■車種によって感触の違いも

 タイヤの種類や銘柄の変更等によって勢力図が変わることは、他のレースでも良くあることだが、各クラスとも車種の特徴や走らせ方で、ピレリが合う、合わないはやはりあるようだ。埼玉トヨペットGreen Braveのトヨタ・マークXを駆る服部尚貴は「事前にST-3クラスでは『ヨコハマと比べるとグリップが若干足りない』と聞いていたんですけど」という。

「でも、ウチが履いたら去年よりタイムが上がっていた。昨年まではまわりに対して、我々は一発のタイムが出なかったんですが、かなり近いところに来たんじゃないかと。ピレリ様々です(笑)。マークXのディメンションに対して、タイヤが近づいてくれた感じかな」

「僕たちのクラスではタイヤのハイトが上がってしまうので、そのままいくと車高が上がってしまう。その分、リヤの倒れ込みが気になるところはありますが、ヨコハマでその症状がまったく無かったかというと、そういうわけでもない。アクセルを開けるところをアジャストすれば、うちにとっては『全然いいタイヤだね』となっている」

 一方、同じST-3に参戦するル・ボーセモータースポーツのレクサスRC350をドライブする嵯峨宏紀は、「何セットか履いていますが、そこでの個体差がないので、ワンメイクタイヤとして悪いタイヤではないと思います」と評する。

 ただ「ヨコハマと比較すると、僕たちはグリップが落ちるんです。もう少し夏場にならないと、ちゃんと評価できないかもしれませんが、コンパウンドがちょっと硬めな気がしますね」とRC350としては現状まだそこまでうまく使いこなせていない状況を明かした。車種によって感じ方が違うのは興味深いところだろう。

 全体的な印象としては、タテ方向のグリップ、そして硬さにもあるのか、耐久性に優れているというのがピレリのイメージと言って良いだろう。もちろん、来季さらに軟らかめにすることもピレリとしては可能なはずだ。

 このピレリを履きこなすことは、今後ブランパンGTシリーズ・アジア等海外のレースでもメリットになる。そして何より、今回トラブル等なく、無事に合同テストを終えたのはピレリ、そしてスーパー耐久にとって大きな一歩となったはずだ。

埼玉トヨペットGreen Braveのトヨタ・マークX
ル・ボーセモータースポーツのレクサスRC350

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