スズキは2018年から2019年にかけて、トップスピードにおいて大きな躍進を遂げた。カタールGPで2019年型スズキGSX-RRは、2018年よりも時速約4km/h速かったのだ。
カタールGPでスズキは、トルダクターを初めてGSX-RRに装着していた。トルダクターをギヤボックスの出力シャフトに取り付けられたセンサーで、リヤタイヤへのトルクの伝達量を測るものだ。これはエンジニアがいかなる状況でも、エンジンと電子制御で適切なトルクを生み出す助けになる。
ホンダはトルダクターを2010年に初めて使用したチームで、F1での活動からその技術を得たのだ。当時は、トルダクターがECUにどれだけのトルクをリヤタイヤに送るかを伝達していたが、現在の共通ソフトウェア規則では、トルダクターはエンジンマネジメントのセットアップに役立てるために、データロガーにしかデータを送ることができない。
スズキのトップスピードの向上は、おそらくスリップストリームも関係があるだろう。ジョアン・ミルとアレックス・リンスは、ふたりとも首位争いをしていた。彼らより速いドゥカティとホンダ勢からスリップを得ることができたのだ。実際は、MotoGPの公式トップスピードは絶対的なものだと捉えられるべきではない。なぜならスリップを使って前へ出ることも、順位が決まる際に役割を果たすからだ。
とはいえ、カタールGPでのヤマハのトップスピードは悲観的なものだった。4番目に速いバイクなのに、アプリリアよりわずかに優位にあるだけだったのだ。KTMのトップスピードも速くはなかった。2018年からRC16はトップスピードで遅れをとっているが、それは主に逆回転クランクシャフトエンジンのためだと思われる
■マニュファクチャラーごとのカタールGPでのトップスピード
マニュファクチャラー | 2019年 | 2018年 |
---|---|---|
ホンダ | 時速352.0km/h | 時速349.1km/h |
ドゥカティ | 時速351.6km/h | 時速351.9km/h |
スズキ | 時速349.2km/h | 時速345.3km/h |
ヤマハ | 時速347.0km/h | 時速345.3km/h |
アプリリア | 時速346.9km/h | 時速345.0km/h |
KTM | 時速345.1km/h | 時速347.4km/h |