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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.09.29 19:55
更新日: 2022.09.29 19:56

Max Racing 2022スーパーGT第6戦SUGO レースレポート

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スーパーGT | Max Racing 2022スーパーGT第6戦SUGO レースレポート

Max Racing
レース結果報告書
2022 SUPER GT Rd.6 スポーツランドSUGO

日時:2022年9月17~18日
車両名:HACHI-ICHI GR Supra GT
場所:スポーツランドSUGO
ゼッケン:244
監督:田中哲也
ドライバー:佐藤公哉/三宅淳詞
チーム:Max Racing
リザルト:予選25位/決勝14位

突然の天候悪化にも左右されず、14位完走を果たす

 前回の第5戦鈴鹿大会では、表彰台も視野に入れた戦いを繰り広げていたMax RacingのNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GT。チームとしては、手のひらからこぼれ落ちたチャンスに意気消沈する間もなく、今大会第6戦SUGOに向けてただひたすらに作業に取り掛かる日々。確か鈴鹿戦の前も同じような作業をしていたような……と考えても何も始まらないので、とにかく手を、身体を動かすだけでした。

 迎えたSUGOは、9月中旬の東北地方とは思えないほど強い日差しに加え、蒸し暑さを感じる天気でした。土曜日は改めてシェイクダウンのような感覚で走行をスタート。さまざまな問題点や課題が見つかり、思うほど周回数を重ねることができないまま予選を迎え、25番手に留まりました。また、翌日の決勝日は朝から雲行きが怪しく、レース途中に雨が降るなど不安定な状況が続きました。GT300規定車両としては雨のコンディションが不利に働くことから、厳しいレース展開になったのは言うまでもありません。その中でチームは、“今この状況で何ができるか?”を最優先に考えながら、チェッカーを目指した結果、14位完走を手にすることとなりました。

 久々に果たしたレース完走。ホッとした気持ちもありますが、チームとしてはこれからが真の勝負になるという思いがあります。予選でのポールポジション、そしてレースでの優勝と、高く目標を掲げて残り2戦も“突っ走って”参ります。

 秋晴れの天気となったスポーツランドSUGO。予選日の17日は午前9時25分から公式練習が始まりました。気温24度、路面温度30度と数値だけを見れば、過ごしやすい天候に思いますが、実際は湿度も高く、強い日差しが照りつけて汗ばむ陽気でした。さて、このセッションは、No.244 HACHI-ICHI GR Supra GTにとって鈴鹿戦でのクラッシュ後の初走行にあたります。SUGOのピットでも細かな修復作業を続ける必要もありましたが、まずは佐藤公哉が生まれ変わったNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GTに乗り込み、コースへ向かいました。

 クルマの状況を把握し、レースで装着するタイヤの見極めやセットアップを行うのがこのセッションの目標でしたが、実のところ、それ以前に見直したいポイントがあり、その原因解明に向けて慌ただしく作業が続きました。コースアウトし、数周走ってピットイン。作業を行い、またコースへ。これを何度も繰り返すだけであっという間にセッションが終了。当然のことながら、アタックシミュレーションもままならず、やるべきことが数多く残されました。

2022スーパーGT第6戦SUGO 土屋武士/佐藤公哉/三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)
2022スーパーGT第6戦SUGO 土屋武士/佐藤公哉/三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)

 ノックアウト予選Q1はA組出走となったNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GT。佐藤がその担当です。午後2時30分、気温26度、路面温度31度下でのセッションが始まると、佐藤は計測3周目に1分19秒407をマークし、10番手に。さらにもう1周アタックを続け、1分19秒399へとタイムアップしたのですが、他車も同じように自己ベストタイムを更新したため、14番手でセッションを終了。Q2進出は果たせませんでした。

 予選日の走行を終えたピット内では、再び作業が始まりました。今日一日で明らかになった問題点を解消するためです。ドライバー、監督、エンジニアそしてメカニックが一つになって原因を突き止めて、少しでもいいクルマに仕上げて決勝に臨もう……。その気持ちを一番に作業は夜遅くまで続きました。

 慌ただしく初日を終え、Q1を担当した佐藤は改めてドライブすることとなったNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GTについて、「操作面では何ひとつ問題なく走ることができました」と、安堵した様子でしたが、一方で、“レースで戦う”ために足りないものがあるという不安も抱えていたようです。それでも、「あとは、どうしたら速さが出せるか、乗る前に思い描いていたような感度がどうしたら出せるのか……。乗った時に得たフィーリングを監督やエンジニアに伝え、明日の決勝に向けてクルマ作りを進めていくことになると思います。シーズン終盤のレースに向けてもやることがあると思うので、明日はしっかりとレースができればと」と気持ちを切り替えていました。

 また、三宅もクルマの仕上がりに対して、いろいろと思い悩んでいました。「今日のクルマには速さがありませんでした。鈴鹿で大きなクラッシュがあり、短期間でクルマを直してもらったことはありがたいのですが、正直なところフィーリングが良いとは言えない状態でした。その理由がどこにあるのか、その見極めが難しい状況です。ただ、今後も含めてデータを取る必要もあるので、まずはその原因を解明して決勝に繋げられたらと思います」と、現状を説明しつつ、その中でベストを尽くそうと前を向いていました。

2022スーパーGT第6戦SUGO 田中哲也監督/三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)
2022スーパーGT第6戦SUGO 田中哲也監督/三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)

 決勝日の18日は、前日よりもさらに蒸し暑い朝を迎えました。ところが、すぐさま冷たい風が吹いてどんよりとした灰色の雲がサーキット上空を包み込むなど、落ち着かないコンディションになっていきました。決勝直前の気温は28度、路面温度は36度と前日の数値を上回っていたのですが、その直前にはパラパラと雨が降っており、レース中の降雨の可能性が一段と高まりました。なお、チームでは決勝を控えたウォームアップ走行で得たフィーリングをもとに、決勝を待つグリッド上でも大幅なセッティング変更に着手。時間の許す限り、最後の最後までできることを追求し、決勝に臨みました。

 午後2時に幕が開けた決勝。No.244 HACHI-ICHI GR Supra GTには佐藤が乗り込みます。オープニングラップでは、GT300の2台が3コーナーで接触してセーフティカーを招くことになりましたが、佐藤は何事もなく22位でと安定したペースで周回を重ねていきます。今回の一番の目標である”最後まで走り切ってチェッカーを受けること”を念頭に、ステアリングを握り続けました。また、田中哲也監督も確実なレース運びを意識しつつ、采配を振りました。

 一方、心配していた雨はレースが始まって30分もしないうちに降り出しました。チームは16周終わりにピットインを指示、ウエットタイヤに交換後もそのまま佐藤がドライブを担当し続けました。レースはその後19周目にFCYが導入されたり、小康状態だった雨が上がって路面が少しずつドライアップに向かうなど、刻々と状況が変化していきます。ウエットタイヤで周回を続けるNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GTとしては、そろそろスリックタイヤへ交換し、さらにタイムアップを狙いたいところ。そこでチームはルーティンワークのタイミングでのタイヤ交換実施を決め、48周終わりでピットインを実施しました。

 多くのGT300車両が同様の作業をしており、コースに戻った各車との攻防戦も意識したレース後半でしたが、佐藤から委ねられたバトンを引き継いだ三宅は、まずは最後まで走り切ることを強く意識して戦いに挑んでいました。スリックタイヤで安定したタイムを刻み始めた三宅。決勝直前に変更したセッティングも奏功し、次第にペースアップし始めます。スティント担当から10周もしない56周には、レース中のチームベストタイムとなる1分20秒599をマークするなど、順調に周回を続けていきました。

 またこの時点でポジションも18番手まで上昇。さらにペースアップし、ポジションアップもできなくはない状況ではありましたが、これまで”想定外”のレース内容で厳しい状況下に置かれてきたチームとしては、なにはさておき“まず完走”という思いも強く、三宅に対して攻めの走りをリクエストする状況でなかったこともまた事実です。結果、三宅はゴールを目指すことを意識した走りを続け、No.244 HACHI-ICHI GR Supra GTは無事に77周を走破。14位の結果を手にしました。

 今回のSUGOでは、これまでの仕切り直しを無事に済ませ、悪い流れを断ち切ることができたと思います。応援くださる皆さまにはなかなかいいところをお見せできず、悔しい思いばかりが先行しましたが、残り2戦は力強い戦いを披露したいと思うばかりです。続く第7戦の舞台は九州・オートポリス。タイヤに厳しく、アップダウンに富んだコースはNAエンジンを搭載するNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GTにとっては難敵のサーキットでもあります。しかしながら、ウェイトハンデがないことを逆手に取り、予選から積極的なアプローチをして、ひとつでも前の順位を手にできるよう、さらに前を向いて頑張っていきたいと思います。

2022スーパーGT第6戦SUGO HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)
2022スーパーGT第6戦SUGO HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)

■田中哲也監督

「短期間での作業でSUGOに向けての準備を進めつつ、SUGOに入ってからも現場でさまざまな作業を続けるなど、ギリギリの状態で間に合わせることができました。みんなが努力し、頑張ってきたおかげです。前回のクラッシュにおける修復作業が予想よりも多く、SUGOの走り出しでは、きちんと走ることができるのかも含め、まるでシェイクダウンを行っているような感じでした。バタバタしながらもできることを試しつつ、セッティングを変更し、またはっきりとしない不調の原因を解析するために、予選後にはクルマをバラして夜遅くまで作業をするなど、最善策を練りました」

「日曜の決勝を迎えても、なおできることに着手しましたが、これもこの先のレースにつなげるため。あいにくレースでは所々で雨が降るなど落ち着かない展開になりましたが、その中で両ドライバーには、“攻めたい”と思う気持ちをセーブしてもらい、確実に走行して完走し、チームとして流れを変えることに集中してもらいました。正直、セーフティマージンを取るレース展開にはなりましたが、今回完走を達成することで、次のステップに進むことができるという思いがありました」

「終盤、ドライアップしたコンディションのなか、三宅は安定した速さを見せていたと思います。走りを見ていて『クルマがいい方向に向かっている』という手応えを得ることができました。今回の完走によって、チームとしては悪い流れを断ち切り、リセットすることができたと思います。この先は、速さを意識したクルマ作りに着手できるので、またひとつひとつみんなで一生懸命取り組み、強い気持ちで戦っていきたいですね」

■佐藤公哉

「連日連夜、スタッフの皆さんが作業を続けてくれたこともあり、完走を果たすことができたのですが、良くなった部分を持ち帰りたかったのですが、実際には雨も降るなど難しい条件でのレースになりました。予選後からセットアップも大幅に変更し、その確認を兼ねての走行になりましたが、改善していていい方向に向かっていたと思います。一方で、まだスピードが足らないという風にも感じました。レース中は途中から雨になり、まずスリックタイヤで濡れた路面の中をコントロールすることも大変でしたが、その後、ウエットタイヤへ交換後は、クルマのバランスをもっと見直す必要があると思いました。状況的にアンダーステアが強く、ペースアップするのも難しかったです」

「後半、雨が止んでコンディションが変わったタイミングでピットインできるよう、うまくタイヤを持たせながら走ってほしいというチームのリクエストに応えるべくマネジメントにも努めて走りました。タイミングとしては、コース上にドライラインが見えてきた時にピットインしたのでそこは良かったと思います」

「オートポリスのレースを見据えると、まだセットアップを煮詰めていかないといけないと思っています。残り2戦で何を残せるか、変わることが必要ですね。いつも以上に時間がないので、できることも限られますが、少しのことでも大きな変化を生むことがあるので、何か見つけられたらと思います」

■三宅淳詞

「予選がうまくいかなかったことを受け、田中監督、土屋エンジニア含めたチームのみんなで仮説を立てて対策しました。決勝前のウォームアップ走行で、クルマの変化を感じることができたのでグリッド上でも時間ギリギリまで作業をしてもらいました。完全にいい状態のフィーリングまで戻ったわけではないですが、かなりいい方向になり、レースも手応えあるものでした」

「雨を意識したレースになり、GT300規定車両としては難しいコンディションになると予想されたのですが、雨が降り始めるなか、やはりスリックタイヤでの走行を続けることが難しくウエットタイヤに交換しました。ルーティン作業と合わせてタイヤをスリックに戻しての走行でしたが、クルマはセットアップを変更したことに対しての反応もあり、フィーリングも変わっていましたが、周りと比較してもペース良く走れて追い上げることができる状況でもありました」

「レース終盤には、またパラパラと雨が降ってくることもありましたが、そこで攻めの走りをすれば、ポジションも上げられたかもしれません。ですが、僕たちはきちんとレースを走り切ってチェッカーを受けるということを長らくしていなかったので、監督とも無線のやりとりをしながら、無理することなく完走を第一に走ることに重点を置きました」

「次のオートポリスでは、僕らはウエイトの影響を受けることがないものの、NAエンジンではメインストレートが厳しい状態にもなります。その先の1コーナーではバトルもあるのですが、抜くことが難しい分、まずは予選で前に行くことを第一に頑張っていきたいですね。ポールポジションを狙えるような一撃の速さがあるクルマで戦いたいと思います」

2022スーパーGT第6戦SUGO 佐藤公哉/三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)
2022スーパーGT第6戦SUGO 佐藤公哉/三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)


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