TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race 2020 クラブマンシリーズエキスパート 第8戦
圧倒的な速さで鶴賀が総合優勝!最終戦を残しチャンピオン獲得!!
エキスパートクラスは、ドライバーにとっても、観る側にとってもエキサイティングだ。その理由のひとつは、ここ1〜2年で参戦をスタートさせた若いドライバーたちが、その中心に立って活躍していることだろう。今回のエントリーは28台と、例年並みのレベルへと復活している。そのエントリーリストの中から注目は2018年のチャンピオンである#38神谷裕幸(DL)の復活。
若手ドライバー中心の現在、ベテランのチャンピオン経験者が入ることで、レースはさらにレベルアップすることに違いない。チャンピオン争いは、最終戦が1ヒート制で最大22ポイントに対して、今回は2ヒート制なので最大33ポイントを手にすることができる。それだけに、今大会での上位入賞がチャンピオン獲得には必須条件となっていると言っていいだろう。
●予選
冷たい雨が降っていた予選は、#56鶴賀義幸(ブリヂストン)と#703花里祐弥(ブリヂストン)、ふたりのステージとなっていた。最初に花里がトップタイムをマークすると、次に鶴賀がそのタイムを更新、それを花里が更新…、といったシーソーゲームが展開されていった。途中赤旗中断をはさんで、ファイナルラップで花里が逆転し、ポールポジションを獲得した。2016年の参戦開始以来、初めてのポールポジションとなった。
鶴賀は、0秒052遅れの2位。しかし3位には、その鶴賀から0秒002遅れで#201萩本賢一(ブリヂストン)が入り、接戦が予想された。4位には、シリーズランキングで2位となっている#556呉良亮(ブリヂストン)が食い込み、前戦十勝で勝利している#504富林勇佑(DL)は8位へと沈んだ。雨ということもあり、ウエット性能が高いポテンザRE-12Dの実力が発揮された。ブリヂストン装着勢は1位から6位までを占め、トップ10に7台が入った。
●決勝・ヒート1
予選の時点で降り続いていた雨も、午後の第1ヒートの頃にはほぼ止んでいた。しかし路面は完全にウエットのままだった。初のポールポジションからのスタートとなった花里は、緊張もあったのかホイールスピンを起こし、スタートで出遅れてしまった。しかし鶴賀に並ばれたものの、何とか制してトップを守った。
ふたりの速さはエキスパートクラスの中でも際立っていて、後続を引き離していく。1秒前後のタイム差でレースは進んでいったが、花里が安定感のある走りを見せ、鶴賀に付け入る隙を与えなかった。予選同様、花里が進化を感じさせる走りで、ポール・トゥ・ウインで初優勝を飾って見せた。3位には、スタートでポジションをひとつ上げた呉が、4位は富林が食い込んだ。ブリヂストン装着勢はトップ10に6台が入った。
●決勝・ヒート2
決着はスタート直後についた。雨の第1ヒートで出遅れてしまった花里だったが、それが第2ヒートでも再現されてしまった。しかも今度は鶴賀が好スタートを決めたため、1コーナーですでにトップは交代していた。ドライコンディションでの速さに自信を見せていた鶴賀は、花里をも寄せつけない速さを見せ、1周当たり0.5秒以上リードを拡げ、独走態勢へと持ち込んでいった。
彼らの後方では、呉、勝木、富林が接近した3位争いを展開。その若手集団の後ろに、神谷が追いついた4周目、アクシデントは起きた。ダブルヘアピンで富林がオーバーテイクを仕掛けたが、オーバースピードで曲がり切れずに2台を押し出してしまう。その空いたインを神谷が突き、難なく3位のポジションを手に入れた。富林は接触によってタイヤにダメージが生じてストップ。呉はスローダウンしていたところに他車が接触し、リタイアとなってしまった。
そのアクシデントによってセーフティカーが入り、鶴賀の4秒以上のリードが消滅した。しかし再スタートを完璧に決めて鶴賀が今シーズン2勝目を挙げた。2位には花里、3位は神谷が入り神谷は復帰戦で表彰台へ上がった。鶴賀が優勝、呉が第2ヒートをリタイアしたことで、鶴賀がエキスパートクラスのシリーズチャンピオンに輝いた。
●シリーズチャンピオンを決めた#56鶴賀義幸選手のコメント
「第1ヒートでは雨の中、花里選手の速さについていくのがやっとだったのですが、ドライの速さには自信があったので、今日の第2ヒートは勝てると思っていました。スタートがうまく決まって前に出ることができて、展開にも助けられました。クルマが速くて、ボクはただ乗っているだけだったので、こんなマシンを用意してくれたチームに感謝したいですね。目標だったチャンピオンを獲ることができて嬉しいです。来年のことについては、チームとも相談して決めたいと思っています。自分としては、やっぱり上(プロフェッショナルシリーズ)を狙いたいですけどね」