アブダビテストでの新たな顔は、ホンダ陣営にもあった。来シーズンは2チームにPU供給を行うホンダは、シーズン中盤からスタッフの拡充を図っていた。10月中旬に行われたアメリカGPで、田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクターはこう語っていた。

「2チーム供給となっても開発側のスタッフの数は大きく変わりませんが、現場スタッフは約2倍に増えます。シーズン中から検討を重ねて来ましたが、ほぼ見通しが立ちました」

 詳細は明らかになっていないが、増員されるスタッフの中には、ホンダの外部から採用したスタッフが数名含まれている。ただし、田辺TDは「外部から獲得したスタッフに関しては、ホンダのやり方に慣れてもらうという部分はあるものの、現場を知っているという点ではスムーズに働くことができると思う」と心配はしていない。

 むしろ、課題はホンダ内部のスタッフだという。それは、「現在HRD SakuraでF1に携わっているスタッフの中から新たに現場に来るスタッフについては、開幕までにある程度トレーニングを積んでもらう必要がある」(田辺TD)からだ。

2018年F1第21戦アブダビGP トロロッソ・ホンダの集合写真
2018年F1第21戦アブダビGP トロロッソ・ホンダの集合写真

 アブダビGPでは、そのスタッフが現場に来ていた。木曜日に行われたトロロッソ・ホンダの集合写真では、ホンダのシャツを着た数名のスタッフが輪の中に入らずに、ピットウォールからトロロッソ・ホンダのスタッフを見ていた。それは、彼らが2018年を戦った同志ではなく、来年のためにアブダビに視察に来たトレーニング部員だったからだ。

アブダビGPを視察したホンダのトレーニング部員

 ただしサーキットに入るためにはパスが必要になる。そして、その数は年間で定められている。

「パスの数が限られているので、チーム(トロロッソ)からトレーニングパスを少し分けてもらい、それに(我々が持っている)ゲストパスも使って、来年から新たに現場で仕事をするスタッフに少しでも早く現場での経験を積んでもらおうとアブダビGPに連れて来ました。彼らはグランプリ後のテストもそのまま残って仕事してもらいます」(田辺TD)

 トレーニングパスというのは、現場で通常のスタッフと同様に実務を行って仕事ができるパスのこと。これに対してゲストパスというのはガレージに入ることはできるが、実務作業ができないだけでなく、クルマに触ることはもちろん、パソコンをいじることもできない。それでも何をやっているのかを見たり、エンジニアたちの会話を無線を聞いてたりすることができるため、現場がどのように動いているのかを目と耳で学ぶことができる。

 もちろん、アブダビGPに来る前に、彼らはすでにミルトンキーンズにあるホンダのファクトリーであるHRD MKでトレーニングを済ませている。このアブダビGP視察は、田辺TDによれば「来年2月にスペイン・バルセロナでスタートする合同テストに向けたトレーニングを行う最後の実戦場所」となった。

 車体もパワーユニットも2018年仕様のままで行われたアブダビテストだったが、ホンダのトラックサイドサポートエンジニアとメカニックに関しては、今回のアブダビGPから2019年シーズンに向けてのスタートを切っていた。

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