新スペックを投入する場合のひとつの目安が、約30馬力の性能向上である。10馬力で約0.2秒の向上すると言われているので、ホンダは0.6秒程度のハンディを背負っていたこととなる。それでもこの高速2連戦で互角の戦いを演じることができたのは、エネルギーマネージメントを最適化し、持てる力を最大限発揮したからだろう。

 例えば、イタリアGPが行われたモンツァでは、パワーユニットのパワーも大切だが、いかに他車のトウ(スリップストリーム)を上手に使用するかが重要となる。トウを使用するかどうかでラップタイムがコンマ5秒も変わるからだ。

 そして、このトウにつくためには、コーナーの立ち上がりでしっかりと電気エネルギーを使って、前を走るマシンとの差を一定に保たなければならない。モンツァでは、ホンダはこのエネルギーマネージメントを予選でしっかりと行っていた。

 レースでのエネルギーマネージメントは、今年のアゼルバイジャンGPでうまくいかなかったという苦い経験があった。しかし、イタリアGPではセーフティカー明けの再スタートで、ガスリーがルノーPUを搭載するフェルナンド・アロンソに並びかけたのである。残念ながら、アロンソのアグレッシブなブロックによって、ガスリーはオーバーテイクできなかったが、レースでのエネルギーマネージメントに関しても、改善していた。

 新しいスペックを見られなかったのは残念だが、ホンダが現行のパワーユニットの勘所を押さえた戦いを演じていたことを確認できた高速2連戦だった。

辛口コラムはF1速報WEBで掲載中
トロロッソ・ホンダ辛口コラム ベルギー&イタリアGP編:パフォーマンスは上々も、ランキング争いでは苦しい結果に

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