レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.11.16 17:03

apr GR86 GT 2022スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | apr GR86 GT 2022スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT300km RACE GRANDFINAL
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県)/4.801km
11月5日(予選)天候:曇りのち晴れコースコンディション:ドライ観客数:13,500人
11月6日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:26,000人

追い上げが期待された最終戦
貰い事故によって序盤でリタイア……

 シリーズ全8戦で争われた2022年のスーパーGTは、モビリティリゾートもてぎを舞台にして最終戦、「MOTEGIGT300kmRACEGRANDFINAL」として開催された。

 2台体制を採るaprは、1台をトヨタGR86に改め、『apr GR86 GT』として不動のコンビ、永井宏明選手と織戸学選手に託して参戦し、タイヤは信頼のヨコハマタイヤを使用する。鈴鹿での第5戦で3位入賞を果たした一方で、以降2戦はどうにもツキがない。

 コンマ1秒にも満たない差でQ1突破を逃し、SUGOの第6戦は追突されもした。しかし、2戦ともバトルを繰り広げたことで長所も短所も洗い出され、ニューマシンとして進むべき方向が、より明らかになったのは大きな収穫だった。

 産みの苦しみは、もうこれまで。ほぼ全車ノーハンデで臨む最終戦は、本来のポテンシャルを取り戻したライバルが楽な戦いを許してくれないのは明白だ。だからこそベストを尽くして、結果を残せれば、きっと心地よいシーズンオフを過ごせるだろう。

公式練習 11月5日(土)9:35〜11:10

 最終戦の舞台である、モビリティリゾートもてぎはストップ&ゴーを繰り返すレイアウトで知られ、タイヤにはそれほど厳しくないが、ブレーキにかかる負担は極めて多い。また、2本のストレートはそれほど長くない一方で、コーナリング性能の高さより、ひとつひとつのコーナー立ち上がりの速さが問われ、一見した印象よりもはるかにパワーサーキットなのである。

 グランドスタンドからホームストレート、ピットの距離が遠いもてぎではあるが、今回もオーバルコースのピット上に仮設スタンドが設けられ、臨場感がグッとアップ。公式練習の開始は9時35分からだが、早くも観客の姿があり、相変わらずの人気ぶりを感じさせた。なお、この段階での気温は14度、路面温度は19度。上空には雲もあり、時期相応のコンディションではあった。今回も最初に、『apr GR86 GT』に乗り込んだのは織戸だ。コースオープンと同時にピットを離れ、いきなり周回を重ねると、さっそく1分47秒979をマークし、その時点での10番手につける。

 しかし、トップはすでに1分46秒台に到達。また、これがセッションベストになってしまった。今回は開始から20分経過しないうちに永井へと交代。予選シミュレーションが2度行われるが、1分48秒台に突入ならず。そこで織戸が再びマシンに乗り込み、短い周回でピットストップを繰り返し、セットが改められていく。その甲斐はあった。ラストのクラス専有走行は再び永井がドライブし、1分48秒723をマークするまでに。続けて行われたFCY(フルコースイエロー)テストで再確認もでき、予選、決勝に向けた方向性は見えてきた。

2022スーパーGT第8戦もてぎ apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2022スーパーGT第8戦もてぎ apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)

公式予選Q1 11月5日(土)14:20〜14:30

 公式予選の途中から現れ始めた青空は、公式予選が始まる頃にもそのまま。気温は16度、路面温度は27度と、よりコンディションは向上していた。今回もQ1担当は織戸選手。『apr GR86 GT』はA組での走行になった。

 アタックは計測3周目から。ウォームアップを入念に行った後、織戸はコースを果敢に攻め立てる。まずは1分47秒201をマークするも9番手。あとひとつ及ばない。次の周には1分46秒991にまで短縮するが、ライバルもまた……。11番手に留まり、Q1突破はかなわなかった。ボーダーラインには、わずかコンマ4秒。ちなみにA組のQ1突破車両はすべてがFIA-GT3車両、GTA-GT300車両は1台もQ1を突破できなかった。

永井宏明選手

「クルマは持込状態から徐々に良くなっていますが、まだアンダーステアが出ていて、もうちょっとそこが改善できれば、決勝はいいと思います。流れは決して悪くは無いのでチームとミーティングして、明日に向けてセットを更に煮詰めて対策したいと思います」

織戸学選手

「ちょっとここはJAF勢(GTA-GT300車両)にはきつい。パワーが無くてストレートが遅すぎて、全く競技になっていない。走り始めから予選に向けては、すごく良くなっているんだけど、アンダーステアもありコーナースピードも足りなかった。もうちょっとセットアップで絞り出さないと。決勝に向けての不安はないけど、ただ後ろからのスタートだからね。でも、頑張ります」

金曽裕人監督

「もうちょっとではありましたが、やはり朝の公式練習でセットアップの方向性を探るのに時間がかかり過ぎて、クルマを決めきれていなかったというところが、予選でうまくいかなかった理由ではあります。しかし見てのとおり、まともにQ1通っているJAF車両(GTA-GT300車両)なんていないにも等しいだけに、健闘した方だと思っています。織戸選手のアタックにもミスは見えませんでしたが、まぁ、アクセルを床まで踏んだかどうかがクエスチョンかな? 踏みちぎれって(苦笑)。ドライバーがどうにもできない領域に入っているような気がします」

2022スーパーGT第8戦もてぎ apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2022スーパーGT第8戦もてぎ apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)

決勝レース(63周) 11月6日(日)13:00〜

 小春日和に恵まれたもてぎには、予想どおり大観衆が詰めかけ、肌寒さを吹き飛ばすような熱気さえ感じられたほど。決勝前に行われたウォームアップは、第6戦以来となるスタート担当の永井選手から走り始め、計測2周目には早くも1分50秒台に入れ、4周目には1分49秒294をマーク。最後に1周だけ織戸選手が走って、最終チェックを完了、決勝に向けては確実な手応えを得られた。

 気温は16度、路面温度は27度と、程よいコンディションの中、22番グリッドに並んだ『apr GR86 GT』が果たしてどこまで順位を上げるのか。スタートはまずまず。永井選手はポジションキープでレースを開始するが、その後のペースは悪くない。やや渋滞気味の状況の中、虎視眈々と上昇のチャンスをうかがっていたのは間違いない。

 やがてストレートの速さに勝るFIA-GT3勢には離されてしまうも、GTA-GT300車両は従えて周回を重ねるようになる『apr GR86 GT』。まさに我慢の時だった。そんな中、8周目の3〜4コーナーで、GT500クラスの中位でバトルを繰り広げる集団と遭遇。永井選手がそんな状況を確認していたのは明らか。3コーナーの進入でラインを譲っていたからだ。ところが、大渋滞状態でオーバーテイクを試みていた車両があったからたまらない。その直後に永井選手はヒットされ、姿勢を乱したところに後続車両が激突!左フロントを大破した『apr GR86 GT』は、その場を離れることはできたものの、ダメージは足回りにも及んでおり、やがてコース脇にストップ。無念のリタイアとなった。

 まさにこれからというタイミングでのアクシデント。シリーズ後半戦は、ツキがなかった。今季初のリタイアとなったものの、第5戦鈴鹿での3位入賞もあってチームランキングでは17位、GTA-GT300車両としては4番目の結果を残せた。いかにFIA-GT3車両が優位なシーズンだったか、理解してもらえるのではないか。しかし、オフの間に『apr GR86 GT』はさらに磨きがかけられ、進化を遂げるはず。2年目の大躍進に期待してほしい。

永井宏明選手

「追突され、コース上にストップしてしまったので、そこにぶつけられて、クルマは壊れてしまいました。残念ながらリタイアとなって、最終戦だったので走りきって終わりたかったから、悔しい思いです。レース中のことなので、どういうジャッジが下されるかわかりませんが、僕たちのレースは終わってしまったので、残念です」

織戸学選手

「あれでペナルティが何も出ない、それがちょっとおかしい。今も競技団と話し合っていますけど、残念です。いい雰囲気で最終戦を終わりたかったのですが……。来年、リベンジします」

金曽裕人監督

「正直、『あれはないよ!』という感じです。ドライバーはなんともできないし、永井選手のドライビングミスでもなんでもありません。それまでいいレース運びでしたが、あれは完全に貰い事故。致し方ないけど、クルマは決勝ではいいペースで行けていたので残念です。でも、この後、オフシーズンにアップデートして、もっと速いクルマを作っていこうと考えています。来年に期待してください。応援下さったすべての皆様、1年間ありがとうございました」


関連のニュース