F1での長いキャリアを経て、今は現場から離れた生活を送っているが、豊富な情報源を持つニック・リチャーズ氏のコラム。裏情報を知る彼が、F1の政治問題をテーマに、独自のシニカルな視点で時事に切り込む。
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さて、またこの季節がやってきた。友人たち――正確には妻の友人たちだが――が、頼みもしないのに次々と家にやって来る。中には自分の家で食事をしようと強引に誘ってくる者もいるが、大半は我が家のクリスマスランチに招待されたくて必死になっているのだ。まったく、図々しい連中である。
私ほどの年寄りにとっての利点のひとつは、誰かを喜ばせる必要を感じなくなることだ。そのためこの時期になると、私は普段以上に引きこもり、門のベルが鳴るたびに書斎に隠れることにしている。客の相手はすべて妻に任せ、彼女は客たちに、夫は東京やマラネロ、あるいはシュトゥットガルトの“非常に重要な人物たち”との電話会議中だと説明する。客は皆、それを信じているようだ。
実際のところ、私が何をしているかというと、12月後半から1月2日までの間に、ラボリー・アランビック・ブランデーを数本空けることが一番の仕事だ。一人で本やタブレットを前に座っていれば、喉も渇くというものである。この時期は、真の友人たちは家族と過ごすのに忙しく、電話やメッセージもめっきり減る。だからこそ、2025年に起きた出来事を振り返り、2026年に向けてあれこれと思いを巡らせるには最適な時期なのだ。
■レッドブル激変への驚き。ホンダ×ニューウェイへの期待
2022年から2025年の時代に、メルセデスのパワーユニットユーザーがタイトルを獲得し、ホンダの完全連覇とならなかったのは残念だった。この間にひとつのマニュファクチャラーだけがタイトルを獲得したという記録が残れば、素晴らしかったのだが。
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