逆にピットレーンスタートのアルボンはソフトタイヤでスタートしながらもクリーンエアゆえに持ち前のロングランペースの良さを遺憾なく発揮し、プランAの2ストップ作戦から1ストップ作戦に切り替えて最後までタイヤを保たせる戦略を遂行して10位で1ポイントを獲得してみせた。
最後はタイヤがかなり厳しかったというが、この入賞でチームからは高い評価を受けることになった。アルボンはファン投票によるドライバーオブザレースにも選出された。
「前のクルマに付いていこうとするとすぐにタイヤがオーバーヒートしてしまうから難しかったね。僕もオプションタイヤには苦しんでいたけど、プライムに換えてからはマシン自体は感触が良くて気持ち良く走れていた。最後の数周は辛くなったけど良い結果が残せて良かった。ポイントを取るには難しいレースになると思っていたけど、FP2のペースから考えて不可能ではないと思っていたし、このような結果になって嬉しい。土曜日はワーストドライバーオブザデイだったと思うけど(苦笑)、日曜日はベストドライバーになれて良かったよ!(笑)」(アルボン)
フランツ・トスト代表もアルボンの活躍にはご満悦だった。
「1ストップ作戦でタイヤを労って走らなければならなかったにも関わらず、何台ものマシンをオーバーテイクしたんだからね。彼のレースには非常に満足だよ。バーレーンでもすでに才能を見せて2ポイントを獲得してくれたけど、ものすごく急激な上り坂を描いているね。一気に空まで突き抜けそうな勢いだよ!」(トスト代表)
しかし同時に、またしてもクリーンな週末を送ることができなかったという課題もしっかりと認識していた。
特に上海ではトロロッソSTR14は高いポテンシャルを持っていた。もし何事もミスなくスムーズな週末を過ごしていたなら、トロロッソ・ホンダの2台はもっと上のポジションでダブル入賞を果たしていたはずだ。
「今週末の我々のクルマは仕上がりが非常に良かったんだ。ドライバーの能力を勘案しても、何もなければ間違いなく10位よりも上のポジションでフィニッシュできていたはずだ。全てがクリーンにいけば今週末は少なくとも確実に8位にはなれたと思うよ。今、我々に必要なのはクリーンな週末だ。この流れが変わることを願っているよ」(トスト代表)
トロロッソ・ホンダが秘めた高いポテンシャルを、次こそ結果というかたちで見せてくれることを願いたい。