今年こそ2016年以来の勝利をと臨んだ2023年。大荒れとなった開幕戦岡山は9位に入賞も、第2戦富士ではセットアップに苦しみ12位に沈むことに。前回のコラムにも書きましたが、第2戦富士では36号車au TOM’S GR Supraにはラップダウンされ、すごく悔しかったです。しかし、同じヨコハマタイヤを履く24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zはレース終盤においても強さを発揮していました。
そして迎えた第3戦鈴鹿では予選2番手を獲得。決勝でもスタートから好ペースを刻み続け、1回目のピットストップで36号車を逆転。その後ピットタイミングに応じて順位を下げる場面はあるものの、安定したペースで周回を続けました。
残り17周という場面で大クラッシュが発生し、赤旗をもってレース終了となってしまうものの、首位を走っていた3号車Niterra MOTUL Zのピット義務消化違反によって19号車が優勝。実に6年238日(2429日)ぶり、53戦ぶりにつかんだ優勝、そして国内レースでは初めての優勝でした。
また、国本加入から60戦目でもありましたし、実はレーシングプロジェクトバンドウのGT500参戦からちょうど100戦目(特別戦を除く)という節目でつかんだ優勝でもありました。苦しい時期が長かっただけに、何かのめぐりあわせを感じる、そんな優勝でした。
ちなみに、そのほかにも『スーパーGTで一番長くヨコハマタイヤと戦ってるのは19号車(202戦)』とか『僕が監督になって133戦目』とか、『ウェッズカラーになって196戦目』とか、『チーム通算2勝目(織戸学さんも2勝だから並んだ!)』とか、記録を上げればキリがないです。
レースの方は、国本選手の力走に始まり、阪口選手のアウトラップの速さ、阪口選手による2回目のピットインに入るタイミングの判断、チームのピット作業もミスなしと、ドライバー、エンジニア、メカニックをはじめとするチーム全員がミスなく、素晴らしい仕事をしました。
もちろん、最終スティントで36号車の宮田選手がかなりハイペースで追い上げてきたので、残り10周は阪口選手と直接宮田選手の対決になると思いましたし、そこが第3戦鈴鹿の最大の見せ場になっていたのではないかとも思います。しかし……あの重い36号車(SW:40kg)が、軽い19号車(SW:4kg)以上のハイペースで迫ってくるというのもすごいですよね。
まだ課題はありますが、素晴らしいタイヤを用意してくれたヨコハマタイヤ、セットアップを考えてくれた中山将エンジニア(彼にとっては初優勝ですよ)、サポートしてくれたTCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)、ミスなく、そして作業が速かったメカニック、スタッフ、ノーミスでずっとタイヤマネジメントとプッシュをしてくれた両ドライバーに感謝申し上げます。
みなさまにヨコハマタイヤの進化をお伝えする事ができたこと、チャレンジしているヨコハマタイヤの姿をみなさまに結果でお伝えすることができたこと、それが一番嬉しいです。
決勝は、途中終了となりましたが、ひとまずホッとしています。実は予選Q2でヘアピンとシケインでブレーキロックがありました。あれがなければ、24号車と同等のタイムは出せたかもしれません。いろいろな部分がぶっつけの予選でしたが、ポールポジション獲得で得られる1ポイントは欲しかったですね。でも、予選での1ポイントを悔しがることも、チームの求めてる結果が高くなっている証であり、成長の証だと思っています。
中山エンジニアになって2年目、坂井正樹チーフメカになって2年目、佐野修平工場長になって2年目。新人スタッフと3年目のマネージャー、今年入ってきた新人とベテラン外注メカニックさん3人をはじめとする、このチームで勝ちたかった。僕は2回目だけど、初めて優勝を経験した人もいたので、いろいろな人の成長にもレースは役立っているのだと改めて認識しました。
ものづくりは人づくり。まだまだ課題はありますが、引き続きシリーズタイトル獲得を目指して頑張ります。まだ今年も3戦しか終わっていないですからね。
今回の優勝により、シリーズランキングは4位にあがりました。第4戦富士はサクセスウエイトを44kg積むことになりますが、50kgには満たないので燃料リストリクターの流量制限はまだ経験がないのです。ちなみに、実は19号車は燃料リストリクターの流量制限をまだ1度も経験したことがないのです。恥ずかしい……。
さて、次戦となる第4戦富士は8月5〜6日開催と、このコラムが掲載されてからも1カ月以上先となります。7月には富士と鈴鹿でテストもやるので、本命予想を立てるのは難しいところですが、GT500クラスは1号車MARELLI IMPUL Z(SW:36kg)、17号車Astemo NSX-GT(SW:34kg)、19号車(SW:44kg)、24号車(SW:6kg)、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(SW:12kg)と予想します。
2連勝したいなぁ……。ちなみに、第3戦鈴鹿の24号車も、予選タイム抹消とならずもしポールからスタートしていれば、かなりの確率で勝てたと思っています。
GT300クラスは、10号車PONOS GAINER GT-R(SW:27kg)、11号車GAINER TANAX GT-R(SW:18kg)、31号車apr LC500h GT(SW:9kg)、88号車JLOC ランボルギーニ GT3(SW: 15kg)、244号車HACHI-ICHI GR Supra GT(SW:33kg)と予想します。次の富士も是非、サーキットへお越しください。
また、宣伝になりますが、レーシングプロジェクトバンドウのオンラインショップ、もしくは東京都町田市にある僕がオーナーのお店ガレージ19では優勝記念キャンペーンをやっています。ポスターなどもプレゼントしますので、是非一度オンラインショップも見てくださいね(限定商品残りわずか!)。
僕はモータースポーツを通じて、諦めないことの素晴らしさ、挑戦をすることの素晴らしさ、文句を言わないことの素晴らしさ、信じることの素晴らしさを伝えたいと願っています。今後もモータースポーツ業界が盛り上がるように19号車は挑み続けます。この度はたくさんの応援、本当にありがとうございました。
最後に、第3戦鈴鹿で大クラッシュに見舞われた23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生選手、お大事にしてくださいね。ゆっくりリハビリしていただいて、またサーキットで会いましょう!
では、また次回! 2勝目を獲得した青年実業家より
