ナイケンは3輪車だが自立はしない。非力な筆者にとって、重量級バイクの扱いは慎重になる。特に車体を傾け過ぎないように気をつけて扱う必要があった。
しかし重量級バイクを扱う手強さを感じたのはそこまでだ。走り始めるとむしろ重量感に裏打ちされたなんとも頼り甲斐のある安定した乗り味が心地よい。極低速でもふらつくことはなく、タイトターンもスムーズで操縦性は素直。失敗し(コケ)たら支えきれないぞという心配は一気に消し飛んでしまった。
搭載エンジンはヤマハMT-09の845㏄3気筒がベースだが、クランクウェブは専用設計され慣性マスは18%も向上。ギヤ比の変更も相まって車重とのバランスが絶妙の仕上がり。スロットル操作に対する加減速の挙動がとてもスムーズでかつ思い通りにコントロールできる穏やかさが加味されていた。
3気筒ならではの豪快で太いトルク感と柔軟な出力特性はそのままに、優しさを備えたエンジンフィールはとても快適。ふたり乗りツアラーとしても素性の良い基本性能を備えていると思えた。