LMcorsa 2023スーパーGT富士公式テスト テストレポート
2回目となったスーパーGT公式テストの富士は2日間ともに残念ながらウエットコンディションとなり雨天での状況は確認できたが、周回を重ねられず開幕戦を迎える
3月11日~12日に岡山国際サーキットでスーパーGT公式テストが開催され、AUTOBACS SUPER GTの2023年シーズンが正式にスタートした。オフシーズンには各自動車メーカーやタイヤメーカーの専有テストが行われてきたが、スーパーGTの公式となるスケジュールは岡山国際サーキットのテストからだった。
GR Supra GTにマシンをスイッチして3シーズン目となるLMcorsaは、多少のトラブルがあったものの岡山国際サーキットでのテストを順調に終え、1日目にはGT300クラスの27台中5番手となるタイムをマークしている。
シーズンの幕開けとなった第1回の公式テストから1週間のインターバルで開催されたのが、富士スピードウェイでの第2回スーパーGT公式テストになる。岡山国際サーキットと同様に2日間で計8時間の走行枠が設けられていて、初日となった3月25日(土)は、10時~12時と14時~16時の2セッションでのテストとなった。
岡山国際サーキットのテストは想定以上の好天に恵まれて、気温は20℃を超えていたことから3月上旬としてかなり暖かい日となった。だが、2回目となった富士スピードウェイは朝から冷たい雨が降り続け、気温も10℃ほどと正反対のコンディションとなる。
今回のテストに向けてLMcorsaは、Syntium LMcorsa GR Supra GTにアップデートを加えてきた。岡山国際サーキットのテストの直前が今季のシェイクダウンだったことや、よりダウンフォースが必要となる富士スピードウェイでのテストが最適ということで、一部の空力パーツが今回から追加されている。
走り始めとなるセッション1は予定どおりの10時にスタートするが、路面コンディションが悪くピットで様子をみるマシンも少なくなかった。Syntium LMcorsa GR Supra GTもピットに留まった1台だったが、開始から10分ほど経過したところで吉本大樹選手が乗り込んで、コース状況の確認を行った。アウト・インを繰り返し3周目から周回を重ねたが、6周目にはGT300クラスのマシンがクラッシュしたため赤旗が提示されセッションが中断する。
15分の中断を経て10時45分に再開すると吉本選手がふたたびコースインし、タイヤのテストを実施した。セッション開始から1時間半が経ったところで吉本選手から河野駿佑選手にドライバーチェンジすると、徐々にコースコンディションが回復していき1分50秒525のベストタイムをマークする。結果的にセッション1はふたりのドライバーが計31周を走行し、河野選手の1分50秒525がベストタイムとなりGT300クラスの27台中7番手の記録となった。
セッション1の終了後にはFCYのテストが行われ、午後のセッション2も予定どおりの14時にスタート。気温、路面温度ともセッション1とほぼ一緒で雨量は午前中より少なくなっていた。
セッション2スタートから10分が経過したところで吉本選手がSyntium LMcorsa GR Supra GTに乗り込んでコースイン。セッション1よりややタイムアップしていてコース状況は好転していくかと思われたが、雨量が止むことはなく最後までウエットコンディションでの走行となった。吉本選手は12周を走行するとピットに戻り、河野選手に残りの走行を託すこととなった。
予定ではセッション2の最後にGT500とGT300クラスの専有走行が設けられていたが、コンディションが悪く最後まで両クラスの混走となる。セッション2は後半になると走行ラインの水膜は減っていき装着するタイヤメーカーごとの特徴が現われた結果だった。
LMcorsaチームは、2人のドライバーが計30周を走行し、吉本選手がマークした1分47秒338がベストタイムとなりGT300の27台中18番手となった。
初日は2セッションともにウエットコンディションでの走行となったが、2日目も朝から富士スピードウェイは雨と霧につつまれていた。セッション3は9時半から11時45分までの予定となっていて、途中に15分間のセーフティカー訓練が挟まれる。
コース状況は前日のセッションより悪く、路面には水が溜まったところも見受けられた。セッション3は河野選手がまずSyntium LMcorsa GR Supra GTに乗り込んでコースに入るが、雨量も多く9周を走行してテストを終えた。
セッション3の終了後にマシンの燃料系にトラブルが見つかり、交換するパーツが手に入らなかったこともありセッション4の走行を取りやめた。
2回目の公式テストはウエットコンディションや車両トラブルによって走行マイレージを重ねることができなかったが、他チームも条件は変わらない。現状のデータをもとに4月15日から16日に岡山国際サーキットで開催される開幕戦に挑むことになるが、1回目のテストでは好調さを示したこともあり、開幕戦から上位で戦えるようにチーム一丸となり準備を進めていく。
<飯田章監督>
「2日間ともにウエットコンディションだったため想定していたテスト内容が消化できませんでした。観戦しに来てもらったファンにはあいにくの天候でしたが、雨の仕様やセッティングは試せました。雨量に対して装着するタイヤメーカーのキャラクターも見えましたし、無駄になったことはないはずです。開幕戦まで時間はありませんが、前回のテストは感触が良かったので、昨シーズンより上での戦いができると思っています」
<吉本大樹選手>
「セッション1は持ち込んだレインタイヤを試し、アップデートしたパーツの評価を行なったのですが、路面コンディションが一定ではないので比較が難しい状況でした。セッション2は、午前中よりも雨量が少なく終盤はダンプコンディションとなりました。それぞれの状態によってタイヤメーカーの特性が出ていたので、ウエットコンディションでの実力が確認できたことは収穫です。ドライだったら試したい内容が多かったので残念ですが、条件は一緒なので仕方がないです。手応えはあるので、開幕戦までに最後の調整を行います」
<河野駿佑選手>
「セッション1の後半から走り始めてレインタイヤのチェックに続いて空力パーツの評価を行いましたが、コンディションが悪く、できればドライで試したかったです。ただレインタイヤやウエットコンディションでのセットアップの確認ができたことは、有意義だったと思います。雨量がそれなりにあるときは履いているダンロップに分があり、ドライアップしていくときは他社が良さそうでした。すぐに開幕戦となりますが、好調だったテストのデータを活かして上位争いができればと思います」