今年のマシンは昨年よりもさらにダウンフォースが増加しているので、ピレリは内圧を上げざるを得ないと判断した。その場合、最もダウンフォースの大きいマシンを基準に内圧を設定するため、今回の内圧変更はダウンフォースが少ないチーム、つまり下位チームにとって不利な決定となり、ドライバーの不満も相対的に下位チームになるほど多かった。
ピレリが不安を感じている様子は、今回ベルギーGPにコンストラクションを新しくしたプロトタイプを持ち込んでいることからもうかがえる。1チームに4セット(ひとりにつき2セット)配布されたプロトタイプは、コンパウンドはソフトだが、構造が新しくなっている。金曜日のフリー走行のみ使用され、フリー走行2回目のあとに返却。この新しいプロトタイプは次戦イタリアGPにも持ち込まれ、問題がなければ、早ければマレーシアGPから実戦投入されるという。
シーズン中のコンストラクションの変更は、きわめて異例。今回このプロトタイプの内圧がどれくらいに設定されていたのかは不明だが、もしマレーシアGPからコンストラクションが新しくなったタイヤが投入されるとなると、タイヤのアロケーション(配分)は10月末のメキシコGPまで決定しているだけに、やはりチーム側から不満の声が上がるかもしれない。
内圧を変更するか、構造を変えるか──どちらにしてもピレリにとっては難しい判断を迫られることになる。