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国内レース他 ニュース

投稿日: 2019.07.17 16:06

全日本F3選手権:2戦連続抗議→車両規則違反失格の異常事態。いま、シリーズに何が起きているのか?

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国内レース他 | 全日本F3選手権:2戦連続抗議→車両規則違反失格の異常事態。いま、シリーズに何が起きているのか?

■“事件”への感想はまちまち。賛否両論渦巻く

 以上が全日本F3選手権第10戦/第11戦における抗議についての概要だが、当然ながら抗議というスタイル、また車両規定についてさまざまな議論が起き、7月14日の第12戦のレース後には、ふたたびエントラントミーティングも行われ、そこでもさまざまな意見が交わされたようだ。折しも2020年に向けて使用車両など、全日本F3選手権には大きな変化が訪れると言われているが、その中で起きた事柄だった。

 富士ラウンドの週末、この件に関して全日本F3選手権参戦チームの複数関係者から意見を集めたので、ご紹介しよう。

・Aチーム監督兼エンジニア
「トムスがやったことは、そこで速さが変わるパーツではないですが、今までのルールが不明瞭すぎますね。テクニカルノートにはちゃんと明確なルールが書いておらず不明確で、ずっと自分は『どこをいじっていいのか』とまわりに聞き続けていた。でもそれ示す明確なシートがなかったんです」

「フロントウイングのサイドフラップについても、みんな角度が分からないように自作をしていた。『これは作っていいの?』と聞いたら『いいんだ』と言われたので、それがルールなのかと思っていた。実際にルールがあったにも関わらず、作ってしまったのはトムスの責任ではあるんだけど、ルールが不明確ななかで、いきなり失格にするのはどうかなという気持ちですね」

「木曜のエントラントミーティングで、初めてホモロゲーションシートが配られた。そうしたら、いろいろなものがダメじゃないかとなった。それまでほぼ全車フロントウイングはホモロゲにあるパーツに穴をあけて、ワイヤーで吊っていたけど、『コレもだめなの?』と聞いたら、ホモロゲシートに書いてあるものに加工しちゃダメなので、全車外したくらい(笑)」

「今までが正直言って不明確すぎた。本当はこういうことはレース後に突くのではなく、レース前にみんなでミーティングするべきだと思う。今までもミーティングしてきたと思うし、日本のルールでこうしましょうとやってきた。日本フォーミュラスリー協会も頑張ってくれているけど……」

・Bチーム監督
「SUGOについて言えば、日本でJAFもチームも知らないホモロゲーションシートが存在していて、向こうはヨーロッパでやっているからと持ち出してきて、それに対して『うん』と言ったJAFに問題があるのではないでしょうか。これはJAFのレースじゃないですか。FIA管轄のレースだったら分かりますが、『それならスーパーライセンスポイントをもっとくれ』と思いますよね」

「今年はレベルもすごく高いですし、その意味では彼ら(モトパーク)が来たのはいいことなのですが、今までみんな全日本F3選手権は若手の育成というかたちで見ていたと思うんです。それがいきなり戦争のようになってしまったので、その温度差については、逆に我々も目が覚めましたね。ああいうスタンスで来るのなら、我々も甘かったな、と反省しました」

「富士での第10戦の件については、逆に『よく見ているな』と。SUGOのことについては、速さは関係はないと思いますしね……。レースはレースでやはり戦いなので、そういうスタンスも必要なのかな……と、良い意味で気付かされたと思っています」

・Cチームエンジニア
「第10戦の件で言えば再車検もクリアしているわけで、そこに対して抗議を上げて失格……という状況はおかしいと思います。なんのための再車検なのか。またモトパークから抗議が起きていますが、自分たちの成績が悪かったときに抗議が出ているのが、子どものケンカのように感じてしまいます」

「誰かがはっきりと『こうしなさい』というルールを提示できる人がいないと、こういうことが起きてしまう。またレースのスポーティングの面についてもおかしい部分がありますし、ペナルティを受けている状況で抗議が上がるのは少し違うのではないかな……という気持ちはあります」

「ホモロゲーションシートについては見たことがなかったです。この話が出て『そうなの?』と聞いて、今回シートが提示されました。JAFが明確に『これはいい、悪い』というのを示してから話を進めるべきではないかな、と思います。このレースはトップカテゴリーではなく、ステップアップカテゴリーなので、ドライバーをどう育てるかが大事だと思うんです。そのなかで大人のケンカみたいになってしまうのは、いかがなものかと思いますね」

・Cチームアドバイザー
「今年からモトパークやカーリン(YTB by Carlin)が参入して、ヨーロッパでのやり方を採り入れてきている。自分もヨーロッパで経験したことはありますが、レースの世界ではどこかにボロがないかということをメーカーやチーム単位で探してくる。僕たちはそこまで気付いていなかったのですが、昨年までFIAヨーロピアンF3を戦ってきたチームなので、海外ではそういうことが起きていて、日常的なのだと痛感しましたね」

「去年で言うと、ヨーロピアンF3で急にミック・シューマッハーが勝ちだしたときに疑義が出たりとか、一時プレマパワーが勝ち続けたりしたときに、そういう話が出てくるんですよね。今は全日本F3選手権でも、トップ2のデータがある程度見られるようになっているんですが、やはり何かあるんでしょう」

「その中では、モトパークはやはり目が肥えているんだと思います。向こうは争いも激しいでしょうし、スパイを送り込む……ではないですが、私服で写真を撮りにいったりと、アラの探しあいがあるんだと思います。彼らにしてみたら、マカオでは近年そこまでではないトムスが日本に来てみたら速いので、何かやっているのでは……と疑いをもったのではないでしょうか」


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