じつはこの日のメルセデスは、2台でタイヤデータ取りのプログラムを分けていた。ハミルトンがハードタイヤでボッタスはミディアムでロングランに関する予定だったが、ボッタスがクラッシュしてしまったため、メルセデスにはミディアムタイヤのロングランのデータがない。

 ミディアムタイヤのロングランデータを取っていないチームはメルセデス以外にもないわけではないが、フェルスタッペンがクラッシュしたレッドブル以外は、フェラーリ、マクラーレン、ハース、アルファロメオ、トロロッソ、ウイリアムズの6チームはしっかりと2台でメニューを分けて、ハードだけでなく、ミディアムのデータ取りを行なっていただけに、ボッタスのクラッシュはメルセデスにとって大きな代償を払う結果になるかもしれない。

 もうひとつ気がかりなのは、パワーユニット(PU/エンジン)に関するトラブルが連続していることだ。メルセデスが、“フェーズ2”と呼ばれる新型のパワーユニットを投入したのは第7戦カナダGPだった。このとき、メルセデスはハミルトンのパワーユニットにオイル漏れのトラブルを予選後に引き起こし、日曜日はスタート直前まで、その修復作業に追われるという苦い経験をしていた。

 このオーストリアGPでは金曜日のフリー走行1回目が始まる前にボッタスのパワーユニットにオイル漏れが発見され、チームは慌ててPU交換を実施。ボッタスは旧スペックでフリー走行1回目を走行した後、再びPUを交換し、フリー走行2回目はオイル漏れを起こしていたフェーズ2に戻していた。しかし、ボッタスがクラッシュしたことで、タイヤのデータが取れなかっただけでなく、メルセデスはオイル漏れを起こしたフェーズ2のロングランでの確認もできずに終了することとなった。

 9連勝へ向けて、メルセデスの視界は必ずしもレッドブルリンクの空のように良好ではない。

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