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MotoGP ニュース

投稿日: 2019.02.21 18:19
更新日: 2019.02.22 17:19

MotoGP:弱点を取り除くことに注力するホンダとドゥカティ。セパンで見えた両者の開発方針【前編】

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MotoGP | MotoGP:弱点を取り除くことに注力するホンダとドゥカティ。セパンで見えた両者の開発方針【前編】

 2018年は、ホンダがパフォーマンス増強に焦点を置くことができた最初の年だった。HRCの桑田哲宏は、2018年に見せた改善は、これまでの数年に比べ“より大きなもの”であったと語っている。2018年9月の第14戦アラゴンGPで、最速スピードを記録したドゥカティの341km/hに対し、ホンダのトップスピードは339km/hと時速2km/hの差だった。2017年の時速4km/hの差から大幅に改善されている。

 2018年のオフシーズンテストとセパンテストでは、ホンダがインテークとエキゾーストに懸命に取り組んだことは明らかだ。空気をエンジンに取り込むほど、より燃焼させられる。エンジニアはエアインテークとエアボックスを、バイクの周辺部分に再設計が必要になる程度まで拡大した。燃料タンクカバー下のステアリングダンパーを動かしてスペースを作り、様々な電子制御ユニットを燃料タンクカバーの下からフレームの両側面に取り付けられた小さなカーボンファイバー製の箱に納めたのだ。

セパンテストでコメントするマルク・マルケス
セパンテストでコメントするマルク・マルケス

 また、マルク・マルケスと仲間のHRCライダーたちは、急進的な新型の空力パーツも試した。「今年の主な違いはエンジンだ」とマルケスは語っている。

「より大きなトップパワーと、速いトップスピードを期待している。でも当然のことながら、大きなパワーを得た途端に、コーナーを曲がるのがより難しくなる。だからコーナーでのトルクを調整しようとしている」

 バレンティーノ・ロッシ、マイケル・ドゥーハン、ワイン・ガードナーらのチーフエンジニアを務めてきたHRCのクルーチーフ、ジェレミー・バーゲスは、トップスピードは1周あたり1回しか出さないので、人々が考えるほど重要ではないと冗談を言っていたものだ。

 バーゲスはある程度は正しい。しかし、MotoGPの戦いは接戦になっており、オーバーテイクがより難しくなっているため、時速数km/hだけでも速ければ、レースにおいて重大な違いを生み出す。

 また、ホンダがドゥカティ打倒のためにトップスピードを探求することにはさらなる重要性がある。シャシーとサスペンション担当のエンジニアはこの数カ月、どうにかしてフロントタイヤにかかる圧力を減らそうと努力を重ねてきている。マルケスとRC213Vは誰よりもフロントタイヤに圧力をかけているからだ。

 そのためマルケスは一番硬いフロントスリックを使わざるを得ず、そのことが序盤の周回で、特にコース温度が低い時に問題やクラッシュの原因となっている。

セパンでホンダRC213Vをテストするマルク・マルケス
セパンでホンダRC213Vをテストするマルク・マルケス

 この領域でのシャシー作業の目的は、タイヤにかかる圧力を削減することにある。そうすればRC213Vのライダーは時にはレースでミディアムタイヤを使用することができ、一部のコースではアドバンテージを得ることができる。

 それは良いことだ。速いバイクはストレートで速いだけでなく、フロントタイヤへの圧力を減らす。ライダーは遅いタイミングでブレーキをかける必要がないからだ。また、コーナー進入時に極端にプッシュして、ストレートでドゥカティに対して失った数メートルを取り戻す必要もなくなる。

 ホンダがトップスピードの分野で成功すれば、マルケスとRC213Vを扱う他のライダーたちは、これまでにないほどに競争力を発揮できるだろう。

【後編へ続く】


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