決勝レースではロマンがブレーキトラブルでリタイアとなりました。フロントタイヤを保たせるのががあまりにもキツイので、そのためにブレーキを攻めていたのですけれど、結果的には攻めすぎたということです。もちろんリタイアは良くないけど、そこまでプッシュしないとタイヤをどうにもできないという状況でした。

 一方ケビンのレースですが、やはりタイヤの性能を保つことが出来ずペースも上がらないまま13位でレースを終えました。1ストップ作戦が基本だったのですが、39周目にVSC(バーチャルセーフティカー)が出たところでケビンは2度目のタイヤ交換を行いました。

 あの時はもう入賞圏外にいて、ペースも上がらないので、ピットインせずに同じタイヤを履いたまま後で挽回できる見込みはゼロでした。たとえばタイヤがオーバーヒートしているような状況だったら、VSCの間にうまく冷やして、レース再開後にペースを上げることが可能かもしれません。ですが今回は状況が逆で、タイヤの温度が下がりきっていて挽回できる余地はなかったので、タイヤを交換するほかにできることはありませんでした。

 次戦はヨーロッパ初戦のスペインGPですが、バルセロナはまた状況がまったく違います。冬のテストのあの寒い状況でタイヤを機能させることができたので、実戦でもタイヤは機能させられると思います。逆にもし機能しなかったら、他に問題があるということになると思います。それに大型のアップグレードを投入する予定なので、ダウンフォースが増えることも助けになります。

 ですが、もしバルセロナでうまくタイヤを機能させることができたとしても、その後もう1回バクーに戻ってタイヤを機能させられるかといったら、そんなことはないと思っています。要はバルセロナで仮に上手くいっても、それで一喜一憂することはできないのです。なんといってもその後にはモナコやモントリオールという低速コーナーだらけの公道コースが待ち受けていますから。今はこれに向けて解決策を探しているというか、手を打っているところです。

 とにかく、本当に大変な3レースでした。ここまでタイヤに振り回されるとは、バーレーン以前は予測していませんでした。別に自分達が苦労しているから言うわけではないのですが、ここまでタイヤが作動するかしないかに左右される選手権ってどうなんでしょうか? 観ているみなさんにとってはレースごとにタイヤを使えるか使えないかで速いチーム、ドライバーが変わるから逆に楽しいのでしょうか? まあ、なにはともあれ、メルセデスでさえピレリのモーターホームにわざわざ不満を言いに行くぐらいですから、僕らチームにとっては大ごとなのです。

ハースF1 小松礼雄チーフエンジニア
ハースF1 小松礼雄チーフエンジニア
2019年F1第4戦アゼルバイジャンGP ロマン・グロージャン(ハース)
2019年F1第4戦アゼルバイジャンGP ロマン・グロージャン(ハース)
2019年F1第4戦アゼルバイジャンGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
2019年F1第4戦アゼルバイジャンGP ケビン・マグヌッセン(ハース)

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