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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.11.15 19:10
更新日: 2023.11.17 18:29

KTMS 2023スーパー耐久第7戦富士 レースレポート

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国内レース他 | KTMS 2023スーパー耐久第7戦富士 レースレポート

KTMS KOBE TOYOPET MOTOR SPORTS

ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第7戦 S耐ファイナル 富士4時間レース with フジニックフェス

2023年11月11日(土)〜11月12日(日)
富士スピードウェイ(静岡県)
入場者数:11月11日 9,900人
11月12日 16,600人

連勝目前もまさかのトラブルに泣く
チームの成長は2024年への糧に

FREE PRACTICE
 KTMSにとってはチャンピオン獲得に沸いた2022年から一変、苦しみ抜いた2023年のスーパー耐久シリーズもいよいよ今季最終戦を迎えた。ST-2クラスは第6戦の開催がなかったことから第5戦もてぎ以来の開催となるが、苦境を脱し、今季初優勝を飾った第5戦の勢いを繋げてシーズンを良いかたちで終えるべく、KTMSはシーズン最終戦に臨んだ。富士はチームにとって良い思い出も辛い思い出もあるコースだが、チームも4人のドライバーたちも熟知している。

 そんな一戦に向けた走行は、11月9日(木)にスタートした。この日は晴天に恵まれ、11月ながら暖かさが残るなか5本のスポーツ走行が行われたが、スーパー耐久参戦チーム以外にも一般参加車も走行しており、コース上は混雑がひどい。そんななか、接触に気をつけながらチームは週末に向けた作業を進めていき、順調なレースウイークのすべり出しをみせた。

 走行2日目となった11月10日(金)は、午前9時から専有走行1回目がスタートしたが、天候は曇り。セッションスタートとともにポツポツと雨が降り出し、開始から20分を過ぎたあたりから、雨脚が強まってしまった。KTMS GR YARISは、奥本隼士から走行を開始すると、途中一條拳吾に交代。1分53秒805というタイムで2番手につける。

 午後2時からスタートした専有走行2回目も雨が降り続きウエットコンディションとなったが、奥本から奥住慈英、荒川麟、一條と交代しつつ走行。出走しない車両も多かったが、2分00秒282というタイムでトップタイム。2日間の走行を順調に終えることになった。

QUALIFY
 予選日となった11月11日(土)も富士スピードウェイはなかなか天候が改善せず、午前9時05分からのウォームアップもコースが濡れた状況が続いた。午後1時20分からの公式予選も雨が降ったり止んだりで、路面コンディションもウエットを履くかドライを履くかも悩ましい状況のなかで行われた。

 そんな状況ながら、Aドライバー予選に臨んだ一條は1分52秒792というタイムを記録。クラス首位につける。その勢いにBドライバーの荒川も続き、不安定な状況ながら1分56秒758を記録。KTMS GR YARISは今季2回目のポールポジション獲得を果たした。

 続くCドライバー予選でも奥住が2分00秒828を記録しトップに立つと、Dドライバー予選でも2分00秒761でトップに。KTMS GR YARISは予選のすべてを首位で終え、パーフェクトなかたちで予選日を締めくくった。

KTMS 2023スーパー耐久第7戦富士 レースレポート
KTMS 2023スーパー耐久第7戦富士 レースレポート

RACE
 いよいよ迎えた今シーズンのラストレース。11月12日(日)の第7戦の決勝日は、前日までの雨も上がりドライコンディションで迎えた。1万6600人と非常に多くのファンが訪れるなか、午後0時30分、決勝レースのときを迎えた。KTMS GR YARISのスタートドライバーを務めたのは、スーパー耐久で初めてスタートを担当することになった奥本だ。

 まずはオープニングラップ、奥本は大役を果たすと、すぐさまピットにKTMS GR YARISを向ける。今回は全クラス参加のレースであり、まだコース上が混雑しているうちにAドライバーハンディキャップの70秒のピットストップをこなし、ふたたび追い上げを始めていった。

 今回のレースは非常に台数が多いが、アクシデントが多いわけでもなく、序盤に導入されたフルコースイエローをのぞけば、非常に淡々とした展開でレースが進んでいった。そんななか、奥本は35周目まで自らのスティントをこなすとピットイン。一條にKTMS GR YARISのステアリングを託した。

 この頃には少しずつポジションを上げ3番手につけていくことになるが、ランキング首位で、このレースでもKTMS GR YARISのハンディキャップ消化後にトップを走っていた#13 GR YARISがまさかのエンジントラブルに見舞われてしまう。そのため、一條のポジションはひとつ上がり、2番手で中盤戦の戦いを続けていくことになった。

 一條は71周目まできっちりとスティントをこなし、今度は荒川に交代。KTMS GR YARISお得意の二輪交換を繰り返していたこともあり、この頃にはついに#743シビックをかわし、ST-2クラスのトップに浮上してみせた。

 一方、今季残念ながらKTMSはクラスチャンピオンの権利を失っているが、#13 GR YARISはその頃ピットでエンジン交換を行っており、これで2番手につけていた#743 シビックにチャンピオンの芽が出はじめた。逆にKTMS GR YARISがトップを守る限り、#743 シビックのチャンピオンはない。ある意味でシーズンを左右する存在となった。

 とはいえ、KTMS GR YARISはこのレースをトップで終え、連勝を飾りシーズンをきっちりと終えるのみ。荒川はしっかりとリードを広げ、97周を終えてピットイン。ファイナルスティントを奥住に託した。

 奥住がピットアウトすると、2番手につけた#743 シビックとの差は13秒ほど。地力のペースはKTMS GR YARISの方に分がある。

 しかし101周目、まさかの事態が起きた。100Rを過ぎ、アドバンコーナーに差しかかったKTMS GR YARISが突如パワーを失ってしまった。奥住はなんとかピットまで帰り着くが、エンジンにパワーがない。原因はエンジントラブルだった。

 これを21分で修復し、奥住はふたたびコースには戻ったものの、KTMS GR YARISは大きくポジションを落とし、完走扱いにはなったが4位という結果となってしまった。

 優勝を目前にしてのまさかの展開により、トラブルに泣かされた一年を象徴するかのようなレースとなってしまった。しかし、今季の悔しさを晴らすためには、結果で返すしかない。KTMSはさらなる強さを得るべく、2024年に向けて準備を進めていく。

KTMS 2023スーパー耐久第7戦富士 レースレポート
KTMS 2023スーパー耐久第7戦富士 レースレポート

DRIVER’S VOICE
一條 拳吾  KENGO ICHIJO

本当にうまくいかない一年になりました。ただ結果としては残念でしたが、チームとしてもドライバーとしてもやれることを全力でやりました。今日はとにかく運がなかったです。勝利の女神が微笑まなかったですね。内容としては良い一年だったと思いますし、自分たちがやったことには誇りがもてると思っています。今回予選でもポールポジションが獲れたことはポジティブなことだったと思います。来年については今から準備を進めています。新たなメンバーも加わると思いますし、そこでまた人とクルマを鍛え、自分も成長できたらと思っています。

荒川 麟  RIN ARAKAWA
トラブルばかりは仕方ないとは思いますが、悔しい結果となってしまいました。しかしこの一年を通じてチーム、メカニック、エンジニア、ドライバーとすべてがレベルアップしたことを、この最終戦で示すことができたのではないでしょうか。僕自身、昨年は少しミスをしてしまうこともあったのですが、今年はドライビングの精度を増すことができたと思いますし、予選でもしっかりとタイムを出せるようになってきました。成長できたと思っています。今シーズンもたくさん応援いただき、ありがとうございました。

奥住 慈英  JIEI OKUZUMI
トラブルは100Rでアクセルをオフにした瞬間からまったく反応しなくなり、触れるところをすべて触りましたが、ガス欠症状のようになってしまいました。勝てたレースでしたが、今年はそういったトラブルが本当に多かったですね。とはいえ、良い意味でとらえれば、GR YARISを鍛えてあげられているのかな、とも思います。来季トラブルを最小限に抑えるための今年だと思っています。でもやっぱり悔しいのは悔しいです。しかも今年は僕が走っているときばかりにトラブルが出てしまって……。絶対に勝てると思った感触があっただけになおさら悔しいです。

奥本 隼士  Shunji Okumoto
僕自身初めてスタートドライバーを担当させていただき、緊張するところもあったのですが、今年のレースを通じてみんながスタートしている場面を観て、最後のレースで僕が経験することができたのは良かったです。決勝レースのペースもまとめられたと思うので、自身の走りの内容は良かったと思います。ただレースは何が起きるか分からないということも、同時に感じました。いずれにせよ、今シーズン一年こうしてチャンスを下さったことには感謝しかないです。これを活かすのは自分だと思いますので、これからも頑張っていきたいと思います。

神戸トヨペット エンジニア 上田 昌宏  Masahiro Ueda
この一年を通じてですが、とことん運に見放されてしまいました。毎戦どのレースでも勝てると思った瞬間に手からこぼれ落ちてしまうような展開となってしまいました。2024年はトラブルを起こさないように、僕自身も取り組んでいきたいと思っています。来季どうすればトラブルが起きないようになるかを、僕も考えていきたいですね。チームは当初シーズン開幕戦のころに比べると、自分自身で考えて動けるようになっていると思います。育成も兼ねたレース活動ですので、僕自身もいろいろなことを考えながら取り組んでいきたいです。


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