どちらの考え方も理解できるし、公平なものだ。ではドライバーという、今季のもうひとつの重要な話題に移ろう。

 ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルは、両者とも他のどのドライバーよりも優れている。バルテリ・ボッタスはチームメイトを打ち負かすこともあるが、状況があるべき方向へと進むかぎり、タイトル争いはふたりの複数回チャンピオン経験者の間で行われるはずだ。

 今季のこれまでを考えると、ベッテルが期待はずれなパフォーマンスをすることは想像し難い。自身のドライビングに失望させられるようなことにはならないし、チームメイトはしっかりと職務をまっとうしてくれる。彼はメルセデスを倒そうとすることよりも、メルセデスがどの位置にいるかに、より注意を払っているのだ。

 ただしバクーでの一件のように感情に振り回されていては、ベッテルはタイトルを失うことになりかねない。実際、あの行為がなければ、優勝回数は11戦中5回になっていたはずなのに……。

 同じようにハミルトンも、自分自身と戦わなくてはならなくなる。彼はアグレッシブで速く、自信にあふれている。けれどもそれはときに惨事を招く。プレッシャーがかかっていると、ずいぶんとミスを犯しやくすなるのだ。

 しかしF1はトップで戦う2名のためにあるのではない。ベッテルとハミルトンがシーズンの大半を互角に争っているとなれば、それぞれのチームメイトもまた同じように重要だ。すでに8月を迎え、フェラーリはチャンピオン獲得を見据えた場合にどちらのドライバーをサポートするかを決めているが、メルセデスはそうではない。

2017年F1第11戦ハンガリーGP ルイス・ハミルトンから3位を返してもらいチェッカーを受けるバルテリ・ボッタス

 ハンガリーGPではハミルトンがボッタスに順位を返した。その高潔な振る舞いは、どちらのドライバーがチームにとっての有力候補になるのかが決まっていないことを示している。これは驚くべき事態だ。シーズン開幕前、ボッタスがこれほどまでに拮抗すると誰が予想していただろうか?

 しかし両方のドライバーにチャンスを与え続けると、フェラーリと違ってチャンスは2倍になるが、ふたりは互いにポイントを奪い合う。フェラーリは明らかに、ライコネンにナンバー2ドライバーというステータスを与えている。このためにライコネンは今シーズン、モナコGPとハンガリーGPの2戦で勝利を落としたのだ。

 しかしベッテルのサポート役をこなしてきたことで、彼は2018年の新たな契約も手に入れることができそうだ。“アイスマン”は、F1では状況が変わることを知っている。彼は2007年のタイトルを獲得したが、2008年はカーナンバー1のマシンに乗りながらも、フェリペ・マッサのタイトル獲得の手助けをするという結果になった。

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