2012年のブリーラム・ユナイテッドFCの誕生に続き、2014年には日本のスーパーGTをこけら落としイベントとして、本拠地であるチャン・アリーナ(通称サンダー・キャッスル・スタジアム。この街は雷が多いことからこの名が付いたという)に隣接するチャン・インターナショナル・サーキットが建設された。

 チドチョブ氏がモータースポーツに着目したのは、サッカーと同じく「自分が好きだから」という理由からだという。「私は大排気量のバイクに乗ることが趣味なんだ。タイでは多くの人たちにとって、バイクは日常的な乗りものだ」と言う。

 サッカー、そしてモータースポーツを開催することによって、5000人程度だったブリーラムを訪れる観光客は劇的に増えたという。そしてチドチョブ氏によれば、ブリーラム全体では10億バーツ(約33億円)の経済効果を得たという。

 こういったスポーツを通じた観光客誘致は、現在タイ政府も大きな関心をもって取り組んでいる。タイの観光スポーツ省の事務次官を務めるポーンパヌ・サウェータルン氏によれば、タイにおけるスポーツ産業の売上高は、GDP(国内総生産)の1.43%をも占めるという。また、スーパーGTやMotoGPといった国際レースでは、観光スポーツ省も開催をバックアップしている。

「将来に向けてスポーツ観戦で訪れた人たちが、ブリーラムで観光も行い、長く留まってくれるようにしたい。それはサーキットも同様で、さまざまな国際的なレースを開催したいと思っている」とチドチョブ氏。

「もちろん観光客がお金を街で使ってくれるだけでなく、ブリーラムの知名度も向上している。これから3年、ブリーラムでは二輪最高峰のMotoGPを開催することになるが、これは大きな飛躍の機会だ。少なくとも10万人の人々がサーキットに訪れると思うし、年間を通じてMotoGPを追い続けることになるはずだ」

「MotoGPではレースだけではなく、ブリーラムという街全体を世界に紹介する活動を行っていきたい。伝統、食事、文化などすべてだ。観戦に訪れてくれた人たちに、レースだけではない楽しみを提供したいと思っている」

タイ・ブリーラムテストで小型の空力フェアリングをテストするアンドレア・ドビジオーゾ
タイ・ブリーラムテストで小型の空力フェアリングをテストするアンドレア・ドビジオーゾ
チャン・インターナショナル・サーキットはFIAグレード1を取得しており、F1の開催も可能なコースだ
チャン・インターナショナル・サーキットのパドックゲート。チャン・アリーナと同じ形状をもつ
チャン・インターナショナル・サーキットがオープンした14年のブリーラム市内
2016年にブリーラム市内にオープンしたショッピングモール『ロビンソン』。市内はこうした商業施設も増えている
16年にオープンしたロビンソンの中に入るやよい軒。スーパーGTの週末は関係者で賑わう

■市民の多くがユニフォームを着る街

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