更新日: 2023.04.19 02:24
ホンダ 2023スーパーGT第1戦岡山 レースレポート
ARTA MUGEN NSX-GTが3位表彰台獲得、GT300クラスはUPGARAGE NSX GT3が勝利
4月15日(土)〜16日(日)、岡山国際サーキット(岡山県)で2023年度SUPER GTシリーズ第1戦が開催され、GT500クラスに5台の2023年型NSX-GT、GT300クラスに2台のNSX GT3が出走しました。
今年は、レギュレーションによって車両の開発が凍結されているシーズンのため、2023年型NSX-GTは基本部分を2022年型から引き継いでいます。ただし、エンジンに関しては従来のハイオクガソリンに替えて、今シーズンからカーボンニュートラル燃料(CNF)が導入されたため、それに対応するためのチューニングが施されています。
また、8号車ARTA MUGEN NSX-GTは走行時にステアリングを取られる原因不明の症状が確認されたため、モノコックを新品に交換することとなり、競技規則に従って決勝レースでは5秒のペナルティーストップが課せられることとなりました。
週末、岡山国際サーキットの天候は低気圧の通過にともない荒れ模様となりました。土曜日午前中の公式練習はフルウエットコンディションで始まりましたが、午後には天候が回復し、GT500クラス公式予選Q1は周回ごとに路面が乾いていく難しい状況となりました。
タイムアタックの結果、100号車STANLEY NSX-GT牧野任祐が2番手、64号車Modulo NSX-GT伊沢拓也が3番手、8号車ARTA MUGEN NSX-GT野尻智紀が8番手でQ2へ進出しました。
Q2セッションではさらに路面が乾き、タイヤ選択が難しい状況となりましたが、64号車Modulo NSX-GTのルーキー太田格之進が快走して3番手、タイヤのウォームアップが十分ではなかった8号車ARTA MUGEN NSX-GT大湯都史樹が7番手、100号車STANLEY NSX-GT山本尚貴が8番手でセッションを終えました。
日曜日の決勝レースは波乱の展開となりました。スタートに向けてフォーメーションラップが始まるまでは晴れていた空に突然雲が広がり、スタート合図前には雨が降り出しました。
8番手スタートの100号車STANLEY NSX-GT(牧野)はスタートの混乱の中、3周目には3番手に進出。3番手スタートの64号車Modulo NSX-GT(伊沢)はタイヤの暖まりに時間がかかりペースが上がらず、逆に順位を下げていきました。7番手スタートの8号車 ARTA MUGEN NSX-GT(大湯)は5周目にピットインして所定のペナルティー5秒ストップを消化、大きく順位を下げました。
10周を過ぎるころには天候がますます悪化し、雨量も増加。そのため多くの車両がピットへ入り、レインタイヤへ交換を行いましたが、23周目にレースが再開されると天候が好転して太陽が照りつけ始めました。
こうした混乱の中、いったんはトップに立った100号車STANLEY NSX-GT(牧野)が順位を落とす一方、8号車 ARTA MUGEN NSX-GT(大湯)がじりじりとポジションアップ。
その後も天候が荒れ、アクシデントも起きてフルコースイエロー(FCY)やセーフティカー(SC)介入が繰り返された上、2度にわたって赤旗提示によりレースが中断されるような状況の中、8号車ARTA MUGEN NSX-GT(大湯)はうまくタイミングを選んで41周目にピットイン。大湯から8号車 ARTA MUGEN NSX-GTを引き継いだ野尻は混乱のたびに順位を上げていきました。
8号車ARTA MUGEN NSX-GTは、62周目に赤旗で打ち切られた時点で3番手にまで順位を上げることに成功し、表彰台を獲得しました。
最終的には7位に17号車 Astemo NSX-GTの塚越広大/松下信治組、10位に64号車 Modulo NSX-GTの伊沢/太田組が入賞、それぞれ選手権ポイントを獲得しました。
また、GT300クラスでは18号車UPGARAGE NSX GT3の小林崇志/小出峻組が優勝を果たしました。
●佐伯昌浩 Honda R&D Co., Ltd. Honda GT Project Leader
「悪天候に翻弄されたレースでしたが、シャシー交換のペナルティーを受けながら8号車 ARTA MUGEN NSX-GTの野尻/大湯選手が3位入賞を果たし、NSX-GTにとって最後のシーズンをよい形で始めることができました」
「モノコックを新品にしたからといってマシンのパフォーマンスが上がったわけではありません。何らかの問題が生じて、車速が上がるに従って修正舵を当てなければならない状況だったので、安全性を確保することを目的に、ペナルティー覚悟の決断でした」
「ほかのNSX-GTも悪コンディションに苦労しながら、速さをしっかり見せてくれたので2戦目以降の活躍に期待します。応援をよろしくお願いします」
●野尻智紀 ARTA
「今回のレースは5秒ストップペナルティーを受けることも分かっていたので『がんばってポイントを獲れたらいいね』ぐらいの感覚でレースに臨みました。ただ、天気が荒れる予想だったので『うまくいけばチャンスはあるかな』とも思っていました」
「状況がよく分からないバタバタしたレースの中でチームの戦略、判断がうまくいきましたね。大湯選手とのコンビは初レースでしたけど、チームワークも非常にうまく取れ、ミスなく戦えました。このチームは強いです。チャンピオンを狙っていけそうなのでとても楽しみです」
●大湯都史樹 ARTA
「僕としては、100点のレースでした。スタートは硬めのタイヤだったし、ペナルティーも消化しなければなりませんでした。でも、レースは長いしミスなく戦おうと思っていました。コンディションが悪化していく中でしっかり状況判断して、タイヤもうまくマネジメントして走れたと思います」
「自分自身としてやるべきことはやれて、順位を上げて、よい形で野尻さんに引き継げました。ペナルティーを受けながらも非常にいいレースになりました」
●小林崇志 TEAM UPGARAGE
「昨日の予選では、赤旗のタイミングが悪くてQ1を突破できず、この順位では優勝は厳しいなとは思っていました。ただ、決勝日の天気予報を見ると雨が絡みそうだということでチームとミーティングをして、ストラテジーをしっかりまとめて準備はしていました」
「その成果ですね。雨がぱらついたタイミングで早めにウエットタイヤに交換する決断が当たり、さらに路面が乾き出したタイミングでドライバー交代ができ、トップに立つことができました。今回が100戦目という節目のレースで勝てたのも、神様がご褒美をくれたからかなと思っています」
●小出峻 TEAM UPGARAGE
「今回優勝できるとは思ってなかったというのが本当に正直な感想です。今年初めてGT300に上がって、第1戦を優勝という形で終えられて、最先のいいスタートが切れました」
「昨年はFIA-F4でチャンピオンになりましたから、2年連続でこのカテゴリーでもチャンピオンになりたいと思っています。根拠はないのですが、今年はいけるんじゃないかなと思っているんです。自分の過信で終わらないよう、しっかり結果を出せるよう今後も努力していきます」