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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.04.05 20:06

MotoGPコラム:開幕戦で見えた各メーカーの進捗具合。ホンダの進捗にドゥカティは懸念か

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MotoGP | MotoGPコラム:開幕戦で見えた各メーカーの進捗具合。ホンダの進捗にドゥカティは懸念か

 ホンダレーシング(HRC)は大幅に再設計されたエンジンを、2016年(逆回転クランクシャフト)と2017年(ビッグバンエンジン)に実装している。つまり今回のレースでは、この数年で初めて細部に集中することができたのだ。

 マルケスと他のホンダライダーたちは、この数年と比べて良い走りを見せ、速いトップスピードを出している。ロサイルではマルケスのRC213VはドビジオーゾのデスモセディチGPよりたった1.2mph(2.9km/h)遅かっただけだ。昨年の差はより大きく3mph(5km/h)だった。

 週末の間中、違いは簡単に見て取れた。マルケスはもはやコースから外れることなく、グラベルを避ける神業のような能力を使い、すべてのコーナーを素早く進んでいった。「僕はとても嬉しい」と週末を通してクラッシュがなかった現王者マルケスは語った。

ホンダが得意としないサーキットで2位表彰台に登ったマルク・マルケス
ホンダが得意としないサーキットで2位表彰台に登ったマルク・マルケス

 平均して1ラウンドごとに1.5回の転倒を喫していた2017年から比べると、大きな進歩である。マルケスは次のようにコメントしている。

「アンドレアは優勝に値する。彼は速かったし、さらに速くなることもできただろう。僕の目標は彼をコントロールすることだった。彼が(ヨハン・)ザルコを抜いてから、近づいた。僕はあちらこちらでスライドし限界に来ていたけれど、彼について行けたし、最後のコーナーで追い抜こうとすることができた」

 カル・クラッチローも同様だった。限界ではあったが、限界を超えてはいなかった(ウォームアップでの1回の転倒を除いては)。これまでの3度のカタールGP予選で彼はそれぞれ9位、10位、12位につけ、2度クラッシュを喫している。今回は予選で4位、決勝レースはドビジオーゾよりラップあたり0.13秒遅いタイムでやはり4位に入った。

「ホンダはエンジンについて素晴らしい仕事をした」とレースの後でクラッチローは語った。「特にストレートでさらに競争力を発揮できた。それにコーナーではそれほどバイクと奮闘する必要がなかった」

 ドゥカティは2009年以来となるシーズン開幕戦優勝を果たし、大きな笑顔で帰国しただろうが、マルケスがRC213Vが最も苦手とするコースのひとつで出したスピードには、大きな懸念を感じたに違いない。

■希望が見えてきたヤマハ、スズキは次戦の結果次第

 ヤマハもひとつの峠を超したように見える。確かにバレンティーノ・ロッシは2017年のカタールGPを3位でフィニッシュしたが、今年の日曜日は様子が違った。「昨年の表彰台は驚きだった」とロッシは語った。「今年は良いレースができるだろうと分かっていた」

 ロッシは22周目で恐ろしい瞬間に遭遇して優勝のチャンスを逃した。マルケスとザルコが210mphの速さで接触し、ドビジオーゾにぶつかるのを避けようとしたロッシのリヤエンドは浮き上がって振れてしまったのだ。

 ザルコはその時に1位から3位に落ちた。ロッシはザルコを抜くのにあと数コーナーが必要だったが、上位のふたりは少ないアドバンテージをなんとか広げようとしていた。「後ろにいるすべての狼が襲って来たようだった。僕の足や腕を取ろうとするんだ!」とロッシは笑って言った。

 このレースは、1970年のグランプリレースの歴史のなかでも名レースに値するものだった。最高峰クラスでトップ15位が23秒差以内に収まるという大接戦だったのだ。またしてもドルナスポーツの技術ルールの賜物だろう。

14位から6位まで登り詰めたマーベリック・ビニャーレス
14位から6位まで登り詰めたマーベリック・ビニャーレス

 最大の驚きは、表彰台の上のことでさえなかった。マーベリック・ビニャーレスは昨年の夏以来深い穴にはまってしまったようで、彼はもう抜け出すことができないのではないかと土曜日までは多くの人々が危ぶんでいた。ビニャーレスは予選で15番手のタイムだったが、これはMotoGPに昇格して以来最低のグリッドポジションだ。

 ビニャーレスは苛立ち、戸惑っているように見えた。「バイクの感触が良くない。テストの時とまったく同じだ」と金曜日にビニャーレスは語った。

 そして砂漠のなかのコースで彼自身に小さな奇跡が起き、14位から6位まで登り詰めたのだ。ダニロ・ペトルッチのほんの数メートル後ろである。彼は14周目から18周目にわたりクリアラップを得たが、その周回においてはコース上で最速のライダーだった。おそらく昨年のムジェロ以来最高の出来のレースだっただろう。

「テストとは反対の方向性を取っていた。フロントはきつめに、リヤは硬めにね。それが僕の好みのセッティングで、何度も頼んでいたことなんだ。何カ月も前の感触を取り戻すことができて満足しているよ」

 新たなセットアップのおかげでビニャーレスはコーナリングスピードを改善し、同様にホイールスピンの問題を減らすことができた。スロットルを早いタイミングでハードに開ける必要がなくなったからだ。

 他のライダー達はどうだっただろう? アレックス・リンスはトップからわずか0.091秒差で4番手のファステストラップを記録したが、転倒を喫した。スズキ勢はロサイルでよくやっていたが、彼らが突破口を開くことができたかどうかを知るにはまだ早すぎる。

 ダニロ・ペトルッチは、リンスが彼の前で転倒したため重要なタイムを失った。ザルコとダニ・ペドロサはタイヤに問題を抱えていた。ザルコは前輪、ペドロサは後輪である。ホルヘ・ロレンソはブレーキに問題があり、幸運にもターン1ではなくターン4で、リタイヤを余儀なくされた。後になって彼のメカニックがなくなったブレーキパッドを、ターン4のグラベルトラップで発見している。

 アプリリアの日曜日は容赦のないものだった。アレイシ・エスパルガロは、最終ラップで燃料系のトラブルに見舞われるまでは、トップ10位をかけて戦っていた。KTMにとっても厳しい週末となった。ポル・エスパルガロはバイクが止まってしまうまでは、トップから1秒差で、昨年よりもコンマ3秒速いペースを出していた。カタールがKTMにとって手ごわい2年目の最初のコースになったことは確かだろう。

 第2戦アルゼンチンGPでドゥカティとホンダの争いはどのようなものになるのか。開幕戦で復調の兆しを見せたヤマハが上昇していくのか。第2戦アルゼンチンGPで2018年シーズンの勢力図がはっきりしてくることは間違いないだろう。


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