2008年シーズンはロッシとヤマハが巻き返した。この年はロッシと前年のチャンピオン、ストーナーがタイトル争いを展開。最終的にロッシが9勝、ストーナーが6勝を記録した。
タイトル争いを分けたのは、シーズン中盤の第11戦アメリカGP、ラグナ・セカ。このレースで激しく競り合ったふたりだったが、ストーナーがコースオフ。このときロッシのブレーキングが通常よりも早かったのではないかという疑惑があり、それを避けてストーナーがコースアウトを強いられたのでは、という見方があった。その後、ストーナーは、第12戦チェコGP、第13戦サンマリノGPでノーポイントに終わり、ロッシのリードを許してしまった。
ロッシはこの年からタイヤをブリヂストンにスイッチ。また、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)がMotoGPクラスにステップアップし、ロッシのチームメイトとなったが、ブリヂストンを履くロッシに対して、ロレンソはミシュランと同じチームでタイヤメーカーが分かれた。
タイヤに関しては、ブリヂストンがアドバンテージを持ち、チェコGPではミシュランが持ち込んだタイヤが決勝でもたないという異例のトラブルも発生。ペドロサもシーズン中に異例のタイヤメーカーの変更を行うなど、これらが翌年からのワンメイクタイヤ化のきっかけともなる。
チャンピオン争いは後半戦にロッシがリードし、2005年以来となるチャンピオンを獲得。ヤマハは3冠を達成した。ストーナーはランキング2位、ペドロサがランキング3位に続き、ルーキーのロレンソは、第3戦ポルトガルGPで初優勝を達成し、ランキング4位で終えた。
2008年9月に起こったリーマンショックは、MotoGPにも影響を及ぼし、コスト削減が叫ばれるようになる。ここまではマシンもタイヤもコンペティションの時代で、制限なしに激しい開発競争が展開されてきたが、2009年シーズンに向けて、MotoGPクラスは大きく舵を切ることになる。