今シーズンのフェラーリが生まれ変わったように早くなったことは、すでにレースリザルトからも否定のしようがない。独特のサイドポッドエアロは他チームの追従を許さず、多くのチームがポッド前端にフェラーリ風アレンジを模倣し、サーキットごとにアップデートが加えられている。

 フェラーリSF70Hは開幕戦からこのサイドポッドにほとんど大きく変えず、マイナーな変更だけに留めている。それでいてライバルよりも速く、どのサーキットでも安定してパフォーマンスを発揮できる素性の良さがあるのだろう。エアロばかりでなく、サスペンション、メカニカルな部分にも強い個性が見えるが、予選の速さに加えてレースでのタイヤマネージメントにも優れているのだから、SF70Hのパッケージとして成功したアレンジメントと言えそうだ。

 今シーズン、フェラーリは昨年までの低迷期から実に大きな進歩を遂げた。その進歩の一部にヒーブサスペンションがあることは以前のこのコラムでもお伝えしたが、今回のベルギーGPでは、フロントサスペンション、本来はホイールドラムに覆われてなかなか見ることのできないピボットを確認することができた。

 このピボットで驚きなのは、プッシュロッドのアップライト側のマウントピボットの部分。現在ではアップライトに直にマウントするのがスタンダードとなり、ステアー時にアップライトの回転によってプッシュロッドを引きつけたり押し戻したりして、プッシュロッド長さを変えている。こうするとステアーでの左右のライドハイト(車高)、そしてさらに重要なのはコーナーウエイトをステアーに沿ってバリアブル(変動可能)にできるわけだ。

 そのため、アップライトにはピボット・ブラケットが独立部品としてボルトオンされていて、必要に応じてその長さを変更できるのが特徴だ。

 フェラーリのこのブラケットはどのマシンよりも、もっとも長く伸ばされていて、極めて大きな変化量が設定されていると想像できる。フェラーリお得意のヒーブサスペンションとともに、このピボット部でも今シーズンのフェラーリの新しい哲学が見えてくる。

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