第6戦は第5戦の翌日に同じコース設定で行われた。このコースは進入手前にゆるいS字区間が設けられている。そこで、一度フェイントを入れて左のバネに荷重をかけてからその反発を利用して右にテールを振り出し、今度は右のバネにしっかり荷重をかけてから思い切り振り返してコーナーに飛び込むのが、審査員のコース設定の意図で、実際に高得点が出しやすい走り方だった。

 そのセオリー通りの走りで97点台の高得点を出していた選手が多かったが、中でも横井はお手本のような走りで1本目に98点台をマークしてトップに立つ。

 しかし、走行順のちょうど中ごろ、Bグループの最後に登場した松山北斗(Team TOYO TIRES DRIFT 2)は1本目に97点台をマークすると、2本目にはあまり逆振りを大きく入れず、スピードを保ったまま直線的にS字を抜け、一気に強烈な角度をつけてコーナーに進入。そして、飛距離をゾーン2にピタリと合わせて旋回してみせた。

 このコースのセオリーに反する走りを成功させた松山は、それまでトップだった横井の98.18点を1点以上、上回る99.38点という圧倒的な得点をマーク。結局このあと98点を超える選手は現れず、松山の単走優勝が決まった。

 なお、ランキング首位の目桑は単走敗退となったが、村上も敗退してポイント争いでは後退した。

難易度増したレイアウトで藤野が今季初優勝。第6戦は蕎麦切が制しランキング首位に浮上/D1GPエビス
1st:松山北斗(Team TOYO TIRES DRIFT 2)TOYO TIRES DRIFT GR COROLLA(GZEA14H)

単走Winner:松山北斗(Team TOYO TIRES DRIFT 2)TOYO TIRES DRIFT GR COROLLA(GZEA14H)

「エビス西は結構好きなのですが、今回は少しレイアウトが変えられているので、難しいなとは思ってました。でも、決勝で走ったような角度をつける走りは、練習からやっていました。昨日の単走ではウォームアップのときのポールタッチの減点のせいで、安パイな走りしかできなかったので、今日は1本目をちゃんと決めて、2本目で思い切りやってみようと思ったのがうまくいきました」

⎯⎯あの走りは練習でも成功していた?

「そうですね。ただ練習でも点は98点いくつかが最高だったので、99点までは出てなかったのですけど、ああいった走り方は一応練習していました。なので、行けるかな、というので試してうまくいった感じです」

⎯⎯S字のように走るスタイルと違いました。

「そうですね。チームにDOSSを見てもらってたときに、審査員の方たちはS字っぽく走らせたいのように言ってたのですが、どうもDOSSの点を見ていると、結構スピードが重視されるし、いつもの安定性というよりは勢いと角度っていうのが大事かなと。なので、最後の2本目は特にそれを意識して、スピードを乗せてしっかり飛び込む、という走らせ方をしました」

⎯⎯2本目のあの走り方はやはり難しい?

「やはり角度がついてしまうと距離感が合わせづらいです。本当にうまくいきましたが、ゾーン2を外す可能性も全然ありましたし、そこはあまり毎回できる走りではないかな、という気がします。2本目は、この週末で一番いい走りはできたと思うのですが、本当は1セクターの振り返したあとも、もっと気持ちよくずっと踏んでいるのが理想だと思っています。調整していた部分が何個所かあるので、結果的には良かったのですが、自分の理想の走りには少し届いてないかな、と思います」

⎯⎯単走優勝した心境は?

「ここのコースで単走優勝させていただくことが結構多くて、昨年はできなかったんですけど、今年もそれを達成できてすごく嬉しいです」

難易度増したレイアウトで藤野が今季初優勝。第6戦は蕎麦切が制しランキング首位に浮上/D1GPエビス
単走Winner:松山北斗(Team TOYO TIRES DRIFT 2)TOYO TIRES DRIFT GR COROLLA(GZEA14H)

■第6戦 追走トーナメント:蕎麦切が弱点を克服して中村直樹に勝利! 

 ベスト16では、単走16位だった田野結希(Team TOYOTIRES DRIFT 2)が単走優勝の松山を倒すなど、単走で下位の選手が勝った対戦も多く、やや波乱の展開となった。上位選手は目桑がノーポイントのラウンドでポイントを稼ぎたいところだが、横井はベスト16で敗退して、大きく前進することはできなかった。

 一方、蕎麦切と藤野はベスト8で対戦。蕎麦切は前日からの弱点である1、2セクターでの寄せを克服できなかったものの、藤野にミスが出たこともあり勝利した。

 ベスト4に勝ち上がったのは中村直樹、山中、日比野哲也(SHIBATA RACING TEAM)、蕎麦切だ。中村直樹は前日よりも車両のコンディションが改善していたようだった。まずはその中村直樹と山中が対戦。1本目後追いの山中は、進入でビタビタの距離感を見せたが、次第に中村直樹に距離を開けられ、角度も劣勢だった。2本目は中村直樹が近い距離できれいに合わせて中村が勝った。

 日比野vs蕎麦切は同チームの対決。1本目先行の日比野もいい走りを見せたものの、イン側のゾーンを外し、蕎麦切は近い距離のドリフトを見せる。2本目は蕎麦切にミスもあったが、日比野も蕎麦切ほどの後追いポイントは獲れず、タイトル争いをしている蕎麦切の方に軍配が上がった。

 決勝は中村直樹vs蕎麦切。まずは中村直樹が先行だ。蕎麦切はこれまで苦手としていた1、2セクターからビタビタの接近ドリフトを見せる。しかし、その先で中村直樹の減速に合わせきれず、離れてしまう。2本目は蕎麦切が先行。蕎麦切はゾーン2を外したものの、中村も安定した追走が見せられず、合計得点で蕎麦切の優勝が決まった。

 これで蕎麦切がランキング首位に浮上。そこに藤野、横井、目桑が続くという展開になった。

難易度増したレイアウトで藤野が今季初優勝。第6戦は蕎麦切が制しランキング首位に浮上/D1GPエビス
Final Battle:中村直樹(TEAM VALINO × N-STYLE)Silk Blaze Sports N-STYLE GR86(ZN8) vs 蕎麦切広大(SHIBATA RACING TEAM)MOTUL GR86 SHIBATIRE 31(ZN8)
難易度増したレイアウトで藤野が今季初優勝。第6戦は蕎麦切が制しランキング首位に浮上/D1GPエビス
Final Battle:中村直樹は近いドリフトを見せたものの、角度が浅かったりふらつく場面もあり、最後のセクターでは離されるなどして接近ポイントを稼げなかった。

Rd.6 Winner:蕎麦切広大(SHIBATA RACING TEAM)MOTUL GR86 SHIBATIRE 31(ZN8)

⎯⎯昨日は2位で、今日は優勝できました。

「昨日、決勝で当たった藤野選手との対戦でも、僕のスタートの出る技術の低さというのが…技術というか、スタートでもっと合わせられるよな、っていうところがありました。そのあたりは最初からしっかり捕まえることだけを意識してスタートを頑張りました。昨日できなかったことができてきた感じはあります」

⎯⎯準決勝の日比野選手との対戦は?

「あれは気持ちよかったですし、正直、ぶつけてもぶつけられても直すのは僕なんですよ。全部自己責任なので、もう思い切り行こうと思いました」

⎯⎯昨日から1、2セクターで詰められないのが弱点だと言われてたが、決勝ではできた?

「そうですね。本当にその通りだったのですが、自分の中ではこのように改善すればもっとできるというイメージはできていましたし、今日はどんどんトライしていこうと思いました。それにトライしないと追走も勝てませんし、そういった部分が自分に足りないところでした。頑張るためにはまずスタートを決めないと、トライするところまで辿り着けないので、スタートを意識してやっていました」

「僕の理想にはまだまだ遠いですが、ベスト4あたりから少しずつ近づいてきたかなと思っています。決勝はもう思い切り行くだけですが、そこは(中村)直樹さんも進入がすごく速いので、それ以上のスピードで後追いしようという気持ちでした」

⎯⎯そして先行も。

「たまたまうまくいきました。たまたまです。こういった走りは、あまりに博打的で失敗するリスクの方が高いですし、直樹さんに迷惑をかけてしまうという気持ちもありました。でも、直樹さんの後追いのフルマークなども見ていたので、僕の100%では絶対足りないって分かったから、できる限界以上の走りをしようと。そう思ってしてみたら、クルマがよかった。その博打を支えてくれるいいクルマなので、走りが成立しました」

⎯⎯昨日から少し成長しての優勝。

「そうですね。素直に嬉しいです。昨日も帰ってから夜中もずっと土曜日のラウンドのいろいろな選手の走らせ方とかを見ていて、『こういうやり方もあるんだな』というのをたくさん見て勉強して、今日実践できました」

⎯⎯そして、ランキングもトップです。

「あまり意識したくないですね。シーズン中盤とかでトップに立つのもどうなのかなと。自分にとって経験のないことなので、あまりそこを意識せず、いつも通り、自分の走りで頑張りたいと思います」

難易度増したレイアウトで藤野が今季初優勝。第6戦は蕎麦切が制しランキング首位に浮上/D1GPエビス
Rd.6 Winner:蕎麦切広大(SHIBATA RACING TEAM)MOTUL GR86 SHIBATIRE 31(ZN8)

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