更新日: 2022.09.14 00:48
TKRI 2022スーパー耐久第5戦モビリティリゾートもてぎ レースレポート
TKRI
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第5戦 もてぎスーパー耐久 5Hours Race
2022年9月3日(土)〜9月4日(日)
モビリティリゾートもてぎ(栃木県)
入場者数:
9月3日 7,300人
9月4日 10,000人
地元戦は忘れえぬ悔しいレースとなる
9割手中に収めた初勝利は砂塵の彼方に
FREE PRACTICE
スタートからレースをリードしながらも、トラブルに泣き表彰台を逃す結果となってしまった第4戦オートポリスから1ヶ月強。シリーズは第5戦となるモビリティリゾートもてぎを迎えた。AドライバーのDAISUKEにとっては地元に最も近いレースで、気合が入る一戦だ。
レースウイークは9月1日(木)午後1時からの特別スポーツ走行で幕を開けたが、この日は曇り空ながら非常に蒸し暑く、ドライバーたちも大粒の汗をかきながら初日の走行を進めた。この走行では1分53秒544でトップにつけ、さらにDAISUKEもペースが良く、充実の初日を終えることになった。
明けて9月2日(金)はさらに習熟を進めたいところではあったが、朝からもてぎは雨模様となった。
午前10時45分から行われたグループ1/Xの専有走行は完全にウエットコンディションで、元嶋佑弥、DAISUKEと繋ぎ3番手に。その後雨は止み、レコードライン上は少しずつ乾いてきたものの、コンディションは安定せず、全クラス混走となった午後2時からの専有走行も中山友貴、DAISUKE、元嶋、ふたたびDAISUKE、元嶋と交代しながら走るが、途中ST-5クラス車両のクラッシュで長い赤旗も。1分54秒100で2番手につけるも、コース上の台数も多く、全体的にはややストレスが溜まる専有走行となった。
QUALIFY
2日間不順な天候となっていたもてぎだが、迎えた9月3日(土)の予選日は曇り。初日ほどではないが蒸し暑いなかで午前10時からのウォームアップ、そして午後1時からの公式予選を迎えた。
まずAドライバー予選に出走したDAISUKEは、最初のアタックで慎重に1分55秒698を刻むが、その後さらにペースを上げる。最終的に7周目に1分55秒323までタイムを縮めるが、「ニュータイヤの良いところを使えなかった」と悔やんだ。しかし続くBドライバー予選では、元嶋が魅せた。
DAISUKEの悔しさを晴らすかのように1分51秒638という驚異的なタイムを記録。合算で予選最上位となる2番手につけ、Cドライバー予選では中山が決勝を見すえつつ、1分54秒731で3番手に。感触も良好で、TKRIは非常に良い雰囲気のなかで予選日を終えた。
RACE
迎えた9月4日(日)の決勝レース。雲が多いが雨の心配はなく、この日も蒸し暑いコンディションのなか、午前11時、5時間の長丁場がスタートしていった。TKRI 松永建設 AMG GT3のスタートドライバーは今回も元嶋佑弥が務めた。チームは元嶋と中山友貴で十分なマージンを築き、DAISUKEがちょうどレースの終盤を走り、再度元嶋で繋いでいく作戦を組んだ。
元嶋は2番手からのスタート直後、期待に応え猛ダッシュを決めトップに浮上。その後もハイペースでラップを重ねていった。2番手以下の集団がバトルを展開していくなか、元嶋は2周目に1分54秒043と、このレースでのファステストラップを記録し、秒単位でマージンを築いていく。4周目には早くもラップダウンが出現するが、切れ味鋭くこれをかわすと、その差はさらに拡大。38周をこなし中山に交代するときには、他車のピットインのタイミング等もあったものの、差は48秒にも拡大していた。
続く中山も、好フィーリングのなか安定したハイペースでTKRI 松永建設 AMG GT3を走らせていく。2番手につけていた#777 アストンマーティンがトラブルに見舞われるなどライバルたちが後退していくなか、快調に周回をこなしていった中山は、81周を終えピットインするまでになんと1分半近いマージンを築きピットイン。いよいよDAISUKEが乗り込んだ。
速さは十分にある。TKRI 松永建設 AMG GT3のフィーリングも良好だ。DAISUKEは課題でもあるラップダウンの処理を慎重に行いながら自らの規定周回数である1時間をしっかりと走り切るべく、当初の想定どおり1分58秒台から2分台のタイムで、大きなマージンを味方にレースを進めていった。
しかし98周目、まさかの光景がモニターに飛び込んできた。TKRI 松永建設 AMG GT3が、最終ビクトリーコーナーのグラベルトラップにストップしてしまっている。DAISUKEは「ラップダウンをかわそうとしたときに、ウインカーを点けていたので譲ってくれるのかと思っていたら、寄ってきてしまい姿勢を乱してしまいました」とその状況を語ったが、ビクトリーコーナーのグラベルは砂が深く、オフィシャルによって牽引されたものの、なかなか脱出することができず、フルコースイエロー導入中ながら、脱出には8分近くを要してしまった。
不幸中の幸いでTKRI 松永建設 AMG GT3にダメージはほとんどなく、DAISUKEは規定の1時間をこなすべくふたたびTKRI 松永建設 AMG GT3を走らせていった。信頼するふたりの仲間、チームのためにも、しっかりとバトンを繋ぎたい。DAISUKEは107周を終えピットに向かいその役割を終えると、「スイマセンでした」と悔しい表情でコクピットを下りた。
終盤、DAISUKEの悔しさを晴らすかのように元嶋がハイペースでラップを重ね、最後はトップから1周差でチェッカーを受けた。結果は6位。表彰台はマスト、優勝を狙いたいレースだっただけに、悔しさとともに、チーム全員にとって忘れられないレースとなった。
DAISUKEにとっての地元レースで、たくさんの応援団も訪れるなか、間違いなく勝てるポテンシャルは見せつけた。レースの悔しさはレースで晴らすしかない。このチームを立ち上げた片岡龍也が先月見せたように、ふたたび次戦岡山でTKRIは栄光を目指していく。
DRIVER’S VOICE
DAISUKE
なんと言えばばいいやら……。今回の結果は自分の経験値の少なさ、足りなさが出てしまったのだと思います。何かがあったときに冷静に対処できれば、もっとこうすれば良かったかな、などなど、引き出しが増えてくるのだと思います。そういう場数の少なさがこういう結果に繋がってしまったのではないかと思います。今後トラフィックの処理なども冷静に対処しながら取り組んでいきたいです。次戦は岡山ですが、今回最高のクルマと最高のプロドライバーたち、最高のスタッフを揃えてもらっていましたので、自分もしっかりと準備をして挑んでいきたいと思っています。
元嶋 佑弥 YUYA MOTOJIMA
レースにタラレバを言っても仕方ありませんが、前戦オートポリスも今回のもてぎも、間違いなく走っている位置はトップですし、間違いなく勝てると思っていました。とはいえ僕たちはまだこのクラスでは“一年生”のチームですからね。僕たちの“出番”はまだこれからなのだと思います。最初の1勝はすごくキツいですし、一度勝つことができれば肩の荷もおり、DAISUKE選手ももっとリラックスして走ることができると思います。僕たちももっとくみ取っていきたいですし、まずは勝ってホッとしたいですね。
中山 友貴 YUUKI NAKAYAMA
僕のスティントの時点で元嶋選手が大きくマージンを築いてくれていたので、自分がドライブするときには、前もうしろもいないひとり旅になってしまったので、自分自身に目標を定め、とにかく安定して走ろうと思っていました。またレースもまだ時間があったので、ブレーキも気にしながら走りましたが、それなりにうまく繋ぐことができました。結果的には悔しいレースになりましたが、クルマのポテンシャルも高いですし、しっかり噛み合えば結果は残るチームです。元嶋選手と力を合わせ、DAISUKE選手と表彰台の頂点に上がるために、これからも頑張っていきたいです。
河野 高男 監督 TAKAO KOHNO
残念ですね。レースウイークを通じて調子が良かったのですが、もちろんこれもレースです。いろいろな経験を積むことができましたし、DAISUKE選手がもちろんいちばん悔しい思いをされていると思います。しかしベースが上がっていますし、DAISUKE選手のレースペースもすごく良かったです。十分勝つことができるパッケージがあることが証明できました。次戦以降、またみんなで一致団結して優勝を目指していきたいと思います。岡山ももちろんそのチャンスはありますからね。また頑張っていきたいです。