その一方でレッドブルも手をこまねいてはいない。パワーユニットに負荷が掛かるのは承知の上で、最後にモード変更の許可を出した。
RBR「最後の2周はもう少しパワーを上げるよ」
これを察知したマクラーレンもアロンソに知らせる。
MCL「VERがギャップを縮めようとしている。でも君は全てコントロールできているよね」
ALO「あぁ、分かってる」

そしてレースは58周目を迎えた。レッドブルはチャージラップを重ねて最終ラップにディプロイメントを集中させ、フェルスタッペンに最大限のチャンスを与えた。
RBR「ラストラップだ、オーバーテイクボタンをフルに3回使って良いぞ」
それでも最高速の遅いレッドブルのクルマでは追い抜きが難しいアルバートパークでのバトルは如何ともし難く、アロンソは全てをコントロールしたままミスを犯すことなく5位の座を守りきった。
Q2敗退、タイヤのデグラデーションの小ささ、抜きにくいコース特性、そして絶好のタイミングでのセーフティカー導入という幾重もの幸運に恵まれたとは言え、そのチャンスをしっかりと掴み取り離さなかったのは、彼らの実力だ。
MCL「イエス! P5だ! グレートドライブだった!」
ALO「ありがとう、みんなを誇りに思うよ。これまで長い冬、長いシーズンだったけど、僕らはようやく戦える、戦えるんだ!」
MCL「これから何シーズンももっと結果を勝ち獲らないとね。ゆっくり走って戻っ……うわっ、エリック(・ブリエ)がハグしてきた!」
マクラーレンの長かった冬は終わった。彼らは幸運に恵まれずとも自力でそれを掴み取ることができる力まで手に入れたのか。それはこれからのレースで試されることになるだろう。
