2回目のテスト3日目の2月28日に、フェラーリ(シャルル・ルクレール)はメルセデス(バルテリ・ボッタス)、レッドブル(ピエール・ガスリー)とともに、午後にフルレースシミュレーションを行なった。ここでメルセデスとレッドブルがC3タイヤでスタートしたのに対して、フェラーリはC2でスタートを切った。その狙いはさておき、C2はC3より約0.6秒遅いはずなのだが、1周目からルクレールのペースはC3を履くボッタスよりも平均0.4秒速く、ガスリーに対しては1秒以上速かった。
C2のほうがコンパウンドが硬いため、燃料が最も重いスタート時に向いていたのかもしれない。しかし、第2スティントに入ってボッタスもルクレールと同様、C2タイヤに履き替えても、2人のペースはほとんど変わらず、平均して毎周コンマ4秒ずつボッタスは引き離されていった(ガスリーは第2スティント早々にクラッシュ!!)。
ちなみにテスト最終日にベッテルもレースシミュレーションを行い、このときはC3タイヤを履いてスタートしていたが、やはり前日のボッタスと比較すると平均して0.4秒速かった。
これはフェラーリがアウトウォッシュ効果を維持しているため、ロングランでも昨年のデータを活用でき、マシンのセットアップだけでなく、タイヤの内圧管理なども、ロングランに合わせて適正に調整できているためだと考えられる。
フェラーリのアドバンテージは現時点で大きいことは間違いない。F1はコース上でドライバーたちがレースを行うだけでなく、年間を通して続く開発の競争でもある。しかし、メルセデスとレッドブルが空力コンセプトを変えて追随してきたり、あるいは従来のアウトウォッシュ効果以外のアイディアを見つけ、その空力を成熟させてきたら、どうなるのかわからない。
今回のテストで、フェラーリはホイールリムのトラブルや電気系の不具合を発生させていた。ライバルたちが追い上げてくる前の序盤戦では、フェラーリはこうしたトラブルはできるだけ発生させたくないだろう。またチームメイト同士によるポイントの奪い合いも避けたいところ。SF90という速いマシンを手に入れたフェラーリだが、タイトルを勝ち抜くためには、やるべき課題はまだ残されている。