レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2018.03.17 11:41
更新日: 2018.03.17 11:48

【特別インタビュー】トロロッソ技術責任者ジェームス・キー(1)ホンダとの開発作業、最初のミーティングでの驚き

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | 【特別インタビュー】トロロッソ技術責任者ジェームス・キー(1)ホンダとの開発作業、最初のミーティングでの驚き

──トロロッソとホンダは共通のゴールに向かって取り組みを進めています。けれどもシャシーデザイナーは常に空力性能を向上させるために、たとえば可能な限り小さなラジエターを要求したりします。一方でエンジンマニュファクチャラーはエンジンパフォーマンス向上の手助けになるよう、できる限りの冷却性能を求めます。パートナー同士で意見が相反した場合、判断をするうえで決定打となる要素は何ですか?

「可能なときにはデータを優先させるべきだと思っている。私たちが達成したい目標に対しては、知識や経験、そしてわずかな直感が決め手となることもある。それでも結局はホンダのものであろうとトロロッソのものであろうと、得られたデータに目を向けなければならない」

「そしてまた、両者がこのプロジェクトに対して強い願いを持っていることも常に念頭に置かなければならない。ラジエターの例について言えば、空力性能を改善するために、私たちはいつだって最小のラジエターを使用し、エンジンの温度はできるだけ適切な状態にしておきたい。しかし、それがホンダのエンジン部門の妨げになるのであれば、まったく良いことではなくなるだろう」

「だから私たちはすべての課題について話し合いをしなければならない。オープンに話し合い、全体として最高のパッケージを作り上げるために必要な妥協点に取り組むのだ。ケースバイケースの話し合いになるが、深い理解と、データに基づいたやり方になる。この部分に関してはミスコミュニケーションは非常に少なく、すべては可視化されている。私たちはただ賢く判断を下すだけだ」

──最初のミーティングの直後、トロロッソがホンダのリクエストに答えたり全データをシェアしたので、チームが非常にオープンな姿勢であることに日本サイドは驚いたそうです。ホンダもトロロッソに対して、同じようにオープンでしょうか? 

「そうだ。私たちにとって絶対に必要なものすべてを、ホンダは先を見据えたうえでとても多く与えてくれる。透明性が極めて高いし、私たちと同じようにオープンだ。私たちのアプローチに彼らが喜んでくれていることが分かったので、彼らが(トロロッソがオープンだと)言ってくれたことは嬉しいね」

「だけど正直に言うと、私たちがホンダの姿勢に習ったんだ。彼らのエンジンはどの程度の位置にいて、問題だと感じているのはどんな部分で、長期的な目標はどんなことなのかといった部分で、彼らがどれだけオープンで高い透明性を維持しているかを目にした。彼らのその最初のアプローチを受けて、私たちは同じことを返しただけなんだ」

──2000年代初頭、ジョーダンでF1でのキャリアを始めた際に、あなたはすでにホンダと仕事をしたことがありますね。日本人の精神性を理解しつつ、異なるタイムゾーンにいるパートナーの人々と仕事にあたることを、どう捉えていますか?

「そこに言語と文化の違いも付け加えておいてくれ。つまり、どちらにとっても多くの挑戦すべきことがあるわけだが、何かがSTR(スクーデリア・トロロッソ)に問題をもたらしたことはないと信じている。きっとホンダにとっても同じだろう。8時間の時差があるということは、私たちがミーティングや電話会議を早朝に行なっている場合、彼らは夕方に行なっているということになる。違いはそのくらいのものだ。私たちが目を覚ますためにコーヒーを飲んでいるとき、彼らは眠くならないようにコーヒーを飲んでいる(笑)。多くの場合、ミーティングはビデオ会議で行われるので影響は何もないし、時差は大きな問題にはならない」

「言語の違いも問題にならないと思う。トロロッソのスタッフの大多数はイタリア人で、彼らはとても上手く英語を話す。日本での相方であるホンダのスタッフも英語が上手だ。私はイギリス人で英語を話すのに努力しなくてもいいから、とても運が良かったね(笑)。大まかに言って、コミュニケーションはどちらにとっても第二言語である英語で行なわれているが、大きく取り乱すようなことや、間違い、ミスコミュニケーションは生じていない。もしもなにか問題があったとしても、疑問点を打ち出すことにお互い透明性が高いので確実に解決することができる。そうしたことは難しいことではない」

「文化の違いに関しても、正直それほど大きな違いはない。もちろんあるにはあるのだが、理解しがたいようなものではないし、ホンダの取り組み方を尊重しているし、彼らも私たちに対して同じように接してくれる。STRは基本的にはイタリアのチームであり、イタリアのルーツを持っているが、実際にはふたつの国から成り立っている組織だと思っている。私たちはイギリスにも空力設計部門や、製造も可能な拠点を持っているので、もともと、多くの電話会議を通じて、国をまたいで異なる言語を使いながらオペレーションをすることには慣れているのだ。私たちはそのやり方でここまで発展してきたので、同じ方法をホンダに当てはめればいいだけだ。文化の違いは特別難しいことではなかったよ」

第2回につづく


関連のニュース