ほどなくして、メルセデスのチーム内で戦略的判断が下された。2番手を走るニコ・ロズベルグは一向にペースが上がらず、15周目の時点で先頭リカルドとのギャップは12秒台にまで開く。チームは、まずロズベルグにペースアップを指示。それでもロズベルグのペースが上がらないことを見てとると、ずっと背後に詰まっていたルイス・ハミルトンを前に出すよう、新たな指示を出した。いわゆるチームオーダーだが、ロズベルグは了承し、16周目にハミルトンへ先を譲る。

 リカルドは23周終わりでインターミディエイトへの交換に向かった。もうピット作業によるタイムロスがあっても、ハミルトン以外にポジションを奪われることはないリードがあったからだ。ハミルトンは、さらにウエットタイヤでの走行を続け、27周目にはインターミディエイト交換後のリカルドに対するマージンが1秒を切るまでになった。

ウエットから一気にドライへ交換したハミルトン

 ペース差は明らかだが、それでもハミルトンはコース上に残る。そしてレースが30周目を迎えたとき、後続で戦略面での大きな動きがあった。ザウバーのマーカス・エリクソンがドライタイヤへの交換を行ったのだ。

 まだギャンブル的な要素は強かったが、路面はドライ近くまで回復しつつある。そこでハミルトンは31周目にピットへ向かい、ドライタイヤのなかでウルトラソフトを選択した。

 ただ路面は、まだドライタイヤ有利とは言えない状況で、リカルドはそこからの1周をインターミディエイトで攻めに攻める。タイヤ交換を行っても、まだ十分にハミルトンにマージンを保った状態でピットに飛び込んだ──はずだった。

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