そしてARTAが走らせるもう一台のホンダNSX-GTが、福住仁嶺/大津弘樹組の16号車ARTA MUGEN NSX-GTだ。今季はARTAとTEAM MUGENがタッグを組んで2台体制となったARTAは、シーズン開幕前のテストから速さをみせ、今シーズンの“本命”と目されていた。
そんなARTAの2台でも、TEAM MUGENのカーナンバー“16”を背負う福住/大津組は開幕戦で「赤旗ラインの無視」による100秒加算ペナルティを受け11位、第2戦では上位を争っていながら「タイヤ装着不完全での給油」でドライブスルーペナルティが科され10位に終わるという不完全燃焼が続いている。
まず福住は「岡山のレース直後からチームと話し合い、ルールだけではなく、戦略についても今まで以上にコミュニュケーションを取るようにしました」と切り出し、鈴鹿戦に向けて自信を覗かせる。
「チームをもっと強くするためにはどういったところが足りていないのか、その部分が第1戦と第2戦で見えてきています。第1戦後ももちろん話し合いを行いましたし、第2戦の後もいろいろなルールについて確認しました。今回のレースに向けてはかなり整ってきていると思います」
迎えた第3戦はサクセスウエイト2kgという軽い16号車。福住に続いて大津は「クルマにはだいぶ手応えを感じている」と語り、現状のレースペースを武器にレースを戦えば結果は付いてくることを強調する。
「僕らは決勝ではペナルティなどで順位を下げてしまっていますが、予選でのパフォーマンスは高いですし、決勝でもレースペースは結構いいところで戦っていると思っています。ですので、今噛み合ってない部分を噛み合わせることができれば、良い結果を得られる手応えもあります」
クルマに対して手応えを感じている16号車のふたり。確かにここまでの2戦でドライバーによるミスはほぼなく、あとは大津の言うとおり、噛み合っていない部分が噛み合えば表彰台も狙えるだろう。そんなふたりに、ズバリ第3戦のライバルを聞いた。
「ライバルはいません。他のマシンと比べるのでなく、まず自分たちの速さと強さを証明したいです」と答えた大津。一方で福住は「ニッサン勢もウエイトを搭載しているとはいえ、ミシュランは警戒する部分がありますし、今回はMARELLI IMPUL Zが軽い(14kg)のでどういったパフォーマンスを出してくるか気になります」と、この鈴鹿で強さをみせるニッサンZ勢を気にかける。
さらに福住は続けて「チャンピオンシップを考えると、このあたりで大きいポイントを獲得しておきたいです。僕たちはもう優勝しか見ていません。とにかく頑張ります」と意気込んだ。ARTAの2台ともにこの鈴鹿戦は“落とせない”一戦。8号車、16号車ともに背水の陣で挑んでいることは間違いなく、ドライバーの速さにチームの強さが加わったとき、チーム全体の真の力が披露されるだろう。
