レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

MotoGP ニュース

投稿日: 2022.04.29 10:00
更新日: 2022.04.29 12:37

『未来のMotoGPライダーを育てる土壌となるために』/MiniGPジャパンシリーズ開幕

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


MotoGP | 『未来のMotoGPライダーを育てる土壌となるために』/MiniGPジャパンシリーズ開幕

 そして、開幕戦を通じて感じたのはMiniGPジャパンという大会の特色だ。MiniGPジャパンは選手権であり、同時に10代のライダーが世界で戦うライダーとして必要なもの──それは速さだけではない──を学ぶことができる土壌があった。
 
 そのひとつに、バイクのイコールコンディションがある。バイクもタイヤもワンメイクだが、変更可能な範囲はしぼられており、タイヤに関しては、空気圧に至るまで統一されている。
 
 Moto2クラスで活躍し、現在はHRCテストライダーを務め、また、全日本ロードレース選手権に参戦するチームを立ち上げて若手ライダーの育成に力を注ぐ長島哲太はMiniGPでアドバイザーを務めており、若いライダーたちに向けて「海外で必要なものを伝えたい」と語る。
 
「ヨーロッパではよくある話なんですけど、バイクのセッティングを変えてもらえないこともあるんです。今の状態でがんばれ、速くなったら変えてあげるよ、という。日本はこのあたりがすごく恵まれていて、ミニバイクのときからバイクを合わせ込んでいって、自分好みに仕上げていける環境なんですね。でも、バイクが仕上がっていないと、速く走れない子が多いんです。ATC(アジア・タレントカップ)やジュニアGP(以前のFIM CEVレプソル Moto3ジュニア世界選手権)に行くと、そこで苦労することが多いんですよ」

「ですから、MiniGPに関しては変更範囲をかなりしぼって、基本的にはライダーが(自分のライディングで)合わせてください、というルールにしているんです」

 フリー走行中にはチャタリングが出ている、とピットインするライダーもいたが、長島はそんなライダーたちに駆け寄り、「それで速く走れる方法を探してごらん、チャタを抑えるためにはこういう風に乗ればいいんだよ」と伝えていたという。

「そうすることで、ライダーの引き出しも増える。今後に向けて成長できるんじゃないかと思っています」

長島は常に細やかに気を配り、ライダーにアドバイスを送っていた
長島は常に細やかに気を配り、ライダーにアドバイスを送っていた

 同じくMiniGP ジャパンでレーシングアドバイザーを務める元Moto3ライダー、現在は全日本J-GP3クラスに参戦する尾野弘樹も「バイクレースは“バイク”という物を使う競技ですから、どうしてもセッティングの話になったりもします」と言う。
 
「タイムが頭打ちしてくると、自分のライディングをどうしたらいいですか、というよりは、タイヤが、サスが、という話になっていくんですね。2戦、3戦、4戦とレースを重ねるうちに、ライダーが意識的に自分でどうにかしよう、と考えてもらえるようになれば、今日、伝えたことがどんどん意味を持ってくると思います」

走行の合間で、ライディングを教える尾野。ライダーにとっては学べるチャンスがとても多い
走行の合間で、ライディングを教える尾野。ライダーにとっては学べるチャンスがとても多い

 海外でのレースとなれば、気候や環境も違い、サーキットの路面状況も日本とは異なる。しかしどんな状況でも結果を求められるのがレースの世界だ。そうした厳しい世界を戦い抜くために、MiniGPジャパンに参戦するライダーたちに、今、こうしたイコールコンディションで、いかに自分のライディングで戦うかを学び、経験値としてほしい。そうしたメッセージがこのレースシリーズに明確に内奥されていた。

 走行後なども現役ライダーである長島や尾野が熱心にライダーたちにアドバイスしていた。また、フリー走行1を終えたあとには、走行を鑑みて再度注意を促したいポイントを伝えるための緊急ブリーフィングが行われるなど、ライダーとして守らねばならないルールについて、意識を高めるためのサポートも手厚い。

 将来、世界へと羽ばたくライダーたちのために。MiniGPジャパンのこうした取り組みは、若いライダーたちをMotoGPへと導くはずだ。


関連のニュース