■ライバルたちもその速さを警戒
鈴鹿でパロウは走行1日目でコースを習熟し、2日目はアタックのタイミングもあったにせよ、最終的に午前、午後ともトップタイム。さらに3月15日の富士でも、14日のスポーツ走行枠でコースを覚え、午前の走行1回目ではトップタイムをマークした。どちらも初体験のコースでのタイムアップの速さは、道上の指摘どおり驚異的だ。
道上によれば、昨年までヨーロッパでTスポーツが使い、マカオで山下健太がドライブしていたそのもののシャシーは「モノコックのクラックにはじまり、ミッションケースもひどい状態だった」という。そのシャシーをチームがしっかりと修復し、マカオでもパフォーマンスを発揮したスリーボンド東名エンジンが組み合わされ、マシンは非常に良好な状態だという。そしてそこにパロウのパフォーマンスが加わり、侮れぬ速さを発揮しているのだ。
このパロウの存在は、さっそく2回のテストでライバルたちにも鮮烈な影響を与えた様子。多くの日本人ドライバーたちから「あの選手はどんなドライバーなんですか?」と“逆取材”を受けたほどだ。今季タイトルが至上命題となっているドライバーたちにとっては、パロウはまさに突然出てきた“目の上のたんこぶ”。ThreeBond Racing with DRAGO CORSEの狙いどおり、日本の若手にとっていい刺激になるだろう。
「全日本F3はレベルも高く、いいシリーズだ。それにここで活躍できれば、スーパーフォーミュラやスーパーGTといったシリーズに繋げることができるからね」
さっそく日本になじみ、「お寿司が大好物」だというパロウ。驚くべき順応性をみせる19歳は、今季の全日本F3の台風の目になるのは間違いなさそうだ。
