同じことが来季にも起こり得るということを、彼はわかっている。フェラーリはおそらくメルセデスよりも無駄なくポイントを獲得してくるだろうし、きっと面白い展開になるだろう。結局のところ、どちらのチームもそれぞれにとって最良のアプローチをとることになるのだ。

では、それ以外のチームはどうだろう。レッドブルはいまもコンストラクターズ選手権3位をキープしており、ハンガリーGPではいざこざがあったものの、両ドライバーは良い関係を築いている。ダニエル・リカルドはタイトル争いには絡んでいないものの、バクーで一勝をあげた。一方でマックス・フェルスタッペンはルノーエンジンの信頼性不足に、より悩まされている。
しかしレッドブルはマシン開発がうまいことで有名だし、シーズン後半は大いに競争力を発揮する傾向にある。ただし、メルセデスやフェラーリとの差を詰めてはくるかもしれないが、それでもトップ2チームよりは下位になるだろうというのが私個人の予想だ。
フォース・インディアは現在コンストラクターズ選手権4位で、トップ3チーム以下のなかでは首位だ。この成績はドライバーに助けられてのものだが、レッドブルはフォース・インディアよりも上位となる。

セルジオ・ペレスは資金と成績をもたらすドライバーとして評判が良く、エステバン・オコンも、そのスピードで多くの人々を驚かせている。けれどもオコンはF3時代にマックス・フェルスタッペンのライバルであり、実のところ打ち負かしてもいるのだから、別段驚くようなことではない。ドライバー同士の緊張感という点でも、彼らはシーズン後半もサプライズを見せてくれるはずだ。
今季、F1の“中間層”はこれまでになく幅広い。ウイリアムズはルーキードライバーに手を焼き、ベテランドライバーはパフォーマンスがふるわない。しかしカルロス・サインツJr.がトロロッソに何をもたらしているのかを観察するほうが、もっと興味深い。
彼はほとんど単独で、チーム史上最高のシーズンを築き上げている。もしもウイリアムズをも上回ることができたとしたら、まるでおとぎ話だ。ルノーやハースのドライバーとは逆だと言える。彼らはときに光り輝くパフォーマンスを発揮することがあるものの、精彩を欠いたシーズンを過ごしている。