ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、2018年の第12戦ハンガリーGP直後に行われたハンガロリンクでのインシーズンテストの際にコースサイドに行って、その音を直に確認したと語る。

「高速で空気が抜けていくような音なので、例えばウエストゲートを通った排気ガスがテールパイプから高速で抜けていっているのかもしれません。ただ、そこで抜くことでどんなメリットがあるのか」

 ウエイストゲートとは、ターボを回すための排気の持つ熱エネルギーの余った分を逃がすための弁である。15年まではウエイストゲートから逃した排気はタービンハウジングに組み込まれて、通常の排気管から排出されていたが、16年からはウエイストゲート専用テールパイプが全車義務づけられ、ウエイストゲートを通過した排気専用の独立したテールパイプから排出されている。狙いは、排気音を大きくするためだった。

写真はマクラーレン。1本ある排気管の両脇にある細い2本の管がウエイストゲート専用のテールパイプ

 さて、フェラーリの独特の音の話に戻ろう。もし、それがウエストゲートに関する音だとしたら、メリットはなんだろうか?

 考えられるメリットは、ウエストゲートに排気ガスを送り込むことで、排圧を下げてエンジン(ICE)の動力損失を減らすことだ。

 しかし、ウエストゲートに排気ガスを送り込めば、当然ターボの仕事量が減り、MGU-H(熱エネルギー回生システム)の性能が下がるというデメリットがある。レギュレーションではMGU-Hの回転速度は、毎時12万5000回転を超えてはならないとなっている。

 ただしMGU-Hはターボに機械的に連結していなければならないが、MGU-Hに対しては速度比が比例していればいい。つまり、ギヤ比で12万5000回転以上回るような仕組みを作れば、MGU-Hの仕事量を落とさず、かつエンジンの出力も上げることができるのではないか。

 レッドブルのピエール・ワシェは「われわれはエンジンマニュファクチャラーではないので詳細はわからないが、GPSのデータを見る限り、フェラーリの低速コーナーの立ち上がりスピードは異様なほど速いことは確認している」と言う。

 ブラジルGPではフェラーリだけでなく、フェラーリPU勢が好調だった。フェラーリはいったい何をしているのか。ルイス・ハミルトンのドライバーズタイトルは確定したが、謎は残されたままだ。

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