更新日: 2023.09.21 23:36
apr GR86 GT 2023スーパーGT第6戦SUGO レースレポート
2023 AUTOBACS SUPER GT Round6
SUGO GT 300km RACE
Round 6スポーツランドSUGO
apr GR86 GT
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県)/3.586km
9月16日(予選)
天候:曇りコースコンディション:ウエット~ドライ観客数:9400人
9月17日(決勝)
天候:曇りコースコンディション:ドライ観客数:1万8500人
序盤の接触で長いピットでの修復を強いられるも、再出走なってデータ蓄積に成功!
全8戦で争われるスーパーGTは、もう残すは3戦のみ。シリーズ第6戦の舞台であるスポーツランドSUGOは、アップダウンに富んだテクニカルコースとして知られ、コーナリングマシンがより本領を発揮できるサーキットでもある。
今年もaprは2台体制で臨み、トヨタGR86を30号車として走らせる。投入から2シーズン目となる『apr GR86 GT』は、ドライバーに永井宏明選手、織戸学選手、上村優太選手、小河諒選手の4名を登録。今回は開幕戦以来の300kmレースとあって、永井選手と織戸選手のふたりで戦う。使用するタイヤはヨコハマだ。
鈴鹿サーキットでの第5戦は450kmレースとあって、上村選手を加えて挑み、また永井選手のホームコースということもあって活躍が期待されたが、Q1をあと一歩のところで通過できず。
それでも得意の追い上げを決勝で果たすことが期待されたが、駆動系トラブルに見舞われて本領発揮ならず。それでも、ひとつ順位を上げて17位でゴールしたのは、まさにドライバー3人の執念の成せる技ではあった。
第6戦はサクセスウェイトが積み重ねられる、最後の一戦であるのはご存知のとおり。ライバルが重さに苦しんでいるなか、『apr GR86 GT』が6kgだけという強みを最大限に活かしてくれるはずだ。
公式練習9月16日(土)9:15~10:50
3週間おきに行われる3連戦のラストも、このところの天候からすれば、また暑さとの戦いとなることが予想されたが、意外にも……といったところか。
ピット設営や搬入が行われた金曜日は午後から雨が降り、やや涼しくさえ感じられたほど。また、その雨は未明にサーキットをひどく濡らしたため、土曜日午前に行われた公式練習は、ダンプコンディションからの開始となった。
気温は23度、路面温度は25度と、前回から路面温度は半分近く下がっていた。計測開始と同時に『apr GR86 GT』と織戸選手はコースインしたが、チェックだけ行ってすぐピットイン。
コンディションの回復を待って、約25分経過したところから本格的に走り始めた。この頃には完全にドライタイヤを履ける状況になっていた。まずはスピードの磨き上げから始め、1分20秒953を記したところでピットに戻る。
セットを変更し、あらためて予選シミュレーションを行なった織戸選手は、1分19秒486にまで短縮。そこからは決勝セットを見越し、タイヤチョイスが進められていく。
予定外だったのはピットにとどまっている間に赤旗が出されて中断、延長なく残された時間はクラス専有の10分間だけとなっていたこと。
そのため、十分にロングをかけることができぬまま、『apr GR86 GT』は永井選手に託されることに。しかし、永井選手は徐々にタイムを詰めていき、終了間際には1分20秒683を記録するまでとなっていた。
この後に行われたFCY(フルコースイエロー)テストも、決勝セットの煮詰めに余すことなく時間が充てられ、永井選手、織戸選手の順で走行。最後に織戸選手が1分21秒038を記していた。
公式予選Q1 9月16日(土)14:58~15:08
今回はB組から予選に臨む『apr GR86 GT』は、前回に続いて織戸選手がQ1を担当した。気温は26度、路面温度は29度と、公式練習とほとんど変わらず。
しかし、厄介だったのは雨が直前になって降り出し、路面を瞬く間に濡らしていたこと。先に走ったA組は迷うことなくレインタイヤを装着したが、短いインターバルの間に雨はやみ、雲の切れ間から陽も刺すようになっていた。
いったんはドライタイヤに交換された『apr GR86 GT』ではあったが、ウェットタイヤに戻して織戸選手はコースイン。その頃にはすでに計測開始から4分経っていた。
しかし、この選択が裏目に出る。路面は予想以上に乾いており、ドライタイヤで走行したライバルがタイムアップし続けるなか、さすがの織戸選手であっても、手も足も出ず。
1分26秒301をベストに、次の周はタイムダウンしたこともあって、チェッカーを待たずに走行を終了。12番手に甘んじていた。
●永井宏明選手
「予選を走れなかったのが残念です。最初のうちウエットだったのでしばらく走らなかったことと、赤旗のせいで走る時間が足りなかったのが影響してしまった」
「持ち込みのセットだとアンダーステアが強くて、それを改善しようということで、いろいろ試してみたのですが、予選にうまいこと、合わせ切れませんでした。決勝はまた違うと思うので、追い上げられるように頑張ります」
●織戸学選手
「本当に判断ミス、僕の。始まる直前に迷って、僕はウエットだと思ったんだけど、思ったより路面が乾いていて。スリック(ドライタイヤ)で1周行って、ダメだったらウェットに換えるべきだったんだけど、ちょっとこの車はああいう路面のスリックが得意じゃないので。僕の判断ミス、情けない。。」
●金曽裕人監督
「ウエットタイヤで行ったのが失敗で、天候を読み違えました。ドライタイヤで行くべきでしたが、もしウエットがもう少し長引けば完全に我々の勝ち」
「各パフォーマンスはそこそこ良く、今回は車の作り込みも、流れも悪くなかっただけに、非常にもったいなかったですね。天候の問題だから仕方ないですけど……。見ていてください、決勝でまた追い上げます!」
決勝レース(84周) 9月17日(日)13:30~
日曜日のSUGOは、ようやく暑くなったが、それでも決勝スタート前の気温は28度で、それまでの猛暑を思えば、まったく我慢できるレベルだ。ちなみに路面温度は33度。タイヤにはちょうどいいレンジだと言えるだろう。
今回もスタートを担当するのは永井選手。23番手からの発進になるが、300kmのレースで果たしてどこまで順位を上げてくれるか。『apr GR86 GT』は、さっそく1周目のうちにひとつポジションをアップ。2周目、3周目にもさらに順位を上げていく。だが、その後は目の前でバトルが繰り広げられて渋滞が発生してしまう。
そんな状況においても、永井選手は果敢な走りを見せ、11周目の1コーナーでオーバーテイクを試みるも接触が。『apr GR86 GT』はなんとかコースに踏みとどまったが、相手はスピンを喫してしまう。
さらにその際にフロントスポイラーを痛めてしまったことから、ピットに戻って修復を余儀なくされる。
これが予想外に時間を要し、レースが始まって1時間近く経過した頃、ストレートで第クラッシュがあって赤旗中断となるが、ピットを離れられたのは再開後だった。
先の接触に対し、ペナルティが課せられたため、交代した織戸選手はまずドライビングスルーを行ってから戦列に復帰。
完走扱いになるかどうかの遅れを取っているが、果敢に走り続け、何より次戦を見据えてセット変更したことで、ラップタイムは上位と比べても遜色なし。貴重なデータを得ることもできた。
だが、トップから25周遅れの54周を走るに留まり、やはり完走扱いにはならなかった。
シリーズ第7戦は10月14~15日に、オートポリスで開催される。次回は450kmレースとして競われ、第3ドライバーには上村選手が起用される。結果は伴わなかったが、流れは悪くない。好結果を期待したい。
●永井宏明選手
「接触で、スポイラー周りが壊れちゃって、ハンドリングに影響が出て走れなくなったので修理に入りました。フリー走行の時より車は改善されていたのですけど接触した時、想像以上に車が壊れてしまい残念です。完走扱いにはなりませんでしたが、走れるようにしてくれたチームの皆さんに感謝しています」
●織戸学選手
「昨日の予選から流れを崩してすみません。もっと上位に行けたはずなので残念です。色々と展開に恵まれませんでした。でも、後半いいテストができたので、次のオートポリスに向けて、もっと速く走れるように頑張ります!」
●金曽裕人監督
「接触でチンスポイラー(フロントスポイラー)を踏まれる状態になっちゃって、チンスポを固定しているボルトが折れて、それで修復に時間がかかってしまいました。追い上げ時のトライ結果でしたが、#5号車と接触しスピンをさせてしまい関係者の皆様、申し訳ございませんでした」
「当たり所が悪かったのもありますが、次戦までにこの周囲も強化し、もっと強いマシンにしたいと思います。赤旗が出て修復時間を稼げたのは助かりましたが、54周ではギリ完走ポイントつかなかったようです。でも、いいセットも見つかったので、次のオートポリスはぜひご期待ください」