アロンソ側は、「では、アロンソが1人だけ来て、交差点を渡るのを撮りたい」と主張したが、警察側は「人数の問題ではなく、企業として一般道で商業的な活動をすることはできない」と却下した。

 むしろ警察側は、「これ以上、ファンが集まると危険なので、ホームページやSNSを使用して、イベントの中止を即刻、行うように」と要請してきた。

 だが、その場にKIMOAの日本人スタッフがいないため、その件に関しては「イベントを中止した後に、速やかに行う」ということで、手を打った。

 ここで、アロンソ側は事の重大さに気がついたようで、「スクランブル交差点でのイベントはいっさいやらないが、せめて集まってくれたファンとハチ公の前でアロンソが記念撮影したい」と新たな案を提示した。

 警察側は「1枚か2枚ぐらいだったら……」という条件で、その時はアロンソ側の条件を飲み、いったん解散。その後、アルベルトたちはアロンソがいる場所へ移動し、説明していたと思われる。

 時計の針を見ると、集合時間の午後4時半まで、あと20分ほどとなっていた。

 ハチ公前にある派出所での協議を終えて、ハチ公前へ行って、驚いた。10分前には、「ちょっと多いな」という程度だった待ち人たちの数が、明らかに「ここでこれから何かが始まる」という雰囲気を感じる群衆となっていた。そうなると、アロンソのファン以外の人たちまで集まりだして来て、さすがに警察官が動き出す。

 ハチ公前を巡回していた警察官が異変に気付き、派出所へ応援を要請。先ほど協議していた警察官たちが私を見つけると、「これではもう写真撮影も許可できません」と言って来た。

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