ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーによると、2016年のF1にタイヤパフォーマンスの「崖」を取り入れるという計画は「うまく行かなかった」という。

 チームのタイヤ戦略をより難しくすることを狙って、ピレリは過去に見られたような、ある時点からグリップが急激に低下(ドロップオフ)する特性を2016年のスリックタイヤに持たせようとしていた。しかし、プレシーズンテストを終えた時点で、チームからはそうした特性は特に認められないとの声が上がっており、オーストラリアGPの開幕を前にヘンベリーはこのアイデアの実現は2017年まで持ち越しになるとの見解を示した。

「そのような特性を持たせようと試み、理論的にはそうなるはずだったのだが、実際には私たちが望んだレベルでは実現できなかった」と、ヘンベリーは語っている。

「いわゆる崖について、昨年のタイヤと大きな違いは見られなかった。これは2017年に向けての課題とするしかない。シーズン中に仕様を変えるつもりはないので、今後は2017年のタイヤ開発に専念する」

 ウイリアムズのチーフテクニカルオフィサー、パット・シモンズも、ドロップオフに関しては昨年のタイヤとほとんど変わらないと述べた。

「肩透かしを食ったような感じだよ。バルセロナでテストを始めたとき、私たちは『さて、どんなタイヤになったのか、さっそく調べてみよう』と思っていた。そして、複数のセットを使ってかなりのロングランをやってみたのだが、結局パフォーマンスの崖には行き当たらなかった。率直に言って、今年のタイヤと昨年のタイヤとの間に差は認められない」

「ピレリから送られてきた仕様書を見ると、コンパウンドの下に別の層があり、そこまで達すると大きくグリップが落ちるはずだった。ところが、その違いはまったく感じられなかった。どうしてなのか理由はわからないが、そういう結論に至ったのは私たちだけではないと思う」

 また、ウイリアムズのドライバー、フェリペ・マッサは、こう語っている。「何も変わっていない。昨年のタイヤとまったく同じだよ。この話は(事前にピレリから)聞いていたけど、僕には違いがわからなかった」

 これに関してロマン・グロージャンは、ピレリが急激かつ大きなドロップオフを導入したいのであれば、そのタイミングをドライバーがある程度までコントロールできるようにすべきだと考えている。

「最初の1〜2周は最高のパフォーマンスが発揮され、そこから少しグリップが落ちて、最後に崖が来るのなら、ドライバーもタイヤマネジメントがしやすい。僕が望むのは、誰がどう走っても同じように崖が来るのではなく、たとえばドライビングによってそのタイミングを5周遅らせたりとか、崖が早く来るのを承知のうえでプッシュするとか、そういったかたちで加減ができるようにしてもらうことだ。そうすればレースの戦い方も変わってくると思う」

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