにとってシーズン初の予選だったんですよね。誠太くんは結構ドキドキしながら見守っていたそうですよ。

 14台が出走する中、他より早いタイミングでウォームアップし始めてアタックに向かった孝允くん。1分58秒944のタイムをマークし、ピットへクルマを戻しました。チェッカーが出たタイミングで8番手にいたので、「ホピ子、Q2進出確定か!?」と期待が膨らんだのですが……。チェッカーフラッグが出る中、最後の最後に1台がポジションアップ。あろうことか1000分の9秒という僅差で9位となり、惜しくもここで予選が終わりました。

 孝允くん曰く、公式練習でトラブルが出たので作業に時間がかかったことが響いたようです。クルマのフィーリングとしても、7月の鈴鹿でのテストで得ていたものとは異なっていたと。もしかしたら、「これって、本当にホピ子か!?」って思われたかもしれないですね。

 7月のテストでいたホピ子から、8月のホピ子があまりにも激しく!?アップデートしたことで、みなさんに戸惑いを感じさせることになったり、トラブル発生に繋がってしまったのであれば、なんだか申し訳ないような気にもなってしまうのですが、でも考えようによっては、トラブルが公式練習中に出て良かったとも思いました。

 結果として、アタックラップに挑めたわけですから。そんな訳で、予選が終わるとチームは翌日の決勝に向けてあれこれ作業に着手し始めました。最終的にサーキットを後にしたのは、午後11時頃。みなさん、お疲れ様でした。決勝ではしっかりと長丁場を走り切って、たくさんデータを持って帰りましょうね!ホピ子も久々のレースで、いい仕事をしますから!

 鈴鹿は決勝日も薄曇りの天気となりました。朝はひんやりとした風が吹いて、初秋の訪れを感じたくらいです。でも、”真夏の決戦”を演出したかったのか、太陽が顔を出してどんどん青空が広がりました。

前日は遅くまで作業していたチームのみなさんですが、疲れなど微塵も感じさせず、ガレージ内では決勝に向けてテキパキと仕事を進めています。そんな中、午後1時10分から始まったウォームアップ走行では、予選日でドライブを担当した孝允くんが状況確認を兼ねてまずコースへ。その後、誠太くんがようやくクルマに乗り込みました。

 前日、まったく乗るチャンスがなかった誠太くん。今シーズンは、他のカテゴリーにも参戦中なので、”レースの勘”の不安はないと言ってましたが、SUPER GTではルーキーなので、できる限りたくさんクルマに乗って経験を積みたいのは言うまでもありません。「決勝では焦ることなくしっかりと走って完走したい。ドライバーとしてできることがあると思うので、そこにフォーカスして戦いたい」と言ってましたが、レース直前のウォームアップ走行で重ねた周回数は、わずか5周ほど。正直、クルマの状況を見極めるまでには行かなかったと思います。

 その流れのまま迎えた決勝。誠太くんがスタートドライバーを務め、450kmレースの幕が上がりました。気温28度、路面温度39度の中、まずはポジションキープでオープニングラップを終えたのですが、実は2コーナーで他車との接触がありました。

 誠太くんは、バックミラーで破損したパーツが飛ぶのを目視したそうですが、ディフューザーがぐらついてしまったので、チームが無線でピットインを指示。3周を終えてピットに戻ってきました。コースに戻った後も、パーツを取り外したことへの影響はさほど感じなかったという誠太くんですが、それとは別にチームとしてのミスが出てしまいました。

 作業後、給油が始まるタイミングで誠太くんがエンジンを始動してしまったのです。いわゆるミスコミュニケーションでした。その瞬間、チームはペナルティの対象になると認識していたので、後にドライバーペナルティを受けた時にはすぐ誠太くんをピットインさせました。そして、コース復帰後の誠太くんは、仕切り直しの戦いを始めます。起こってしまったことは仕方ない。ならば、ライバルと距離が離れたことを良しとし、タイヤの状況やクルマのポテンシャルをしっかりと確認しようと気持ちを切り替えたのだとか。29周終わりでピットに戻るまで、誠太くんはしっかりとクルマの現状を把握すべく、集中して走り続けました。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)

 ルーティンワークでは、孝允くんへのドライバー交代はじめ、タイヤ交換、給油とすべての作業を行いました。この後、決勝でのロングランが始まり、孝允くんは1周、また1周と、クルマがどう変化していくのかを確かめながら距離を伸ばしていきます。ホピ子もそれに応えようと、奮闘しました。

 レースが終盤に入る中、チームではもう一度ピットインするタイミングを見計らっていたのですが、これより前、44周目には130Rでのクラッシュを受けてセーフティカーの、そして64周目にはFCYの導入があり、FCYが解除されたタイミングで孝允くんがもう一度ピットに戻ったんです。

 ホピ子の燃料が足りないとわかっていたので、チェッカーまでに必要な分だけをちょこっと足して……いわゆる”スプラッシュ”というものですが、また慌ただしくコースに向かった次第です。走行中にスプラッシュの必要があることは想定できていたので、孝允くんは落ち着いてミッションをこなすことができたとレース後に振り返ってました。

 こうして、ホピ子は71周を走破し、15位でチェッカーを受けました。レースを迎えるまで、どれだけみんなが骨を折って仕事に邁進したか、それがどれだけ大変だったか、(当たり前だけど)よーく知っているだけに、決勝で粛々と周回を積み重ね、大きなトラブルもなくレーシングスピードで最後まで走り切ったことは、とても大きな収穫だったし、ホピ子も充実感を味わうことができました。

 あっ、ただ孝允くんが気になることを吐露してました。決勝中、車内がめちゃ暑かったんだとか。孝允くんだけでなく、誠太くんもちょっと暑さにやられてしまったらしいです。これは聞き捨てなりません! 搭載していたエアコンの効きが悪かったようなので、改善が必要ですね。次のSUGOは9月中旬だから、もう大丈夫って!? いえいえ、それはなりません。この時期のSUGOは天気次第で残暑厳しい可能性もあるから、万全の対策を施さねば。

 そんなこんなでちょっとドタバタ感もあった中で戦いを終えた第5戦鈴鹿でした。ホピ子にとっては、またチームのみんなと一緒に戦えたこと、ファンのみなさんの前で生まれ変わった姿をお披露目できたことがなによりもうれしく幸せに思えたレースウィークでした。シーズンは残すところ3戦ですが、ホピ子はまだまだ進化の余地がたくさんあるだけに、これからもコツコツと生まれ変わりながら立派なレーシングカーになっていきたいと思っています!

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)

■レースを終えて
松井孝允のコメント

「僕のスティントでは、最初から最後まで特に不具合もなく、決勝でのデータというか、長距離を走ることでクルマがどういう風に変化するのかを見れた決勝だったなと思います。レース後、工場に戻ったクルマのデータを確認したのですが、レースウィーク中に変化を感じ取った部分がやはりデータにも表れていたので、結果としてパフォーマンスを向上させるために、何が必要なのかというものもわかりました」

「予選でも感じていましたが、ひと言でいうとダウンフォースがもっと欲しいという結論になりました。前のクルマではダウンフォースが出てたのですが、じゃあどうして出ていたのかというのを見極めるために、第3戦鈴鹿のものや鈴鹿でのタイヤテストと比較したりして、なんとなくではありますが見えてきたものがあります。どうすればいいのかはこれからの話ですが、やるべきとが見えただけでも大きな収穫だったと思います」

野中誠太のコメント

「今回大きく変わったのがフロント周りだったのですが、それが思っていた以上に変化はあったものの、あまりいい方向ではなかったんです。そういう兆候があることは、予選の時から松井さんからいろいろ伝えていただいていました。やはり僕も同じように感じてはいたんですが、それよりも(決勝では)ずっと全開で走れたというのが大きな収穫というか……。そのことでタイヤの評価もできましたし、周回する中で今のクルマの課題というのがはっきりと見えてきたので、そういった意味ではすごく次に繋がるスティントだったかなと思います」

「一方、バランス的にはレベルが以前に比べて少しだけ低くなっている状況だったにも関わらず、予選アタックであの順位(Q1・A組9位)だったので、この先もっと良くなると思いました。コース的には次のSUGOは僕らにとってチャンスがあるコースなので、ここでしっかり結果に繋ぎたいと思っています。やるべきことが明確になったので、この先はポジティブに準備を進めていくことができると感じています」

土屋武士監督のコメント

「まず車両修復に際してたくさんの方々からご声援、そしてご支援を頂きましたこと御礼申し上げます。ありがとうございました。テストで車両にトラブルがありクラッシュをしてしまい前戦を欠場しましたが、大きなクラッシュにもかかわらず野中選手に大きな怪我がなかったことに安堵しました。そしてこの次は必ずドライバーの二人が全開で走れるクルマにして戻ってこようとチームで話し合い、メカのみんながハードワークをこなしてきました。そして今回、少々トラブルは出たものの、過酷な夏の鈴鹿のレースを走り切ることができて、ようやくスタートラインに立ったような気持ちでいます」

「やはりいちからの車両製作はいくつもの壁を乗り越えなければスタートラインにもつけないんだなぁ、ということを実感していますが、それは先人たちもやってきたこと。我々も、その経験を今積んでいるということが一つ一つ財産になっていることを実感しています」

「今シーズンも早くも残り3戦となってしまいましたが、ここからは前に進むだけです。応援頂いている皆さんの期待に応えるためにも、しっかりレースを戦ってリザルトを残していきたいと思っていますので、今後とも応援のほどよろしくお願い致します!」

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 松井孝允/野中誠太(HOPPY Schatz GR Supra)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 松井孝允/野中誠太(HOPPY Schatz GR Supra)


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